墨東地霊散歩 の商品レビュー
馴染み深い向島や両国エリアの怪談話が収録されているとのことで、京都のマヤルカ古書店で思わず購入。あまり詳しくない歌舞伎や落語、地元の住民の噂話に基づく怪談が多く新鮮だった。著者も両国の旧陸軍被服廠跡がある横網町公園は「出る」と言っていて納得。やっぱあそこの雰囲気は異様だよなぁ。真...
馴染み深い向島や両国エリアの怪談話が収録されているとのことで、京都のマヤルカ古書店で思わず購入。あまり詳しくない歌舞伎や落語、地元の住民の噂話に基づく怪談が多く新鮮だった。著者も両国の旧陸軍被服廠跡がある横網町公園は「出る」と言っていて納得。やっぱあそこの雰囲気は異様だよなぁ。真夜中のランニングでしか行ったことがないので、この本のおかげで関東大震災の解像度が少し上がった今、昼間に改めて行ってみたいと思った。 「焼けたか、焼けなかったか。死んだか、生き延びたか。残らなかったか、残ったか。人も、建物も、風俗も。良いことも悪いことも、すべてがそうだ。何十年経とうとも、戦後は所詮、戦後でしかない。昭和二十年以前の墨東は、分厚い猛火の壁越しに窺うほか、手立てはないのだ。」 周囲を歩いていると同様のことをつくづく思う。この地と関東大震災、第二次世界大戦の空襲との縁は切っても切れない。
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墨東の記憶など。 あぁ、こんなに怖い土地だったんだなぁ、という反面、やっぱ住むならその辺り、と思います。
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四谷怪談の"四谷"は東京スカイツリーの真下だった!? 隅田川から牛鬼が現れたことがあった!? 向島百花園ができる前、そこには怨霊が棲む屋敷があった!? 生まれも育ちも東京は下町の著者が、資料を掘ったり人から聞いたりして集めた墨東(墨田区・江東区)の歴...
四谷怪談の"四谷"は東京スカイツリーの真下だった!? 隅田川から牛鬼が現れたことがあった!? 向島百花園ができる前、そこには怨霊が棲む屋敷があった!? 生まれも育ちも東京は下町の著者が、資料を掘ったり人から聞いたりして集めた墨東(墨田区・江東区)の歴史を綴ったエッセイ集。直に聞いた話や実際に歩いて感じたことが多く書かれているために、読む内に著者の熱も伝わってくるような、とても暖かみを感じる本になっている。 古典や怪談や伝説の舞台を楽しむ一方、火事や震災や空襲の話はとても生々しく、かといって読み飛ばす気にもなれず、ドラマやアニメでは絶対に表現できない当時の模様を苦味を覚えながらじっくりと読んだ。 どの土地でも実と虚、生と死、陰と陽、聖と俗、そして住人の様々な思いが混ざり合って歴史は構成される。本を片手に名所を訪れ、「今はこうだけど昔は…」と夢想するのも、墨東の楽しみ方の一つだろう。無期限の休みを貰えたらやってみたい。
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墨東地霊散歩 加門七海著 「怪談の聖地」の歴史を探訪 2015/8/16付日本経済新聞 朝刊 東京の東部を流れ、古くは墨田川とも書く隅田川。その東の地域を「墨東」という。現在の墨田区や江東区にあたり、江戸初期に開かれると下級武士や庶民が住む下町として発展した。この地に生ま...
墨東地霊散歩 加門七海著 「怪談の聖地」の歴史を探訪 2015/8/16付日本経済新聞 朝刊 東京の東部を流れ、古くは墨田川とも書く隅田川。その東の地域を「墨東」という。現在の墨田区や江東区にあたり、江戸初期に開かれると下級武士や庶民が住む下町として発展した。この地に生まれ育ち、怪談や伝奇に通じた作家がこの地を回って来歴や言い伝えを掘り起こした。 本所や深川、亀戸などは「怪談の聖地」だ。墨東は「乳房榎(えのき)」「牡丹灯籠」で重要な役割を担う。「四谷怪談」では、死んだお岩さんが戸板で流れ着く場面で登場。舞台は田宮家のあった新宿区の四谷ではなく、現在の墨田区で、東京スカイツリーのほぼ真下に当たる「中之郷四ツ谷」だったという異説も紹介される。 大火にも何度も襲われた。関東大震災や東京大空襲では焼け野原になった。両国の回向院は江戸時代、明暦の大火で死者の供養に建立され、境内に旧国技館が設けられた。相撲の本場所後はお化け屋敷になり、大人が縮み上がるほど怖かったという。 現在の墨東ではスカイツリーが観光名所となり、高層マンションも林立する。こうした華やかさの陰にある土地の記憶が、都市としての東京の歴史に厚みを加える。本書の執筆は4年がかりで、戦後70年の東京大空襲の日に仕上がったという逸話も何か因縁を感じさせる。地縁に導かれた著者の思いが詰まった一冊だ。(青土社・1800円) このページを閉じる
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墨東地区の歴史や伝説の場所をたどる本。 作者は東京大空襲の日に書き上げたそうだが、私はこの本を終戦記念日に読み終えた。そのせいか、特に東京大空襲について書かれた章が心に残る。というより怒りがこみ上げてくる。 その日、戦後70年の特集で東京大空襲を扱ったTVを見た。空襲もだが、その...
墨東地区の歴史や伝説の場所をたどる本。 作者は東京大空襲の日に書き上げたそうだが、私はこの本を終戦記念日に読み終えた。そのせいか、特に東京大空襲について書かれた章が心に残る。というより怒りがこみ上げてくる。 その日、戦後70年の特集で東京大空襲を扱ったTVを見た。空襲もだが、その後の犠牲者の方々の扱いについて、さらに怒りが… 犠牲者の名簿は最近、民間のボランティアの方々の尽力で作成されたが、それはガラスのケースに収められ、遺族の方でも手に取ることができないという。理由は個人情報保護のため! もちろん作成された方々の意図ではなく、東京都の方針。 東京に生まれて、親から大空襲の話を聞いたことがあるものとして、東京大空襲についてあまり語られないなとは感じていた。特に遺骨や名簿については今回初めて知ったことも多かった。番組では日本軍の重慶爆撃やドイツ、ドレスデンの爆撃についても語られ、重慶の被害者の方々と東京大空襲の遺族会との交流を知った。戦争は被害者しか生み出さない。 この本の感想からは大きく離れているのはわかっているが、この日付の暗示は偶然ではないと信じ、多くの人に知って欲しくてこの場をお借りします。
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