人間進化の科学哲学 行動・心・文化 の商品レビュー
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82生まれ 京大博士 総合研究大学院大学助教 ■はじめに ・人間行動進化学を科学哲学の観点から考察 ・人間行動進化学の対象 協力行動、配偶者選択行動、罰、殺人、レイプなど多様 ・文化もまた人間行動の産物であり、その進化過程は人間行動が大きく関わってくるため対象となる ■第1部 人間行動進化学の研究プログラム たとえば、進化心理学という研究プログラムは、人間の心がある時期における小集団での狩猟採集生活に対する適応である、という仮説的・理論的前提に立っている。その上で、たとえば文化に関しては、模倣以上にこの時期に獲得された適応としての心理メカニズムが大きな影響を与えているのだ、というモデル(すなわち文化の疫学モデル)が提唱され、一部の文化に関してはこのモデルによって説明が試みられている。 ○第一章 進化心理学 ・進化心理学は基本的に次のような仮説的・理論的前提から出発している。 われわれの心は進化的適応環境において適応した形質、モジュールから構成されており、このようなモジュールの集合体がわれわれの心である。(モジュール集合体仮説) 15 ・進化的適応環境という言葉で想定されるのは、180万年前ごろから1万年前頃までの更新世である。この時期はヒト属が大きく進化したと考えられており、なおかつ農業が導入されて拡大していったおおよそ1万年前以降の人間生活のように、変動がそこまで大きなものではないと考えられている。したがって、この変動の少ない時期には安定した適応課題が多く存在し、その課題に特化した適応形質としての心理メカニズムが進化したという。★ 15
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