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ザ・原発所長(上) の商品レビュー

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2021/05/30

本社サイドのコスト削減要求と安全神話構築のための費用、立地地域に対する施設建設の矛盾する予算管理。 地震大国ともいうべき我が国のエネルギー政策の難しさと小手先でごまかそうとする政治・行政・東電の致命的な安全信仰が数々のエピソードから浮き彫りにされる。

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2019/01/02

私が一番読んでいる企業物の書き手である黒木亮氏による福島原発事故のドキュメンタリー風小説。これだけで全体を判断することには慎重であるべきだが、一言、「日本企業あるある」。こういう体質が自分の組織にも多かれ少なかれあることに目をつぶり、あいつらはひどいひどいと叩くことが我が国の危う...

私が一番読んでいる企業物の書き手である黒木亮氏による福島原発事故のドキュメンタリー風小説。これだけで全体を判断することには慎重であるべきだが、一言、「日本企業あるある」。こういう体質が自分の組織にも多かれ少なかれあることに目をつぶり、あいつらはひどいひどいと叩くことが我が国の危うさの本質、と感じる。 もちろん、ここに書かれている体質・構造は多くの「真っ当な企業人」から見て疑問は多々ある。もう少し何とかならなかったのか、と。真っ当な、すなわち収益にこだわりと責任を持ち、それゆえに自社の信頼を失わせるような曖昧さを許さない企業人。私は「収益目当てだと安全は雑になる」というのは一面的すぎると思う。 最後まで徹底的に逃げた人、徹底的に戦った人、これらは物語の中でストーリーにしやすい。一方で、平時に万事をだましだましやってきた人と、有事に身を挺した人とが実は同じ人物だった、ということも多々あった。人間はそう簡単ではない。そしてまた、絶体絶命の環境で戦った人は英雄として記憶されるが、一方予防のために汗をかいた人が報いられることは少ない。 そういった点を黒木氏はいつものように、丁寧に描いていたように思った。

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2015/10/17

黒木亮さん作品は、昔の投資銀行のディールものから、日本の高度成長を描くものに変容してきていますね。その中で、原発が個別テーマとして浮かび上がっています。"法服の王国"では裏のテーマでしたが、本書はそのものです。上巻で既に原発を取り巻く様々な矛盾が出てきており、...

黒木亮さん作品は、昔の投資銀行のディールものから、日本の高度成長を描くものに変容してきていますね。その中で、原発が個別テーマとして浮かび上がっています。"法服の王国"では裏のテーマでしたが、本書はそのものです。上巻で既に原発を取り巻く様々な矛盾が出てきており、下巻が怖いような…。

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2015/10/04

市立小学校・大阪教育大学附属天王寺中学・大阪教育大学附属高校天王寺校舎・東工大・東京電力。 市立小学校・大阪教育大学附属池田中学・県立高校・上智大・電力会社。 よく知らない人が見れば、そう違わないように見えるのではないだろうか。 しかし。主人公はなんだかうらやましい人生。 あるい...

市立小学校・大阪教育大学附属天王寺中学・大阪教育大学附属高校天王寺校舎・東工大・東京電力。 市立小学校・大阪教育大学附属池田中学・県立高校・上智大・電力会社。 よく知らない人が見れば、そう違わないように見えるのではないだろうか。 しかし。主人公はなんだかうらやましい人生。 あるいは、小さい差こそ、大きな差より、妬ましく感じるということなのだろうか。 15歳くらいしか変わらない主人公と自分の差を感じ、その上で、また彼が既に鬼籍に入っていることを思えば… 感慨深い本。

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2015/07/31

元・東京電力(株)福島第一原子力発電所所長の、 故・吉田昌郎さんを、主人公(モデル)にした、 (ノン?)フィクションの社会派大河小説です。 あえて、他作品と類似比較をしてみるならば…、 山崎豊子さんの『沈まぬ太陽』があるでそぅか? 両作品とも、舞台は、親方日の丸企業ですし…。 ...

元・東京電力(株)福島第一原子力発電所所長の、 故・吉田昌郎さんを、主人公(モデル)にした、 (ノン?)フィクションの社会派大河小説です。 あえて、他作品と類似比較をしてみるならば…、 山崎豊子さんの『沈まぬ太陽』があるでそぅか? 両作品とも、舞台は、親方日の丸企業ですし…。 本巻は、起承部となる上巻となりまして、 主人公の、小学校~若手社員時代までの様子が、 原子力発電の黎明期の、東電の出来事とともに、 順を追って描かれていますが…、 例えば、前述の『沈まぬ太陽』と比べてみると、 東日本大震災時の事故処理の布石なんでそぅが、 1つ1つのエピソードは、深掘りされておらず、 もぅ一つ、作品の中に踏み込めなかったかも…。 むしろ、 原子力発電の、黎明期~衰退期(事故)までを、 ガッツリと描いてくれた方が、よかったかも…? まぁね、本作品の読みどころは、 東日本大震災時の事故処理となる終盤ですが…、 果たして、下巻では、 吉田さんの功罪が、きちんと描かれているのか? 評価は、下巻への期待も込めて、ちと甘めで…。

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