「大学の死」、そして復活 の商品レビュー
2015年6月初版発行の絹川正吉先生の著書。 タイトルが衝撃的だが、数学者であり、学長(しかもICU)や大学教育学会長、特色GP実施委員長等を歴任した絹川先生の発信内容はそれ以上に刺激的だ。 なお、これまでの講演や論文のほかに収められている、「「教養」の万華鏡」や「ハーバード報告...
2015年6月初版発行の絹川正吉先生の著書。 タイトルが衝撃的だが、数学者であり、学長(しかもICU)や大学教育学会長、特色GP実施委員長等を歴任した絹川先生の発信内容はそれ以上に刺激的だ。 なお、これまでの講演や論文のほかに収められている、「「教養」の万華鏡」や「ハーバード報告書について」、「私立大学経営に関する絹川の主張の要約」は「付録」以上の読みごたえあり。
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本書によれば、大学教育は基礎学術(伝統的な学問の基本)を教えることとある。この主張に賛同する者、反論する者、賛同したくても推進できない者等、様々な人々が大学で活動している。そうした関係者が各立場ないし一個人として一読することで、否が応でも、大学について必ず再考するはずである。挑戦...
本書によれば、大学教育は基礎学術(伝統的な学問の基本)を教えることとある。この主張に賛同する者、反論する者、賛同したくても推進できない者等、様々な人々が大学で活動している。そうした関係者が各立場ないし一個人として一読することで、否が応でも、大学について必ず再考するはずである。挑戦的な本書名は、出版社の商業的企図を多分に感じさせるが、あえて彼らのねらいにのってもよいと思わせる内容であることは確かだ。昨今声高に唱えられている学士課程教育段階における職業教育を考える上でも、教養教育や著者のいう一般教育の位置づけは、重要な対称軸となろう。 特に大学職員は第4章「リベラルアーツ・カレッジで働く」で書かれている内容を理解する必要がある。例えば、著者はその昔、他大学を借り切って入試運営業務を統括した。「弁当」の手配もやった。また、自ら事務を執り、自らの職責に対する懲戒手続きを行った。他にも、履修登録科目の抽選に関するクレーム処理に対応したという。期限に遅れた卒論の受理の判断、成績不良による除籍の判断の話題もある。そうした経験からいえることは、制度の慣例・規則で一律に判断できない日常業務がつきまとうということ。以上のような事務との関連のある判断業務を行ったことがあり、学識を持った学者・研究者・大学経営者は、そう多くなないと考える。 ちなみに、個人的には、一定の枠組みを超えた業務は、ボランティア精神を以って対処しないと日常が回らないということをよく感じている。
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