逆行の夏 の商品レビュー
古本で持っている「ブルー・シャンペン」に収録されている作品の一部も含めて、新たに編集されたヴァーリィの短編集。 サイバーパンクの先駆けとも称される、身体改変や自我のデータ化が当たり前となった未来世界を描き出しつつ、そこに流れているのは孤独と諦観。如何にも日本人受けしそうな作風です...
古本で持っている「ブルー・シャンペン」に収録されている作品の一部も含めて、新たに編集されたヴァーリィの短編集。 サイバーパンクの先駆けとも称される、身体改変や自我のデータ化が当たり前となった未来世界を描き出しつつ、そこに流れているのは孤独と諦観。如何にも日本人受けしそうな作風ですねー。 鴨的にはセンチメンタリズムが鼻についてしまってイマイチな作品もありましたが、独特の世界観は一読の価値あり。久しぶりに読んだ「PRESS ENTER■」がやっぱり面白かったなー。
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生きることに慣れすぎていたせいか、人生を終わらせる決定的な一歩を踏み出すことができなかった。待てばいいのだ。人生はわたしにひとつ喜びをもたらしてくれた――また別の喜びがあらわれるかもしれない。 (P.251)
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テープとか出てくるブツは、いまから思えば 前の時代と感じることもあるけど、書かれたのは30~40年前。 未だ実現されていない(実現途上)というだけでなく、 感覚として、技術だけではなく扱っている世界やテーマが、 現在の世界の、まだ未来か、現在進行という感覚を覚える。
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ひょんな事で時間がかかってしまったので、印象がばらばらなのだけれど、それでも、現代的にはもはや八世界シリーズは当時の熱狂みたいな解説付きでなければあまり熱くなれない作品であるのに対して、逆に、Press Enterみたいな、ホラーっぽい(しかも、ガジェットが大きな役割を果たすホラ...
ひょんな事で時間がかかってしまったので、印象がばらばらなのだけれど、それでも、現代的にはもはや八世界シリーズは当時の熱狂みたいな解説付きでなければあまり熱くなれない作品であるのに対して、逆に、Press Enterみたいな、ホラーっぽい(しかも、ガジェットが大きな役割を果たすホラー)話の方が賞味期限が長かったのか?と思うような感じ。どうしてそういうことになるかというと、むずかしいですね。既に、現在から見ても過去が舞台としか思えないのだけれど。
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円城さんが帯を書いていて、上田早夕里さんがいつぞやのSFマガジンで好きな作品として挙げられてたブルー・シャンペン収録ときたら読まない選択肢は無かった。 傑作選らしくどのお話も面白かったけど、一番好きだったのは「残像」かな。
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『ハヤカワ文庫補完計画』ラインナップの1冊。暫く邦訳が途絶えていたらしい。 収録作は6編と決して多くはないが、作風の幅は広め。『逆行の夏』『さようなら、ロビンソン・クルーソー』はSFらしいSFだが、『残像』はセンチメンタルなラブストーリー、『バービーはなぜ殺される』は一風変わった...
『ハヤカワ文庫補完計画』ラインナップの1冊。暫く邦訳が途絶えていたらしい。 収録作は6編と決して多くはないが、作風の幅は広め。『逆行の夏』『さようなら、ロビンソン・クルーソー』はSFらしいSFだが、『残像』はセンチメンタルなラブストーリー、『バービーはなぜ殺される』は一風変わったミステリとしても読める。しかし、どの短編も叙情的で、切ない読後感という共通点があった。 6編の中では矢張り『バービーはなぜ殺される』を推したい。特殊な条件下での犯罪という謎解きの面白さもさることながら、その『特殊な条件下』で、人間がどういう変貌を遂げるのかという思考実験に成功していると思うから。『残像』にも思考実験的な要素はあるが、こちらは寧ろコミュニケーションとディスコミュニケーション、或いは言語とコミュニケーションの断絶というテーマを扱っている側面が強い気がする。
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