慈悲深き神の食卓 の商品レビュー
ラマダーン月についての印象がガラリと変わった。 イスラム教の人々にとって大切な月であることは違いないが、夜はお祭りのような雰囲気であるというのは新鮮だった。 昼と夜のコントラスト。その雰囲気をぜひいつか体感してみたい
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恩師の本。食にまつわる数々のエピソードを通じてイスラームを身近に感じる、それでいて専門性には手を抜かない良本。スッと読み切れた。
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酒が飲めない、豚肉が食えない、断食付きまである。俺には無理。 一般的日本人の感覚ではなかろうか。 このところラマダーンの報道も、ISのテロの呼びかけとセットになってしまっていて、ますます理解が遠のいていく。 イスラームにあるさまざまな戒律は、それを守るべき人がきちんと守れ、...
酒が飲めない、豚肉が食えない、断食付きまである。俺には無理。 一般的日本人の感覚ではなかろうか。 このところラマダーンの報道も、ISのテロの呼びかけとセットになってしまっていて、ますます理解が遠のいていく。 イスラームにあるさまざまな戒律は、それを守るべき人がきちんと守れ、とされているもので、やむを得ない事情に対しての寛容さも持っている。もちろんその寛容さに対して宗派ごとに考えの違いがあったりするから対立もあるし、極度に何かに突出するとテロリズムも起こるのかもしれない。だがイスラームは、今の日本社会からは想像もつかないような優しい宗教だと思う。イスラームそのものへの理解もそうだが、日本社会はそういう面でまったく優しくないからだ。 本書の冒頭に、著者がカイロで見かけた、非常に粗末な食事をしている二人組の話がある。あまりの貧しさにじっと見つめてしまったとき、その男性は一緒に食べないか、と手振りでさそってきたという。二人前の食べものは三人に十分であり、三人前の食べものは四人に十分である。こんな考え方は、もう日本にはほぼ絶滅しているのではないか。 ラマダーンの日中の断食も宗教的戒律のひとつであり、他にもラマダーンにはさまざまな決まりがある。日中は性行為もいけない。ウソや悪口もいつも以上に厳しく禁じられる。巡礼も行われる。いきおい宗教的意識は高くなるというわけだ。 我々日本人も(僕はいかないが)大晦日の寒い中、ものすごい人混みに出掛けていってカネを投げ捨てる。前の年に作った食べものだけを数日間食べ続ける。 と書けば不可解な行為だが、そこにも多少は宗教的要素が遺っている。ただ、多少遺っている(しかも意識はほとんどされない)のと、意識的に自分たちを奮い立たせるのと、どちらが人間的か。 今から厳しいことをやるのは無理だな〜というだらしない気持ちがいっぱいだが、最初からそうだったら、きっと疑問なく受け入れるだろう。心の拠り所があるというのはいいものだ。 本書は食ということを切り口にイスラームをとてもうまく説明している。厳しい斎戒の一方で楽しみもあるのだ。責任と楽しみも表裏一体。なんでも自己責任にしてしまう我が国よりずっとやさしい。と、ついつい我が国と比較してしまうが、イスラームという宗教と、我が国というくくりでは本来比較になるはずがない。我が国にもムスリムはいるし。そこら辺からして、もう頭がジャパンプレミアムなのだ。せめて書に頼るしかないのが我が身であるが、とにかくステレオタイプに当てはめないこと、しかしその考えすらときどきは疑問に思うことなど心がけたいと襟を正す次第。
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