沈黙の山嶺(上) の商品レビュー
執筆期間10年(翻訳に2年)圧巻の傑作 様々な人の戦争と日常が交錯する、映画「ディア・ハンター」みたいな構成が、物語を全く飽きさせなることなく読ませてくれる ・第一次世界大戦における西部戦線の実態 ・イギリス・インド・チベット外交史の人間臭さ、帝国主義的傲慢さ ・都合3回に渡っ...
執筆期間10年(翻訳に2年)圧巻の傑作 様々な人の戦争と日常が交錯する、映画「ディア・ハンター」みたいな構成が、物語を全く飽きさせなることなく読ませてくれる ・第一次世界大戦における西部戦線の実態 ・イギリス・インド・チベット外交史の人間臭さ、帝国主義的傲慢さ ・都合3回に渡った、エベレスト登山隊の詳細な、詳細すぎる活動記録 ・登山隊に加わったメンバーのみならず、多数の関係者の日記や書簡を隅々まで徹底的に渉猟して調査し、事実関係や証言の誤謬、勘違い思い込みなどを考察し、当時生きていた人々(主にイギリス人ジェントルマン)が、何を考え感じていたのか、迫真に迫る再現性を実現 ・結局、ジョージ・マロリーは、どうなったのか?おそらく、これしかないという結論を提示 ・登山隊に参加したメンバーのそれぞれの人となりが面白すぎる。凄すぎる。全く飽きさせない。これが本書の最大の魅力。 などなど...、とても言葉では言い尽くせないほど、質と量に圧倒されまくってしまった作品
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第一次世界大戦の惨状と戦場から生きて還ってきた者が命を賭してエヴェレストに挑む姿とチベットに横たわる美しさと人を容易に寄せ付けない厳しさを持った山々、高原を彩る植物の美しさのコントラストが見事である。当然初めから登頂できるはずもなく、何度目かの挑戦でやっと山頂にたどり着くのであろうが、果たしてこの著書の結末はどうなるのであろうか。
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世代、階級、そして植民地主義の終焉という形で国家(英国)をものみ込んでいった第一次大戦後の時代の空気を、英雄マロリーら、エヴェレスト初登頂に賭けた若者たちの姿を通して描いた大作。
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まずは400ページ近い上巻を読了(笑) その半分は、戦争の話。いろいろな山岳本を読まれている人には、いままでの山岳小説やドキュメント本とはかなり違った印象があるはずです。 マロリーやアーヴィンの名前は、知っている人も多いでしょう。この二人を主人公として映画もたくさんあります。で...
まずは400ページ近い上巻を読了(笑) その半分は、戦争の話。いろいろな山岳本を読まれている人には、いままでの山岳小説やドキュメント本とはかなり違った印象があるはずです。 マロリーやアーヴィンの名前は、知っている人も多いでしょう。この二人を主人公として映画もたくさんあります。ですが、なぜ、イギリスがあんなにも必至になって、エベレスト登頂に執着したのか。上巻の半分を読んだあたりから、なるほどと思います。 エベレストがなぜエベレストか、教師だったマロリーがなぜ登頂したいとおもったのか、イギリスやインドネパール・・多くの国や人を巻き込みながら、イギリスという国が欲したものはなんだったのか。 著者ウェイド・デイヴィスは民族植物学者です。彼がなぜマロリーやアーヴィンを題材とし、第一次世界大戦からの視点でこの二人の行方を書いたのか。 下巻が楽しみです。
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