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光と影で見る近代建築 の商品レビュー

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2022/11/26

 光と影は、実用的でありながら視覚的に美しい建築をつくる上で重要な要素であることが分かった。  美とは何か、形態がそれ自体の用途に適合している程度のことなのか (三島由紀夫「機能と美」参照)、 有用性を伴わなくとも存在する美があるのか (「真に美しいものは、何の役にも立たないも...

 光と影は、実用的でありながら視覚的に美しい建築をつくる上で重要な要素であることが分かった。  美とは何か、形態がそれ自体の用途に適合している程度のことなのか (三島由紀夫「機能と美」参照)、 有用性を伴わなくとも存在する美があるのか (「真に美しいものは、何の役にも立たないものに限られる。有益なものはすべて醜い。何らかの欲求の現れだからだ」byゴーチエ) (「建築はその外に目的をもつような、たんなる手段に過ぎない。必要は芸術の外にあるもので、それをうまく満たすことは芸術とはかかわりのないことだし、それでもって芸術作品が生み出されることもない。この囲いは、もはや自分の内部に意味を持たず、自分の外部に意味を見出すものとなり、建築作品としての自立性を放棄」byヘーゲル) 色々と考えさせられる。 著者はまともな人間のための実用性を可視的二次性質である光と影の効果で適切に提示することによって空間を造形することが建築芸術の真髄であると述べている。 ・p.231 建築物の実用性を純粋に追求しながら、その外観や内装において人の目に相応しい可視的な「二次性質」としての光と影を効果的に生み出す →過剰な装飾や奇抜な外観構成に頼らず、建築を鑑賞する人の目に知覚可能な光と影の面を適切に対比させることで、その用途に適った立体造形物として建築物を実現 ・p.237 芸術作品の完成の域…有用性を持つ形態の美(持続的で永続的な感情)+装飾的な美 建築における実用的な美=その用途、機能が個人や社会の幸福を促進する傾向をもつ行為体系の一部で社会的善福に寄与 (アウシュヴィッツは殺戮と拷問を目的として実用性と有用性、効率性までもが徹底的に追求された→ここでは実用性は人間性の対極)

Posted byブクログ