1,800円以上の注文で送料無料

動きの悪魔 の商品レビュー

3.6

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/01/29

ホラー。短編集。 鉄道をテーマにした短編集。 初めて読む作家。《ポーランドのポー》または《ポーランドのラヴクラフト》らしい。 怪奇現象だけでなく、どの作品でも必ず描かれる、人間の狂気が特徴的。 表題作、「奇妙な駅」「待避線」などの作品にはSF要素もあり、好きな世界観。 一作だけ明...

ホラー。短編集。 鉄道をテーマにした短編集。 初めて読む作家。《ポーランドのポー》または《ポーランドのラヴクラフト》らしい。 怪奇現象だけでなく、どの作品でも必ず描かれる、人間の狂気が特徴的。 表題作、「奇妙な駅」「待避線」などの作品にはSF要素もあり、好きな世界観。 一作だけ明らかに雰囲気が違う、「トンネルのもぐらの寓話」が一番好み。これもSFっぽさがある。 この著者は『火の書』が気になっているので、そちらも読みたい。

Posted byブクログ

2022/05/20

 1919年刊。私にとっては『無気味な物語』(1922)に次ぐ2冊目のグラビンスキ短編集。  やはり、この人の作品の語りの何かが、私にはとても魅力的である。先に読んだ作品集と同様に、本書特に前半には、「何かに憑かれた男」が破局に向かって突き進む物語が溢れている。この「何か」が、本...

 1919年刊。私にとっては『無気味な物語』(1922)に次ぐ2冊目のグラビンスキ短編集。  やはり、この人の作品の語りの何かが、私にはとても魅力的である。先に読んだ作品集と同様に、本書特に前半には、「何かに憑かれた男」が破局に向かって突き進む物語が溢れている。この「何か」が、本書では鉄道に関する諸要素となっているのだ。  ヨーロッパにおいては乗りさえすれば易々と国境を跨ぎ諸国を巡回できる高速な乗り物である鉄道の、その驀進する「動き」「スピード」「巨体」が、何やら猛々しく非情なもののイメージとなったことは想像できる。その性質の魅惑に「我しれず執着してしまうこと」が、男たちの逸脱と破滅を招く。この辺の危うさを本書前半の作品群は魅力的に描き出す。  何しろ1冊まるごと「鉄道の話」という連作集なので、内容にバラエティをもたらすためだろう、後半はもうちょっと様々な様態の作品が入っている。その分、鉄道自体の「動き」の強迫的なイメージが薄らぐようで、私にとってはそこが幾らか物足りなく思われた。  あまり面白くもないようなのが2,3あったが、全体としてはやはり魅力ある短編集だった。

Posted byブクログ

2019/02/03

どうにも陰のある人物に惹かれる。その正体がなんなのか、ひきずるまでの理由が知りたくなる。トッキュウジャーという番組でザラムという人がいた。かつては悪の組織にいたのに「なんか違うわ」と離脱し、主人公達が妄想でこしらえた列車の保線員を勝手にやってる。この本の最初の作品のモデルとなった...

どうにも陰のある人物に惹かれる。その正体がなんなのか、ひきずるまでの理由が知りたくなる。トッキュウジャーという番組でザラムという人がいた。かつては悪の組織にいたのに「なんか違うわ」と離脱し、主人公達が妄想でこしらえた列車の保線員を勝手にやってる。この本の最初の作品のモデルとなった人である。(もちろん嘘)関根勤さんが車掌をやっていて皆にはやさしく、猿のパペットをはめて毒を吐き、猿を叱るという面倒くさい役をやってた。本は読みやすく楽しい。自分にあってる。 

Posted byブクログ

2016/10/31

ポーランドのポー、ポーランドのラヴクラフトと呼ばれるステファン・グラビンスキの鉄道短編集。 ディケンズの「信号手」を思い出しました。 怪談と言うより、鉄道(列車)に憑かれた人を描いた作品が多い。 くどくどしい形容詞や例えは、オカルト的な雰囲気はあるものの、どれも似たような印象を...

ポーランドのポー、ポーランドのラヴクラフトと呼ばれるステファン・グラビンスキの鉄道短編集。 ディケンズの「信号手」を思い出しました。 怪談と言うより、鉄道(列車)に憑かれた人を描いた作品が多い。 くどくどしい形容詞や例えは、オカルト的な雰囲気はあるものの、どれも似たような印象を受けて、読み飽きてしまった。

Posted byブクログ

2016/03/08

❖鉄道怪談集。収録作を最初から読んでいくと、鉄道ありきの設定であった怪異の主軸が鉄道から離れていくような、そんな傾向の変化するグラディエーションが並びから感じられた。 傑作集でも好みから作品に対し落差を普通感じるものだけれど、すべて魅力ある作品であった。鉄道(機関車)そのも...

❖鉄道怪談集。収録作を最初から読んでいくと、鉄道ありきの設定であった怪異の主軸が鉄道から離れていくような、そんな傾向の変化するグラディエーションが並びから感じられた。 傑作集でも好みから作品に対し落差を普通感じるものだけれど、すべて魅力ある作品であった。鉄道(機関車)そのものが見せる慄きよりも、それに憑かれた(磁場に呑み込まれた)人間の妄執・狂気を描いた作品に強く惹かれた。例えば『永遠の乗客』『偽りの警報』『機関士グロット』など。『奇妙な駅』『放浪列車』の話は昔自分も想像したことがあるもので懐かしさを感じた。

Posted byブクログ

2015/12/16

ポーランドは怪奇小説や恐怖小説の不毛地帯なのだろうか。そんな疑問を抱かせる短篇集である。これで、ポーランドのポオやポーランドのラブクラフトを名のるというのだから。鉄道をモチーフにした奇譚集だが、ほとんどが同工異曲。短篇集に所収の各篇は、一篇、一篇それぞれに他と異なる工夫を凝らすべ...

ポーランドは怪奇小説や恐怖小説の不毛地帯なのだろうか。そんな疑問を抱かせる短篇集である。これで、ポーランドのポオやポーランドのラブクラフトを名のるというのだから。鉄道をモチーフにした奇譚集だが、ほとんどが同工異曲。短篇集に所収の各篇は、一篇、一篇それぞれに他と異なる工夫を凝らすべきである。でなければ、読み継いでいく気が失せる。巻末に置かれた「トンネルのもぐらの寓話」一篇が、他とちがって、あれほど強かった鉄道への愛が冷めつつある心境を反映しているが、それがいちばん心に残るというのも皮肉なことである。

Posted byブクログ

2015/11/07

ポーランドの怪奇・幻想作家グラビンスキの鉄道怪談集。 彼が健筆を振るった20世紀初頭は鉄道網が地球を覆い始めた時代で、 新しいテクノロジーに対する憧憬と希望、 同時に一抹の不信と、 その狭間に生じる異様な夢想が織り交ぜられている。 描かれているのは怪奇というより、 鉄道そのものに...

ポーランドの怪奇・幻想作家グラビンスキの鉄道怪談集。 彼が健筆を振るった20世紀初頭は鉄道網が地球を覆い始めた時代で、 新しいテクノロジーに対する憧憬と希望、 同時に一抹の不信と、 その狭間に生じる異様な夢想が織り交ぜられている。 描かれているのは怪奇というより、 鉄道そのものに魅入られたマニアたちの狂気であり、 彼らの暴走によって引き起こされる、 どす黒いスラップスティックである。 異常な展開を見せる深夜の情事、 移動の欲望に取り憑かれて繰り返される無目的な旅、 不吉な予知夢、 事故死した美女の凄惨な美貌を記憶し続ける駅長……etc. ポオより軽く、ラヴクラフトより能天気で、 恐怖の隙間に皮肉な笑いが滲むところはグラン=ギニョル的。

Posted byブクログ

2015/07/28

『ポーランドのポオ、ラヴクラフト』とも呼ばれるグラビンスキの短編集。『訳者あとがき』によると、『ポーランド文学史上ほとんど唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家である』そうだ。あちらではあまりホラーは読まれないのだろうか? 本書は所謂『鉄道ホラー』の短編集。鉄道は昔からホラーの題材に...

『ポーランドのポオ、ラヴクラフト』とも呼ばれるグラビンスキの短編集。『訳者あとがき』によると、『ポーランド文学史上ほとんど唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家である』そうだ。あちらではあまりホラーは読まれないのだろうか? 本書は所謂『鉄道ホラー』の短編集。鉄道は昔からホラーの題材になっていたが、この短編集では、大勢の死者が出る、重大な事故を起こすパターンが多かったように思う。 余談だが、『訳者あとがき』に掲載された著者とラヴクラフト、言われてみれば確かに雰囲気が似ている……。

Posted byブクログ