巨大化する現代アートビジネス の商品レビュー
アートとは何か。 アートに関わる様々なプレイヤーが、独自の答えを追求している。 現代アートがどこへ向かうのか、目が離せないし、願わくば渦中に身を置きたい。
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現代アートの世界では、なぜ巨額の金が動くのか。アートを売る画商・ギャラリスト・競売会社らと、アートを買うコレクター・投機家の両サイドから、巨大化すると同時に閉鎖的で秘密主義でもある現代アートビジネスの世界を覗く。 こういうの読みたかった!最初からガンガン具体的な金の話がでてき...
現代アートの世界では、なぜ巨額の金が動くのか。アートを売る画商・ギャラリスト・競売会社らと、アートを買うコレクター・投機家の両サイドから、巨大化すると同時に閉鎖的で秘密主義でもある現代アートビジネスの世界を覗く。 こういうの読みたかった!最初からガンガン具体的な金の話がでてきて、広告王、ロシアの投資家、カタール王室、イヴ・サンローランなど、登場する人たちがいちいち景気いい。 原書がでたのは2008年のリーマンショックの余波が残る2010年。当初はこの未曾有の金融危機によって現代アートバブルも弾けるものと思われていたが、アートの価値が下落することはなく、むしろ安定した投資先としてますます需要が高まっているという。ただ、もちろんこの世界でも中国が急速に台頭してきている。 プライマリー・マーケット(アーティストの作品を最初に売買する市場)を回しているのは、画商・ギャラリスト・コレクター・投機家といった人たちで、資金力のあるメガ・コレクターとなると公共美術館などでは到底歯が立たない。 そうしたコレクターたちに作品を売り込むのが画商やギャラリスト。彼らは才能あるアーティストを発見し、プロモートする役割も担っている。だが一方で、ギャラリストに手数料を取られないよう直接オークション会社とやりとりするハーストのようなアーティストがでてきたり、実際に詐欺を働いたギャラリストもいたという。投機家はアートの現物をギャラリストに預けておくことがあるため、本当は自分のものではない作品を売り込んだり、別の作品を補償金がわりに渡したりなどして、システムの不透明性に漬け込むギャラリストが現れたのだ。 不透明という意味ではオークションも変わりがない。本書にはイヴ・サンローランの没後、パートナーのベルジェが二人のコレクションを競売にかけた際のレポートが載っているのだが、これがまた演出過多で煌びやか。お祭り騒ぎの空気と「サンローランの所有物だった」という付加価値で、どんどん金額が釣り上がっていく。だが、それが「本当に」売れたのか(空売り疑惑)、「誰に」売れたのかは闇のなか。落札額はその後も参考価格になるため、同じアーティストの作品を持つ人間にとっては金額が膨れ上がるだけ好都合なのである。 元メトロポリタン美術館館長の「今アートは美術史よりマーケティングに詳しい人間のためのものになっている」という言葉が印象に残る。そもそも競売やアートフェアなどのシステムが、グローバル資本主義に拠っているという大きな問題を現代アートは抱えている。著者たちが出身国フランスの現代アートビジネスへの出遅れを語る際に、「現代アートの中心地であるイギリスとアメリカはアングロサクソン・プロテスタントの国であり、資本主義が肯定される土壌がある」としていたのが面白かったし、ひとつの真実なのだろう。アートを神格化し、ビジネスの話をタブー視するほうがナンセンスなのだと痛感させられる一冊だった。
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世界で7.6兆円に達すると言われるアート市場は、その規模と華やかさとは裏腹に、なかなか一般人には実態がつかみにくい。本書では2人のフリージャーナリストの取材により、 ・現代アートの人気アーティストがどのように生まれるか? ・サザビーズ、クリスティーズなどでのアート・オークションの...
世界で7.6兆円に達すると言われるアート市場は、その規模と華やかさとは裏腹に、なかなか一般人には実態がつかみにくい。本書では2人のフリージャーナリストの取材により、 ・現代アートの人気アーティストがどのように生まれるか? ・サザビーズ、クリスティーズなどでのアート・オークションの実態は? ・中国が急速にアート市場でプレゼンスを高める中、なぜ歴史的にアートの庇護邦であったフランスは立ち遅れたのか? 等の疑問について、詳細な実態が明らかにされていく。 本書の最後は、現代アートとは何かを問うために、フランスの若手評論家・キュレーターのニコラ・ブリオーへのインタビューが収められている。この中で、現代アートの意義について、彼はこう語っている。 ”私がアートを定義するとすれば、「世界との新たな関わり方を生みだす活動」かな。現代アートが嫌いな人は、自分たちが常識だと革新していることを覆されたくないのです。そういう人は、世界がどう動くのか前もって知っていると信じている。ところがアート作品は、私たちを取り巻く世界の儚さを示してくれます。そういう既成概念を壊すのがアーティストですからね。” (本書p298より) 現代アートに限らず、前衛という概念ゲームが死んだ現代において、美術、音楽、文学といった芸術活動の意義とは、そこにこそ問われるべきである。
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美術の世界には全く疎いが、世界の美術界の仕組みが分かり面白い。 異様に高い価格が付くのは、金余りのバブルのようである。金持ちがさらに金持ちになる仕組みが、ここでも存分に機能している。 これは美術界にとって本当にいいことなのか?
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借りたもの。 現代のアートビジネスを包括的に分析するドキュメント。 「アートの価値は何か?」「何故高額になるのか?」 ブラックボックス状態の世界に切り込んで行く。 ……結論は漠然としていたけど。 画廊、アーティスト、コレクター、美術館、キュレーター……立場は微妙に異なりながらも...
借りたもの。 現代のアートビジネスを包括的に分析するドキュメント。 「アートの価値は何か?」「何故高額になるのか?」 ブラックボックス状態の世界に切り込んで行く。 ……結論は漠然としていたけど。 画廊、アーティスト、コレクター、美術館、キュレーター……立場は微妙に異なりながらも、“アート”に関わる人々の視点から、アートビジネスを分析していく。 本当にアートが好きな人、アートに価値を置き見出だした人、それを見越して投機目的に収集する人、教養としての箔をつけたい人…… そうした思惑から、多額の金が動く。 ある意味、リアル『ギャラリーフェイク』( http://booklog.jp/item/1/4091830218 )。 贋作云々ではなくて、オークションや画廊での販売、個人売買の駆け引きなどで。 アートの最前線はヨーロッパからアメリカへうつり、今は“グローバル化”に伴い、一国集中していないこと。 市場が拡大し、価値観も多様化した―― それはモイセス・ナイム『権力の終焉』( http://booklog.jp/item/1/4822250989 )にも言及されている現象と同じことが起こっているのではないだろうか。 リーマン・ショックのアート・ビジネスの影響、チャイナ・マネーの話などは避けて通れない。 日本市場の話題は村上隆で、作風よりも商業的な話、ルイヴィトンとのコラボレーションについてだった。 2016年はシュウ・ウエムラとのコラボレーションをしていたか…… 用語から、今、活躍している画家(知らない人も多い…)や世界のアート業界を左右する重要人物、コレクター、マーケットが垣間見れる。 未来の美術史では、この時代はどの様な価値観を見いだされるのだろうか?
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ナイーブに芸術を捉えている人には、新鮮な内容。ただ、村上隆の本や発言を見聞きしている人ならば、彼の言っていた事が再確認できるのには役に立つけれどそれ以上の価値はないかなと。
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投資目的で売買されるアートの世界は否定するつもりはないけど、どこかで抵抗を感じる自分がいるなぁ・・・。ひとりで何百億という金を動かせる人もいれば、生きるのにもギリギリな人がいる。ってつい考えてしまった。
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いやはや、アートが百億円単位で売買されるとは。浮世離れし過ぎて、どうぞご勝手にとしか申しようがない。ゴーギャンとかセザンヌとかピカソとかの作品は美術品であって万国の文化財でもあるから、大富豪が金に糸目を付けず購入した後きちんと管理し、後世に遺してくれるのはありだ。でも、現存アーテ...
いやはや、アートが百億円単位で売買されるとは。浮世離れし過ぎて、どうぞご勝手にとしか申しようがない。ゴーギャンとかセザンヌとかピカソとかの作品は美術品であって万国の文化財でもあるから、大富豪が金に糸目を付けず購入した後きちんと管理し、後世に遺してくれるのはありだ。でも、現存アーティストの得体の知れぬ作品のどこにそんな出鱈目な価値があるのか。億万長者100人組とやらが作りだした、仮構経済での価値にしか思えん。ましてや某アジアの大国の長者が主導する時代になると、芸術が下品なマネーゲームの世界に堕ちていくわ。
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アートビジネスをつき動かしているのが欲望。欲がないと巨額のマネーが飛び交うこともなければ、現代アートでこれはと思うような人を探して投資したりはしない。 今回の本は、「秘密厳守で不透明な世界」で、「祭りと欲望の世界」と著者が述べているように、一般人にはなかなか見えてこないアー...
アートビジネスをつき動かしているのが欲望。欲がないと巨額のマネーが飛び交うこともなければ、現代アートでこれはと思うような人を探して投資したりはしない。 今回の本は、「秘密厳守で不透明な世界」で、「祭りと欲望の世界」と著者が述べているように、一般人にはなかなか見えてこないアートビジネスに焦点を当てている。 買い手に中東、ロシア、中国の大富豪が参戦しているのが今の時代を反映している。そして、中国人の現代アーティストが人気を集めている。フランスは意外にも現代アートビジネスの世界で遅れをとっている。 読んでいると意外な事実や知らないことがたくさん出てくる。アートビジネスに関してアーティストはどう思っているのか知りたいものだ。
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