いま、大学で何が起こっているのか の商品レビュー
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ブログを昨年頃から拝読していて、つい先日この本のことを知って手にとった。 いまの大学、特に国立大をめぐる状況にはいつももやもやしているのだけれども、その始まりの頃からの文書や報道が紹介されていて、おさらいと、考える材料を得ることができたのでよかった。 大学改革の話題って、不寛容な社会、というのと根っこのところでは繋がっている話だと思うので、もっと社会全体を巻き込んで議論できると良いよね、と思うのだが。みんな自分のことで忙しいから難しいかな。
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官主導で、文学部とか役に立っていない学部なんて、必要ないし、という強引な大学改革の動きや教育学部不要論、東大などでの軍事研究Okの動きなど、なかなか見えにくい大学改革の流れを解説する復数の論考をまとめたもの。
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国は「国立大学に教員養成系、人文社会科学系の学部は不要で廃止するか他分野への転換に取り組むべき」といい、内閣府の産業競争力会議が「大学改革」を唱える。貧すれば鈍するとはまさにこのことで、ただでさえOECD諸国なのかでは極端に少ない高等教育・研究関連の予算をさらに減らしながら、成果を出せという。著者は言う「革新的イノベーションは、どこからやってくるか予想が付かないから、革新的なのである。逆に言えば予測可能な範囲内にある成果は、革新的とは言えない。だから限られた予算を有力な分野に振り向けるという戦略は、短期的には成功するかもしれないが、長期的には失敗する」。 大学ついて、著者は「何かをしなければならないという強い責務がない状態は大事だ」とし、かつては「モラトリアム」の名の下に批判されたが、いまや「猶予期間」の大事さを思う、と書く。「学生にとって大学は「実」を結ばせる場ではなく、「種」を獲得する場である」。いちいちがもっともの話であった。
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大学を取り巻く状況はかなり良くない。著者の主張はとても正論だと思うが、刺激的ではない。それだけで支持されにくい。
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流れにまかせてFD関係の仕事をしているが,FD推進の名の下に多くの間違いを犯しているのかも知れない。立ち止まって考える余裕をもちたい。
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