「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路 の商品レビュー
アジアインフラ投資銀行(AIIB)というものが、中国を中心として結成されたというニュースを聞きました。アジアの国々が中心に構成されていると思っていたら、欧州の国々が参加したようですね。 米国の要請を振り切って、英国が参加したということが話題になっていました。この機構に、米国も日...
アジアインフラ投資銀行(AIIB)というものが、中国を中心として結成されたというニュースを聞きました。アジアの国々が中心に構成されていると思っていたら、欧州の国々が参加したようですね。 米国の要請を振り切って、英国が参加したということが話題になっていました。この機構に、米国も日本も参加していません。日本は米国に追随しているからでしょうか、それとも、このような組織は、世界投資銀行がすべきと思っているから加入不要と考えているでしょうか。 AIIBの意義を解説してくれている本を初めて読みました。設立目的は、アジア中心にインフラを充実させていくようですが、今後の活躍ぶりに期待したいものです。 以下は気になったポイントです。 ・日本のメディアの分析していない点をあげると、1)AIIBは共産党の政治手段でしかない、2)金融の華夷秩序構築、である(p17) ・中国の四大銀行(工商、建設、農業、中国銀行)の貸付は全体の80%、査定は銀行だが最終決定は共産党がおこなう(p30) ・3.84兆ドルあるとされる中国の外貨準空っぽ、米ドルは高級幹部、経営者等によって海外へあらかた持ち出されている。保有する米国債券は、ドルと人民元交換の担保で引き上げられない(p34) ・AIIBは参加国の理事が討論するのではなく、最終的には中国共産党が全てを決める。また、人民元基軸体制を構築しようとしている(p38) ・外貨準備増加額よりも、外国金融機関からの借入額が上回っているのが現状。過去一年でも3000億ドルを海外金融機関から借り入れている(p40、95) ・IMFにおけるSDRの通貨バスケットは、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円である。2015年に十年ごとの通貨別評価を行う節目を迎える(p46) ・米国が人民元のSDR通貨入りに反対している理由は、1)中国の金融システムの閉鎖性、不透明性、があり国際決済通貨として無理がある、2)為替管理されていて変動相場制への移行が必要(p46) ・貸付は、設立以後に起債されるAIIB債券で集められる資金でなされる。金利をつけて株主から集めるが、格付けがどのようになるか不明(p53) ・中国の余剰設備、在庫処理をするのが中国の隠された思惑である。在庫セールと失業者の海外派遣はセットになっている(p60) ・米国IT企業が中国から総撤退する恐れが出たのは、現在準備中の「IT規制法」が、コンピュータ内部の漏えい防衛目的の暗号の解読方法を治安当局に開示せよ、という一方的な法律のため(p74) ・英国の参加は、監視と情報収集目的のため、ドイツ・イタリア・フランスの参加は、ユーロが米ドルよりも強くなればよいという動機、また欧米は、中国が勝手にロシアに資金援助をすることも制御可能(p75) ・中国共産党が天下を取った時には、共産党以外に七つの「民主団体」との連立政権だったが、毛沢東はそれらを一つ一つ潰していった(p142) ・2008年の北京五輪に合わせて、北京ー天津間を突貫工事で完成させた「和諧号」は、たったの30分で両都市を結んだ。時速350キロを記録(p140) ・中国の新幹線をスピード別に分けると3つある。Aクラス(時速300):北京、上海、武漢、Bクラス(時速250)、Cクラス(時速200)(p149) ・乗客の多くは安い飛行機に取られ、乗客にしても全線乗車ではなく、途中の乗降が多い。乗車率は複式で計測するので、4区間全線満席なら、400%という計算(p150) ・高級幹部の手口は、合法の賄賂を受け取る抜け穴としての利用で、贈賄側が巨額を負けて党幹部が勝つ。勝った人は正規の受取をホテルから発行してもらえる(p155) ・脱亜論は、日本史の中で4回あった。聖徳太子(遣隋使派遣)、菅原道真(遣唐使廃止)、荻生徂徠(朱子学の決別)、そして、福沢諭吉。(p169) ・地球儀を俯瞰する外交はミャンマーから始まった。累積債権5000億円をチャラにして、910億円を援助して、ヤンゴン郊外に工業団地を造成。2014年から開始(p200) 2015年10月11日作成
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2015/10/02:読了 このままでは格付け会社が、低格付けするため、投資のためのお金を集めるときに、信用問題があり、低金利の金があつめられず、失敗するという内容。 失敗するという論理の核だが、政治的に、格付け会社が高格付けしたら、この論理展開は、破綻する。 アメリカなら、何かの取引で、十分高格付けしそう。
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