終わりと始まり の商品レビュー
東日本大震災を挟んだ期間に記された池澤夏樹のこれらの時評において、印象深いのは池澤が「なじらない」と「あおらない」を主軸に据えて主張を丹念に続けてきたことだ。だが今回あらためて読んで印象を変えた。池澤はここでたしかに彼らしい「怒り」を吐露している。なるほどそれは破壊的かつ暴力的な...
東日本大震災を挟んだ期間に記された池澤夏樹のこれらの時評において、印象深いのは池澤が「なじらない」と「あおらない」を主軸に据えて主張を丹念に続けてきたことだ。だが今回あらためて読んで印象を変えた。池澤はここでたしかに彼らしい「怒り」を吐露している。なるほどそれは破壊的かつ暴力的な主張としては結実していないが、それでも「どうしてこうなった」というツッコミの目線は決して外してないと思うのだ。個々の主張には納得できないところもある。あるいはやや迷走を感じる文章もある。だけど、円熟した知識人の語りとして感じ取れる
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池澤夏樹の文章は読ませる文章だ。このコラムはまさにそんな文章。3.11直後の連載だからその手の話が多い。 すばらしい新世界にみるように氏は自然エネルギーの支持者であり思い入れの強さが伝わってくる。知識人は社会の様々な情報を集め自らの思想と照らし合わせて発信する、と定義していたが大...
池澤夏樹の文章は読ませる文章だ。このコラムはまさにそんな文章。3.11直後の連載だからその手の話が多い。 すばらしい新世界にみるように氏は自然エネルギーの支持者であり思い入れの強さが伝わってくる。知識人は社会の様々な情報を集め自らの思想と照らし合わせて発信する、と定義していたが大変腑に落ちた。これからもそのような発信を期待したい。
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実は、池澤夏樹さんの小説を読んだことがない。 ただ、朝日新聞に掲載される著者のエッセイは、いつも楽しみにしている。 タイトルの『終わりと始まり』はポーランドの詩人による詩作『終わりと始まり』に由来する。 戦争が終わるたびに 誰かが後片付けをしなければならない 物事がひ...
実は、池澤夏樹さんの小説を読んだことがない。 ただ、朝日新聞に掲載される著者のエッセイは、いつも楽しみにしている。 タイトルの『終わりと始まり』はポーランドの詩人による詩作『終わりと始まり』に由来する。 戦争が終わるたびに 誰かが後片付けをしなければならない 物事がひとりでに 片づいてくれるわけではないのだから この詩の、『戦争』をいろいろな言葉に置き換えてみると、いろいろなことが見えてくるし、感じられる。共感し、反発し、もう一度考えてみる。
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