放哉と山頭火 の商品レビュー
自由律俳句を代表する俳人である、尾崎放哉と種田山頭火。本書を読むまでは、酒で身を持ち崩し死地を探し放浪していたと言う点で、似た者同志という認識しか持っていなかった。 現代風に言うと、2人とも社会不適合なのだと思うが、その背景はまるで異なっていた。幼少期からの不幸な出来事の連続がそ...
自由律俳句を代表する俳人である、尾崎放哉と種田山頭火。本書を読むまでは、酒で身を持ち崩し死地を探し放浪していたと言う点で、似た者同志という認識しか持っていなかった。 現代風に言うと、2人とも社会不適合なのだと思うが、その背景はまるで異なっていた。幼少期からの不幸な出来事の連続がその後の人格形成にも影響を及ぼした山頭火に対し、放哉は東京帝大を出て一流企業に就職するエリートコースを歩みながらも、自らの酒癖の悪さでそのキャリアをふいにしてしまう。 山頭火がそんな放哉に憧れ、墓参にまで向かったというのがまた面白い。
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才能あふれ、行動力もありつつも、破滅的な死への衝動を避けがたく葛藤した二人に伝記 死に向かって鋭利に研ぎ澄まされていく放哉と、ひたすら歩くことで希望と絶望を体現した山頭火の対比が抑制された文章のなかで浮かび上がる 井泉水、井上井月もなかなか興味深い人物層で機会があれば読んでみた...
才能あふれ、行動力もありつつも、破滅的な死への衝動を避けがたく葛藤した二人に伝記 死に向かって鋭利に研ぎ澄まされていく放哉と、ひたすら歩くことで希望と絶望を体現した山頭火の対比が抑制された文章のなかで浮かび上がる 井泉水、井上井月もなかなか興味深い人物層で機会があれば読んでみたい 辞世からの想像だけど、 放哉は、死を見つめ続け、感覚を研ぎ澄ましていき、自分を外から見るようにして、単なる諦めとは異なる死との同化ともいえる境地に達したように思えた 山頭火は、ひたすら歩くことで自分にとって本質ではないものを振り切ろうとした 最後まで歩き続け、天(雲)へ達したと思う
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常にポケットに鬱屈とした気持ちを抱えた二人。酒に溺れ、現世を憂いた二人は救済としての死を求め続ける。 それでも、拭えない寂寥感や淋しさが彼らを自由律俳句へと導いていったのだろう。 我々が今持つ憂鬱や、「ここではないどこか」を求める気持ちと、人生を通して戦い続けた彼らの人生。少しで...
常にポケットに鬱屈とした気持ちを抱えた二人。酒に溺れ、現世を憂いた二人は救済としての死を求め続ける。 それでも、拭えない寂寥感や淋しさが彼らを自由律俳句へと導いていったのだろう。 我々が今持つ憂鬱や、「ここではないどこか」を求める気持ちと、人生を通して戦い続けた彼らの人生。少しでもそういった気持ちに心当たりがあるあなたはぜひ読んでみてほしい。 年表ではなく本文に記載の好きな俳句を一つずつ。 放哉 つくづく淋しい我が影よ動かしてみる 山頭火 いつまで死ねないからだの爪をきる
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時空の一瞬を切り取る単律句。 苦悩の代償としての放哉、山頭火。 わらやふるゆきつもる 井泉水 山頭火 鉄鉢の中へも霰 秋風あるいてもあるいても 焼き捨てて日記の灰のこれだけか 大きな蝶を殺したり真夜中 放哉 咳をしても一人 つくづく淋しい我が影よ動かして見る 板じきに夕...
時空の一瞬を切り取る単律句。 苦悩の代償としての放哉、山頭火。 わらやふるゆきつもる 井泉水 山頭火 鉄鉢の中へも霰 秋風あるいてもあるいても 焼き捨てて日記の灰のこれだけか 大きな蝶を殺したり真夜中 放哉 咳をしても一人 つくづく淋しい我が影よ動かして見る 板じきに夕餉の両ひざをそろへる にくい顔思ひ出し石ころをける 肉がやせてくる太い骨である 春の山のうしろから烟が出だした 寂しさの中にある、かわいさ。 孤独と、だめな人生と、いとおしさ。
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前半が放哉、後半が山頭火の生涯です。 後半の山頭火が霞むくらいの放哉の世捨て人っぷりと、クズっぷりは圧巻です。 アル中の転落人生、ただし恐ろしいほどの才能つき。 山頭火は絶望、出奔、放浪と酒びたりという分かりやすい人生ですが 放哉はエリート→酒癖でクビ→拾われる→酒で迷惑、の繰り...
前半が放哉、後半が山頭火の生涯です。 後半の山頭火が霞むくらいの放哉の世捨て人っぷりと、クズっぷりは圧巻です。 アル中の転落人生、ただし恐ろしいほどの才能つき。 山頭火は絶望、出奔、放浪と酒びたりという分かりやすい人生ですが 放哉はエリート→酒癖でクビ→拾われる→酒で迷惑、の繰り返しです。 そしてそのつどヘルプの手紙を出しまくるという傍迷惑な人間です。 それをここまで詳細かつ客観的に書ける渡辺先生、どんな人かと思ったら経済学が専門のアカデミックな方でした。 山頭火……すごくお好きなんですね……
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※このレビューにはネタバレを含みます
学歴エリートの道を転げ落ち、業病を抱えて朝 鮮、満州、京都、神戸、若狭、小豆島を転々、引 きずる死の影を清澄に詩いあげる放哉。自裁せる 母への哀切の思いを抱き、ひたひた、ただひたひ たと各地を歩いて、生きて在ることの孤独と寂寥 を詩う山頭火。二人が残した厖大な自由律句の中 に、人生の真実を読み解く、アジア研究の碩学に よる省察の旅。
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『放哉と山頭火の句が読む者を捕らえて離さないのは、二人が現代を生きるわれわれの苦悩を「代償」してくれるからなのだろう』 著者のあとがきだ。まったくそうだと思う。だがこの本は句集ではない。「放哉と山頭火の句」だけではなく「放哉と山頭火」に「代償」させるためのテキストだ。 二人と...
『放哉と山頭火の句が読む者を捕らえて離さないのは、二人が現代を生きるわれわれの苦悩を「代償」してくれるからなのだろう』 著者のあとがきだ。まったくそうだと思う。だがこの本は句集ではない。「放哉と山頭火の句」だけではなく「放哉と山頭火」に「代償」させるためのテキストだ。 二人とも、僕などまったく比べ物にならないほど、酒に溺れて問題を引き起こす。言ってみればダメ人間である。周りの人にも迷惑をかける。そうして、代償を背負ったああした句が生まれていく。彼らも自分を呪いながら生きていた。 そういう二人の死までの生が描かれているわけで、前述のとおり、単純な句集ではないが、ところどころに句が挟まれる。そうか、ここでそうくるのか…。十字架を背負ってもらうのを覗き見している感じ。
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放哉、舞鶴に来たことあるのか。 静の放哉、動の山頭火。自由ならざる死と孤独からの解放を詠った自由律俳人。 西田天香「懺悔の生活」。読まにゃ。
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