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出雲族の声なき絶叫 の商品レビュー

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2023/01/22

目次 はじめに 第一部 「記紀」と『出雲国風土記』 『出雲国風土記』の性格 『古事記』と『日本書紀』の性格 謎の人物、石上麻呂 『古事記』の謎 太安万呂 「サンカ族』の素性 記紀の陰謀 出雲国遺民の抵抗 第二部 『万葉集』と「記紀」を読む」 『万葉集』をどう読むべきか? 万葉時代...

目次 はじめに 第一部 「記紀」と『出雲国風土記』 『出雲国風土記』の性格 『古事記』と『日本書紀』の性格 謎の人物、石上麻呂 『古事記』の謎 太安万呂 「サンカ族』の素性 記紀の陰謀 出雲国遺民の抵抗 第二部 『万葉集』と「記紀」を読む」 『万葉集』をどう読むべきか? 万葉時代の日本語――『万葉集』から日本語の変遷を探る 記紀時代の日本語――危機から日本語の変遷を探る 音韻変化法則の証明――記紀・万葉から、ヤマト言葉の変化過程を探る 概要 メインになっているのは、第一部の「「記紀」と『出雲国風土記』」で、期待していた内容とは違い、出雲族が大和族に征服された痕跡が出雲風土記に残っている……という恨み節の内容ではなく、偽史である「上記」(ウエツフミ)にあるウガヤ(上伽耶)王朝の実在と日韓同系説を前提としつつ、古代史を読み直すものだった。著者の前提と結論には反対するが、該博な知識から織り成される古代史解釈には学ぶべきものが大きいと感じた。ただし、大和朝廷に滅ぼされた出雲国遺民のサンカが被差別部落民になった(128頁)といった説明は眉唾だと感じる。 また、著者は、「母理郷」(ももりさと)の伝承から、出雲の大国主がオロチ族の住む古代越国(北陸)を征服したことがヤマタノオロチ神話につながっていると説くが(124-126頁)、私的には、能登の羽咋に、素戔嗚ではなく大国主がヤマタノオロチを退治したという伝承が残っていることに鑑みて、ヤマタノオロチ伝説は古代越国の征服ではなく、また、古代越国の平定、というよりも出雲への統合も平和裏に行なわれたものと考えたい。 なお、第二部の「『万葉集』と「記紀」を読む」は、万葉集と記紀を古代朝鮮語の知識を動員して読むというものだけれども、私には真偽を判断することはできず、完全にお手上げでした。ただ、「アルタイ語族である日韓両国語では」(145頁)、「慶尚道方言を「ヤマト言葉」と云うのは、洛東江流域に古代文化の華を咲かせた伽耶族の本家である上伽耶(ウガヤ)の一名を、「弥烏邪馬=ミオヤマ」(ミオ=神聖で偉大なる+ラマ→ヤマ=太陽のいるところ)と称したからである。その伽耶族は、早くから日本列島に渡来して、古代部族国家を建設した。」(182頁)、「平安初期頃までは、同じ言葉を使っていた日韓両国々民が、今日のように意志疎通ができなくなったのは、おもに母音交替現象の結果であると云っていい。」(193頁)といった記述には、やはりどこまで信じてよいのかわからないものが残る。

Posted byブクログ