芥川賞の謎を解く の商品レビュー
データ本としては、過去の歴史・なりゆきを知るためにとても面白い1冊。 今年に入って「芥川賞」がとても注目されるまで、新人作家さんの登竜門であること、十分経験を積むともう貰えない賞だということを知り、それを再確認できた1冊でした。 有吉佐和子氏の「いただいておりませんので。。。」の...
データ本としては、過去の歴史・なりゆきを知るためにとても面白い1冊。 今年に入って「芥川賞」がとても注目されるまで、新人作家さんの登竜門であること、十分経験を積むともう貰えない賞だということを知り、それを再確認できた1冊でした。 有吉佐和子氏の「いただいておりませんので。。。」の件はとても氏の特徴もあって面白い一文だった。
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物語の裏には興味深い物語がある。これだけの労力が費やされているのなら、芥川賞は読む価値のある本なのだと思った。
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昭和10年8月10日。第一回芥川賞最終選考会。石川達三の蒼氓が選ばれる。選に漏れた太宰は川端を刺すとまで言い逆恨みを募らせる。結局、太宰は2回目も3回目もダメであった。でも、もし、芥川賞をとっていたなら、天才幻想に憑りつかれ、明るさとユーモアのある中期以降の太宰はなかったかもしれ...
昭和10年8月10日。第一回芥川賞最終選考会。石川達三の蒼氓が選ばれる。選に漏れた太宰は川端を刺すとまで言い逆恨みを募らせる。結局、太宰は2回目も3回目もダメであった。でも、もし、芥川賞をとっていたなら、天才幻想に憑りつかれ、明るさとユーモアのある中期以降の太宰はなかったかもしれない。芥川賞は、その存在の大きさから作家を殺す賞ともいわれるが、太宰については、落ちたことで作家としては生かされたと言える。他方、受賞できた石川については、実力もあったが、運もあった。そもそも蒼氓は、改造の懸賞小説で落選した故に、公表されなかったもの。公表されていたならば、そもそも芥川賞候補になれなかった。大阪の旗という雑誌でも原稿掲載の話があったが、こちらも倒産し原稿は返却されている。けちがつきまくっている蒼氓は、著者に捨ててしまわれる運命にあったのに、無断で星座創刊号に掲載されることになり、これが結果として芥川賞候補となる。石川の回想録では受賞しなければ牧畜業者になっており、その後の活躍はなかったという。芥川賞80年の劇的なドラマと時代の流れを選評を通して読む。
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芥川賞の選考とその歴史、受賞した作家それぞれのエピソード自体が作品ともいえる、話のタネ満載の本。 選評から、受賞作はもちろん、受賞を逃した曰く因縁付きの作品も読みたくさせる。 こうも面白そうな作品があると教えられると、生きているうちに読破するのはとても難しそうだ。
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個々の(今では小説マニア以外は覚えていないくらいの)マイナー作家についての妙なエピソードの紹介が、ガラクタのように詰め込まれている感じもあり、新聞記者風の大げさでチラチラ切り替わる文体はうっとうしい。 けれども、菊池寛の企画としての芥川賞は、日本独自の文学の系譜を作るという意味で...
個々の(今では小説マニア以外は覚えていないくらいの)マイナー作家についての妙なエピソードの紹介が、ガラクタのように詰め込まれている感じもあり、新聞記者風の大げさでチラチラ切り替わる文体はうっとうしい。 けれども、菊池寛の企画としての芥川賞は、日本独自の文学の系譜を作るという意味では優れたものであったと思うし、その歴史の概観としてじゅうぶん面白かった。
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