新自由主義の自滅 の商品レビュー
新自由主義は1%の為の政策であって、国民窮乏化政策であるとする著者の分析は正しい。ただコロナ後の国家予算の爆発的な増加にも関わらず、ちっとも景気が良くならない所を見ると、残念ながら借金で総需要を無理やり作っても景気は良くならないことが証明されてしまった。これには2つの要因があるよ...
新自由主義は1%の為の政策であって、国民窮乏化政策であるとする著者の分析は正しい。ただコロナ後の国家予算の爆発的な増加にも関わらず、ちっとも景気が良くならない所を見ると、残念ながら借金で総需要を無理やり作っても景気は良くならないことが証明されてしまった。これには2つの要因があるように思われる。 一つは超縁故社会の日本では、政府支出は限られたお友達の中にしか行き渡らず、かつそのお友達は揃いも揃ってお金持ちなので使われずに国外の資産に流出してしまうこと。そう、トリクルダウンは起こらないのだ。 もう一つは人口減少。経済のパイを大きくするには生産年齢人口の増加が不可欠であり、民間も政府もシュリンクする市場に投資しても回収できないから投資もされない。 著者が絶対視する高度成長時代は生産年齢人口が急増していた特殊な時代であり、全く参考にならない。 唯一意味のある投資先があるとすれば、過疎化していく地域に見切りをつけ、各地方の中核都市にインフラと人口を集中させることくらいか。これも投資回収できるとは思えないが、少なくとも将来の支出を減らすことはできる。これも地方を切り捨てるのか!と言う謎の声で実現しないだろうけど。
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ケインジアン・反自由貿易の立場からの新自由主義批判。日本の財政状況に対し、通説に比して楽観的。筆者によれば、政府債務は、それ自体の額ではなく名目GDPに対する比率により大きさを計るべきとしている。つまり、緊縮財政により赤字債務そのものの縮小させることだけでなく、名目GDPを増大させる財政出動(とそれを支える緩やかな金融政策)も、巡りめぐって財政均衡化に資する政策であるということだ。筆者によれば、前者は歴史的に失敗してきたという(筆者は、大恐慌など極端な例を挙げている)。後者のみが、デフレ脱却と財政均衡化に資すると結論づけている。この考え方は、個人的には新鮮に感じた。 なお、政治的には反・脱アメリカで漸進的な軍拡し、中韓を刺激せず共存…というスタンスのようだ。とにかく、アメリカ脅威の論調(新自由主義を押し付けて富を収奪)が強い。その身近な犠牲者として韓国を扱っている。
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経済学者の言う理論とは推論か予想にしか思えない。著者は安倍政権の取る経済政策には反対の立場。その理由を過去のデータ、事例を分析することで語っている。これだけ読むとそうなのか!と思ってしまう。経済政策に絶対や特効薬は無いのだろう。他の学問と比較し遅れを感じる。
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