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陸軍大将 山下奉文の決断 の商品レビュー

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2015/09/16

講談社「死は易きことなり」改題文庫化。 旧日本陸軍大将山下奉文[やましたともゆき]1885~1946の伝記。主にシンガポール華僑粛清事件(1947シンガポール、マレーシア)での山下奉文の関わり方に焦点を当て、現地の華僑、および加害者側である日本軍関係者に取材し丁寧に描かれています...

講談社「死は易きことなり」改題文庫化。 旧日本陸軍大将山下奉文[やましたともゆき]1885~1946の伝記。主にシンガポール華僑粛清事件(1947シンガポール、マレーシア)での山下奉文の関わり方に焦点を当て、現地の華僑、および加害者側である日本軍関係者に取材し丁寧に描かれています。 また、二・二六事件(1936東京)への山下奉文の関わり方も深く掘り下げており、事件の概要もおさらいする事ができます。 第二次世界大戦に於いて、日本軍は近隣諸国に迷惑を掛けた。と言うことです。近年は、被害を声高にする国に注目しがちでした。では、実際はどうだったの? ちゃんとお勉強してみたくなり、この本を手にしました。 実際に裁判が行われ、判決の結果死刑判決も出され、執行されているこのマレーシア華僑粛正事件。最高責任者で粛正の指示を出した山下奉文本人は裁判当時は、別件(フィリピンで、命令を聞かない海軍が起こした住民虐殺事件)で死刑判決を受け、執行済み。現在は、首謀者は、辻正信(1902-1962?)の発案を押し切られた形で山下奉文が軍に下命したと認識されているようです。 さて、被害者、加害者ともに丹念に取材した本書での評価は如何なものか。僕は「なるほど、そう言う感じかも知れぬ。」とリアリティーを感じました。 国際ルポとしても、さすがにアメリカの大学で学んだ著者ならではの、通訳を介したインタビューの特性、記事にする際には、必ず複数の証言、証拠の一致、裏取りが必要であることも具体例を示して訴えており、ノンフィクション作品としても、読み応えのある一冊でした。

Posted byブクログ