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花と木のうた の商品レビュー

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2024/07/18

吉野弘さんの詩文集ですね。 吉野弘さん(1926ー2014、山形県生まれ)詩人。 題名に惹かれて図書館で借り受けました。 吉野弘さんの娘さんの、奈々子さんが編んだアンソロジーです。      池の平  高原の  遅い春。  雲は山頂近くに退いたが  池の面にひれ伏した枯萱軍団...

吉野弘さんの詩文集ですね。 吉野弘さん(1926ー2014、山形県生まれ)詩人。 題名に惹かれて図書館で借り受けました。 吉野弘さんの娘さんの、奈々子さんが編んだアンソロジーです。      池の平  高原の  遅い春。  雲は山頂近くに退いたが  池の面にひれ伏した枯萱軍団の  刀折れ矢尽きた姿は  一冬の雪の重量を語る。  雪の下敷きになっていた灌木たちは  しかし、おもむろに立ち上がる。  寒風にいたぶられていた木々の枝は  温い陽射しに軽口を叩いている。  放心から充溢へと急速に動く今ーー  先頭をきって  水芭蕉の戦隊が一斉に純白の帆を張る。   高原を夏へ  一気に牽引するかのように。      樹木は  樹木はおもう。  人のくらしは  樹木のくらしにそっくりだと。  樹木は それを  こんなふうに歌う。   ー 遠く 人があるくように     遠く 人が運ぶように     深く深く     くまぐまを     僕の根は歩いて運ぶ     人がせっせっと歩くように     人がせっせっと運ぶように                 と。  どちらかと言うと樹木の詩が多いでしょうか。 私の好みの詩風とは違うのでなんとも言えませんが、少し理付くめで硬い感じの詩が多いですね。 茨木のり子さんや石垣りんさん、谷川俊太郎さん等と共に活動された詩人さんのようです。 エッセイも数々紹介されています。植物学者の書かれた物かと思う位に植物の生態に言及されています。

Posted byブクログ

2017/05/18

収録してある詩は、他の詩集にもみられるが、後半②以降は、吉野弘の花と木、関連して人に関する思いが散文として書かれており、興味深い。▼「花の生き方」では植物学的視点から、花が大事な受粉の過程を説明。花が思い通りにならない他者すなわち、他花の花粉、昆虫、鳥、風、雨水などの力を力を得て...

収録してある詩は、他の詩集にもみられるが、後半②以降は、吉野弘の花と木、関連して人に関する思いが散文として書かれており、興味深い。▼「花の生き方」では植物学的視点から、花が大事な受粉の過程を説明。花が思い通りにならない他者すなわち、他花の花粉、昆虫、鳥、風、雨水などの力を力を得て受粉して生命を持続している姿に感銘している。それは我々人間や、生命全体にも通じる。我々は他者の力を得て生きているし、逆に我々も他者の生に影響を与えている。▼「剪定」では、栽培用樹木は人が余分な枝を切り払い、自然の木々は強い風で梢が互いに打ち合って不要な枝が払われる。そこから人間のエゴイズムが四方に枝を張り出した姿に思い至っている。我々は張り出したエゴイズムの心の剪定をしているのか?

Posted byブクログ