風にそよぐ葦(下) の商品レビュー
社会の空気。その時代を彩る流れ。どうしてこんなおかしなことが起きているのに、その悪い流れは止まることなく、悪政への支持は落ちることなく、ますます悪い方向へと流れていくのか。そのような感覚が、今の日本の空気感と地続きなもので、読んでいてある種の恐ろしさのようなものを感じた。軍部がふ...
社会の空気。その時代を彩る流れ。どうしてこんなおかしなことが起きているのに、その悪い流れは止まることなく、悪政への支持は落ちることなく、ますます悪い方向へと流れていくのか。そのような感覚が、今の日本の空気感と地続きなもので、読んでいてある種の恐ろしさのようなものを感じた。軍部がふんぞり返る社会で、どのような立ち位置をとるのか。権力への追随、転向、そして破局。市井の人々に求める犠牲。悲劇と怒りと諦め。その描写が読んでいて胸が苦しくなるくらいリアリティがあった。そして敗戦からの混乱期。道徳観の逆転。そこに翻弄される人々。社会派の小説でありながら、ここまでストーリー展開が面白いとは想像を超えていた。
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戦前、戦中、戦後の市井をきっちり描いた素晴らしい本だと思う。読書を通して、今の北朝鮮はこんな景色かなぁとか、戦後の日本の価値観の崩壊が、今の日本とがオーバラップして見えたり、いろいろ考えさせられた。みんな読んで欲しいなぁ
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今、この政局、この世論、こんなご時世だからこそ、読むべき本を努めて探しているような感覚の昨今…利便性だけで、ほぼ全てをAmazon頼りなのもどうかと思い、本屋で徘徊して手に取ったのが、本著…不勉強な私は、石川達三氏の著作どころか、その名前さえ知らなかったという体たらくだったのだが...
今、この政局、この世論、こんなご時世だからこそ、読むべき本を努めて探しているような感覚の昨今…利便性だけで、ほぼ全てをAmazon頼りなのもどうかと思い、本屋で徘徊して手に取ったのが、本著…不勉強な私は、石川達三氏の著作どころか、その名前さえ知らなかったという体たらくだったのだが…果たして、、、読了した今、この小説と出会ったことに(まぁ、そのタイミング的なことに限って言えば、幾分、その日会う人との会話の足しにと、かなり浮ついた気分的な事もあったのだがw)、とても満足している…というか、自分たちのオピニオンは、すべからく自由で、限界など無いと思えるインターネット社会に生きている我ら現代人こそ、かつての、ほんの70年程度前にあった、言語統制や思想弾圧のもたらす不幸が、決して過去のものでは無く、すぐそこにある危機だと再認識させられる、小説の形を借りた警告文だとも思える。 そして、特に引き込まれた理由は、主人公(といっても、〝主〟といえる登場人物は、何人も居るのだが)の一人、中央公論新社の社長をモデルにしたという、葦沢悠平や、息子泰介の妻榕子達が、その時局時々で見せる、当時の〝大日本帝国国民〟の全ての人々が抱えていたであろう、脆さ弱さ狡さ、はたまた混沌の中で辛うじて保つ底力を、淡々と必要以上にドラマチックしない描き方だとも思う。 この本を読み終わった今、次に手にとっているのは、おおよそ自分には似つかわしく無い(笑)『思想をつむぐ人たち…鶴見俊輔コレクション1』…こんな、世の中だらこそ、思想とか哲学とかを軽んじないようにしたい気分だ…まぁ、ほんとうに影響を受けやすいヤツだと自嘲しながらも、適当にポリティカルの事や、宗教的、哲学的な事を、ぶん投げて、面白おかしく生きて行くなんてどだい無理な自分を、かなり好きだったりするのも、否めないのだが…(苦笑)
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読み進めていくのが辛い。 これだけ冷静に書けるということもすごい。 まさに怒りをたたきつけるように登場人物に語らせている。ようやく上下巻を読み終えた。
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