敗戦悲劇 の商品レビュー
のぞゑのぶひさは大西巨人「神聖喜劇」を漫画化した作家。といっても私は原作も名前だけ知っていたくらいなのだが。 ご本人は戦後世代だが、周りに戦争のことを知っている世代が少なくなっていることに危機感を覚え、日本人の戦争体験を、最前線から銃後まで、6つのエピソードでたどる。共通してい...
のぞゑのぶひさは大西巨人「神聖喜劇」を漫画化した作家。といっても私は原作も名前だけ知っていたくらいなのだが。 ご本人は戦後世代だが、周りに戦争のことを知っている世代が少なくなっていることに危機感を覚え、日本人の戦争体験を、最前線から銃後まで、6つのエピソードでたどる。共通しているのは、全てのエピソードが、戦時体験と現在が交差しているということだ。 戦争体験者たちは現在、後期高齢者となっているが、みんな戦争で受けた心の傷に苦しみながら、現在は貧困や呆けと闘っている。こういう人が全てだったとは思わないけれど、こういう人は少なからずいる、と感じさせるところがつらい。読み進めながら何とも暗い気持ちになる。 作者自身が強い責任感を持って描いているだけあって、書き込みが精緻で迫力がある。
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第二次世界大戦における日本人の状況を描いたもの。 色々な悲劇的な場面が描写されている。 作者がまえがきで記していあるとおりの漫画だった。 もはや、戦争を語る人が少なくなっている現代において、作者は戦後生まれの人間であるが、戦争をきちんと語り継がなくてはいけないという使命感で、こ...
第二次世界大戦における日本人の状況を描いたもの。 色々な悲劇的な場面が描写されている。 作者がまえがきで記していあるとおりの漫画だった。 もはや、戦争を語る人が少なくなっている現代において、作者は戦後生まれの人間であるが、戦争をきちんと語り継がなくてはいけないという使命感で、この漫画を描いている。 その志は高く、共感できる。 一つ一つの短編の内容も「確かにそういうこといままでにも聞いたことがあるし、戦争って本当に嫌だな」と思う。 ただ、実体験ではないので、少し聞いた話を書きました風になっていると思う。 実体験の迫力、あっけらかんとした部分や残虐さが麻痺してしまっている空虚感だとか、生き切った生命感だとか、罪悪感だとか、その人なりの複雑な感情のようなものが表現されていると良いのではと思った。 一つ一つの話の最後に表紙にもあるどくろ山の絵に格言のようなものでしめくくるのだが、この格言はなくてよかったのでは。物語を一言でまとめている感じがして、広がり、余韻、読者への自由な解釈を持たせられなくなってしまっている。 絵は描き込みが多いわりに、動きが硬い。ある意味、味のある絵柄で、売れたいから書いているわけではなく、書きたいから書いている作者とリンクする絵柄だと思った。
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