月神 の商品レビュー
主人公の出身は九州、ストーリーは大きく二つに別れており最初は明治維新前の尊皇派の生きざま、後半は北海道に収監所構築とその運営に携わる主人公の半生になっている。引き込まれる内容ではなかったが アイヌの文化や考え方など興味深い内容だった。
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「月形家の者は夜明けとともに昇る陽を扇動する月神でなければならん」と唱える月形洗蔵を主人公とする「月の章」と、従兄弟の潔を主人公とする「神の章」からなる歴史小説。 司馬遼太郎著『竜馬がゆく』により、薩長同盟は竜馬の手柄と広く流布されている。確かに、最終場面での引き合わせは竜馬によ...
「月形家の者は夜明けとともに昇る陽を扇動する月神でなければならん」と唱える月形洗蔵を主人公とする「月の章」と、従兄弟の潔を主人公とする「神の章」からなる歴史小説。 司馬遼太郎著『竜馬がゆく』により、薩長同盟は竜馬の手柄と広く流布されている。確かに、最終場面での引き合わせは竜馬によるが、この策は彼以前にも幾多もの人物が画策していた。 歴史の闇に埋もれた様々な史実を小説に仕立てる著者は、本書では洗蔵ら筑前尊攘派が身を挺して長州斡旋を行ったと記す。 その筑前尊攘派は薩長和解を成し遂げながら歴史の表舞台に出ることなく、賢君ではあるが志を異にする藩主により壊滅させられる。 歴史にifは禁物だが、この福岡藩が薩長に伍していたら維新後の日本も違う様相を呈していただろう。 幕末を扱った「月の章」に対し、「神の章」では、月形潔が北海道で集治監=監獄の建設を担い、その所長となった明治篇。 潔は、囚人の厚生を図り理想の集治監を造ろうとするが、厳冬の北海道での過酷な労働を強いられている囚人たちは脱走を企てる。それを阻むため脱走囚は惨殺され、己の理想を成し遂げられず潔は懊悩し、退職を決意する。 そんな夫に、妻がやさしい笑みを浮かべる。 「木々の根は地中に隠れて見えませんが、根がなければ幹や枝は伸びず、葉も茂ることなく、まして花は咲きません。あなたは根の仕事をしたのだと、わたしは思っております」 夫婦の絆が感じられる、こころに残るひとつの場面。
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正直いまいち 幕末の物語ですが、主人公に思い入れできる感じでもなく、教科書を読んでいるような感覚でした。 ストーリとしては大きく2つ 幕末、尊王攘夷派の中心となって、福岡藩を尊攘派として立ち上がらせようとする月形洗蔵の章 尊王攘夷と藩主との間で苦悩しながら、薩長を結び付けようと...
正直いまいち 幕末の物語ですが、主人公に思い入れできる感じでもなく、教科書を読んでいるような感覚でした。 ストーリとしては大きく2つ 幕末、尊王攘夷派の中心となって、福岡藩を尊攘派として立ち上がらせようとする月形洗蔵の章 尊王攘夷と藩主との間で苦悩しながら、薩長を結び付けようと尽力。しかし、最終的には維新の直前で刑死してしまいます。 後半は洗蔵の甥の月形潔の章 新政府の命をうけ、北海道で集治監を作り、その看守となり、北海道の開墾を務めます。 北海道の極寒、その過酷な自然環境下で囚人たちを監視し、環境を切り開いていく物語 激動の明治維新の中で己の信念をかけた二人の物語です。 しかしながら、この二人の生き方に心震えるところまではいきませんでした。 当時の歴史をそのまま語られている感じでした。 どこまでが史実なのかわかりませんが、ちょっと残念
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
福岡藩の月形姓をもつ主人公が2人。2つの視点から維新前(中)と維新後の日本を描いた歴史小説。 視点が2つにしたことで、ボヤけてしまう部分があるのは否めない。洗蔵はともかく潔がボヤけて冴えない。任務の重圧に潰されかけた可哀そうな役人を描写しただけの話に読めてしまう。 1つの作品にせず分けた長編でも良かったのではないか、せめて上下巻にするとか…。
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明治時代に北海道に建てられたいわゆる刑務所建設と囚人、看守のことを描いている。北海道は、アイヌが住んでいた土地に、北上した日本人が入り込んで、日本の都合に合わせさせたのだ、ということにも言及しています。 幕末を思い返す章と、幕末に藩の体勢にそぐわず獄に入った者が、時代が変わって...
明治時代に北海道に建てられたいわゆる刑務所建設と囚人、看守のことを描いている。北海道は、アイヌが住んでいた土地に、北上した日本人が入り込んで、日本の都合に合わせさせたのだ、ということにも言及しています。 幕末を思い返す章と、幕末に藩の体勢にそぐわず獄に入った者が、時代が変わって、罰せられた人を見張る立場になってからの事を描いた章の二本立て。歴史の大変換期、今の日本の黎明期の或る物語。 歴史上の超有名人ではない人を主人公にして描くという葉室麟さん。たくさん作品を発表されているようなので、楽しみ。
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読了した春風伝に引き続く様な"月の章"…洗蔵。月神としての思いを引き継ぐ"神の章"…潔。理想への炎があと一歩で消えたとき、、悟るような義衛や磯の言葉が響き渡る。二人の男の"根の仕事"の見事な完結♪。
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あらすじ(背表紙より) 明治13年、福岡藩士出身の月形潔は、集治監建設の団長として横浜港から汽船で北海道へと向かった。その旅のさなか、亡き従兄弟の月形洗蔵を想った。尊皇攘夷派の中心となり、福岡藩を尊攘派として立ち上がらせようとしていた洗蔵。だが、藩主・黒田長溥は、尊攘派の台頭を苦...
あらすじ(背表紙より) 明治13年、福岡藩士出身の月形潔は、集治監建設の団長として横浜港から汽船で北海道へと向かった。その旅のさなか、亡き従兄弟の月形洗蔵を想った。尊皇攘夷派の中心となり、福岡藩を尊攘派として立ち上がらせようとしていた洗蔵。だが、藩主・黒田長溥は、尊攘派の台頭を苦々しく思っていた。 志を同じくする者たちとともに闘う洗蔵だったが、維新の直前に刑死した。 維新の後、福岡藩出身者に与えられるのは、政治の本流とは関わりのない瑣末な仕事ばかり。 時は過ぎ、自分は今、新政府の命令によって動いている。尊敬していた洗蔵が、今の自分を見たらどう思うのか? 激動の明治維新の中で国を思い、信念をかけて戦った武士たちを描く、傑作歴史小説!
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「地元」と「気に入っている旅先」が登場する“時代モノ”!何か弾む気持ちで入手したのだが、大変に興味深く読了した… 「夜明けを導く月であろう」とした月形潔の生き様…何か、色々と考えさせられるものが在って引き込まれた…
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