学者は語れない儲かる里山資本テクニック の商品レビュー
はっぱビジネスの創始者による、里山資本の活かし方。 地方創生、という中央の仕掛けに原則として肯定的だ。これはやや意外だった。だが、補助金をやるから言うとおりにしろ、という従来のスタンスで補助金を「使う」のではなく「増やす」という考えだから、なるほど理解できた。 みな、霞を食っ...
はっぱビジネスの創始者による、里山資本の活かし方。 地方創生、という中央の仕掛けに原則として肯定的だ。これはやや意外だった。だが、補助金をやるから言うとおりにしろ、という従来のスタンスで補助金を「使う」のではなく「増やす」という考えだから、なるほど理解できた。 みな、霞を食って生きているわけではないので、地方だろうが都会だろうが、儲けなければいけない。著者は、徳島県上勝町の人たちが少しでも収入が増えるように、と努力してきた。農協に赴任当初は、よそものは帰れ、という罵声も浴びせられたというが、よそものに拒否感を抱く地元の名士(名誉職が大好きで、引退後も現場に口をだすような人)のような人たちを避けずにつきあって信頼を勝ち取ることが、田舎ビジネスの秘訣。 地方はカネが少なくても生きていけるが、それでもそこそこはほしい。だが都会からカネを貰わないと成立しない、のがこの話だ。里山資本主義、も多くはそんなふうに解釈されているように思う。 教育環境も中学までしかないから出て行ってしまうという。ここに住んでいたら中学までで大丈夫だよ、とは誰も言わない。地域格差が教育格差につながっている、という。格差ってイヤな言葉だね…。多くの人の価値観は都会の感覚が伝染したままなのかもしれない。 田舎でも儲かる、よりも、できるだけ地域資源の循環で食っていく、というのが地域が地域として、(地方創生とか関係なく)生きていく道ではないか、と思う。でも本書のテーマはそうじゃないし、そもそも自分がそれを出来るか? 自問すると難しい。ましては僕にはよって立つ地域もない。かくして無党派層的無地域層が生まれるのだ。
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