墜落遺体 新装版 の商品レビュー
何年経っても忘れられない衝撃の事件が日航機墜落事故だ。 山肌から立ち上る白煙、生存者の救出、黒焦げの木々、、、 悲惨な墜落現場ばかり地獄絵図として取り上げられているが、もう一つの地獄絵図が体育館にあった。 猛暑、たちこめる悪臭、遺族の嘆きや叫び、怒りに満ちた空間。 そんな中で、犠...
何年経っても忘れられない衝撃の事件が日航機墜落事故だ。 山肌から立ち上る白煙、生存者の救出、黒焦げの木々、、、 悲惨な墜落現場ばかり地獄絵図として取り上げられているが、もう一つの地獄絵図が体育館にあった。 猛暑、たちこめる悪臭、遺族の嘆きや叫び、怒りに満ちた空間。 そんな中で、犠牲者の身元確認班長を務めた筆者が検屍から身元確認引き渡しが終わるまでの127日間を振り返った本。 最初の4日間、不眠不休で検屍や身元確認に携わった警察官、医師、看護師の方たちの早く犠牲者を家族のもとに返したいという思いに胸を打たれた。 最後の一人、1体まで諦めずに絶対家族に返したいという情熱、執念には感動した。 また、日赤の看護婦さんたちのやさしさと強さにも心打たれた。 こんな闘いが遺体安置所で行われていたとは。 なんでこんな事故が起きてしまったのか なんでこれほど多くの犠牲者を出さなければならなかったのか。 なんで私はいまだにこの事故に囚われているのか まだまだわからない
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1985年8月12日、今から30年前に、群馬県の御巣鷹山に日本航空123便(羽田発伊丹行)が墜落し、乗員乗客524名のうち520名が亡くなった。本書は、その現場で遺体の身元確認の責任者を務めた群馬県警高崎署刑事官(当時)による、127日間の壮絶な記録である。 著者が警察官を退官後...
1985年8月12日、今から30年前に、群馬県の御巣鷹山に日本航空123便(羽田発伊丹行)が墜落し、乗員乗客524名のうち520名が亡くなった。本書は、その現場で遺体の身元確認の責任者を務めた群馬県警高崎署刑事官(当時)による、127日間の壮絶な記録である。 著者が警察官を退官後執筆し、1998年に発刊、2015年に文庫化された。 本書には、著者がまえがきで述べる、「窓という窓を黒い幕で覆った体育館の中で、汗みどろで作業をつづける医師、看護婦、警察官らの集団。おびただしい数の死体が放つ悪臭と、もうもうと漂う線香の煙。時折、館内の喧騒をつんざいて走る女の悲鳴、号泣、そして叫喚の声。まさしく地獄絵図としかいいようのないおぞましい光景」が約300頁に亘って描かれており、ときに涙を堪えられない、心に迫るものである。 「死んで神に召されたので、遺体を引き取る必要はない」という西洋人がいる一方で、人としての形を留めず、一見、木の根や火山石にさえ見える離断遺体や部分遺体の身元確認を続ける、現場の医師、看護婦、警察官たち。。。生と死の捉え方は宗教や文化により一様ではないが、こうした宗教観・死生観・価値観を体現する人々が、日本を日本たらしめ、支えているのではないかとさえ思う。 ノンフィクション作家による取材ではなく、現場の警察官だからこそ、センシティブな心の動きが描き得ている作品とも思う。 全世代の必読書のひとつと言える。 (2015年7月了)
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520人が一瞬で犠牲となった日航123便の墜落事故。その遺体の検屍、身元確認と遺体の引き渡しの最前線で責任者として現場を指揮した警察官の方が自らの体験を記したノンフィクション。航空機が墜落する事故というのがいかに凄まじい衝撃を搭乗者に強いるのか、本書に記録されている遺体確認の現場...
520人が一瞬で犠牲となった日航123便の墜落事故。その遺体の検屍、身元確認と遺体の引き渡しの最前線で責任者として現場を指揮した警察官の方が自らの体験を記したノンフィクション。航空機が墜落する事故というのがいかに凄まじい衝撃を搭乗者に強いるのか、本書に記録されている遺体確認の現場の描写によって描かれています。頭部、胴体、手足がバラバラになり、場合によっては隣り合ったり前後の座席の乗客の胴体にめり込んだ部位を丁寧に分けながらの身元確認。腐敗の進行が著しく早い真夏の現場で、凄まじい死臭と格闘し続けた警察、医療関係の人々の献身的な活動の記録です。どんなに小さな部位も身元の誤認をさせない、少しでも綺麗な状態で遺体を遺族に引き渡したいという執念に近い矜持をもって作業にあたった関係者の人々の姿は自分たちの仕事に対する尋常ではない責任感とプライドを感じさせます。大きな犠牲を伴う事故の現場の記録ですから、綺麗ごとではなく、かなり残酷で読み進むのが辛くなるような描写もたくさんあります。しかしそういう状況の下でこそ「誠意をもって対応する」とはどのような事なのかを本書は読者に訴えているように思えます。
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現代日本人として忘れてはならない、 学ばねばならない大事件のひとつだと思う。 事故時のやるべきことを取りまとめた マニュアル化ではなく、 あれほどの大惨事の混乱の中で、 どれだけの人間が、被害者のために、 遺族となられた方のために「安らかなれ」 という気持のもとに、自らの職務に忠...
現代日本人として忘れてはならない、 学ばねばならない大事件のひとつだと思う。 事故時のやるべきことを取りまとめた マニュアル化ではなく、 あれほどの大惨事の混乱の中で、 どれだけの人間が、被害者のために、 遺族となられた方のために「安らかなれ」 という気持のもとに、自らの職務に忠実にして、 人間として、できる限りの力と誠意を注ぎ込んだのか。
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内容紹介 「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。確認までの127日間が鮮烈に描きだされる。
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