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つながりづくりの隘路 の商品レビュー

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2015/09/23
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多摩ニュータウンに関する研究は、これまで工学的な観点から分析され、取りまとめられてものが多い。本書は、「郊外」「コミュニティ」をテーマに社会学的に分析されている。行政によるコミュニティ促進政策が今もなお数多く打ち出され予算投入されているが、まち開きから四十数年が経過してもなお、コミュニティが生まれていないことの証明と言い切る。当該研究で、むしろ、なぜコミュニティが生まれないのかを 実証していく。興味深いのは、ニュータウン多摩市内に数多くあるコミュニティセンターに対する実態調査だ。もちろん成功事例や成果は数多くあったということを踏まえて、現実の悲哀を浮き彫りにしている。さて、ここまで明確に指摘されると事実と認めつつも改めてのショックを覚える。一方で、よくぞ斬りこんでいただいたと、その勇気ある論に拍手を送りたい。『このような耳の痛い状況を行政体は決して認めないことであろうが、このことをベースに地域コミュニティ政策を考え出していかねば、どこかで財政に頼れなくなった時点で、放置されることとなり、その時には、住民も街にソッポを向きゴーストタウン化するに違いないのだが、ニュータウンの団地の運営者は、独立行政法人UR都市再生機構であったり、東京都であったりするところから、 コミュニティ無き、住居の供給は続いていくこととなろう』(レビュー・感想投稿者) このまま、郊外は、コミュニティ政策と成果が伴わない結果のスパイラルな現象を繰り返していくのか? 筆者も述べているが、この研究の結論は、決して、コミュニティセンターや、社会福祉協議会によるサロン活動不要論では無い。しかしながら、他の施策も含め、このまま対処療法的にやっても一部の市民に対するサービスの提供にとどまり、結果、コミュニティは増進しない。 そうこうしている間に、中山間地域から忍び寄る限界化の波を被ってしまうことになりはしないかの警笛を発したのが本書である。 『まずは、行政自らが、これまでのコミュニティ政策を総括し、市民にわかりやすく報告するところから再構築されていくことが望まれる。』(レビュー・感想投稿者)

Posted byブクログ