暮らしを変える驚きの数理工学 の商品レビュー
一般には馴染みの薄い数学の応用に関する本.数学が実際に役立つ可能性を紹介したものである.内閣府のFIRSTプロジェクトに採用された先生方直々の説明が興味深い.編者の合原一幸先生には若い頃にいろいろ教えていただいたが,最近もシンポジウムでご講演をお願いした.難しい数式も証明も出てこ...
一般には馴染みの薄い数学の応用に関する本.数学が実際に役立つ可能性を紹介したものである.内閣府のFIRSTプロジェクトに採用された先生方直々の説明が興味深い.編者の合原一幸先生には若い頃にいろいろ教えていただいたが,最近もシンポジウムでご講演をお願いした.難しい数式も証明も出てこないので,一般の方にもお勧めの一冊である.
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医療、感染症拡散、地震予測、電力・通信NWにおける数理モデリング研究のお話(FIRST合原プロジェクト)。めちゃくちゃ面白い。一般向けだが、途中から電力・通信工学、最適化理論の素養がないとついて行けなくなると思う。個人的には、疾患の数理モデリング(前立腺癌の間欠的ホルモン治療)、...
医療、感染症拡散、地震予測、電力・通信NWにおける数理モデリング研究のお話(FIRST合原プロジェクト)。めちゃくちゃ面白い。一般向けだが、途中から電力・通信工学、最適化理論の素養がないとついて行けなくなると思う。個人的には、疾患の数理モデリング(前立腺癌の間欠的ホルモン治療)、デジタルグリッドによる線形計画問題への帰着、コグニティブ無線の最適化(ニューラルネットワークを用いた近似法、ネットワークフロー問題に帰着させた厳密法)が響いた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
具体例は個別研究をちゃんと調べた方がよく、あくまでも読み物としての位置づけ。著者は複雑系を力学と制御理論を組み合わせた複雑系制御理論を持って理解、工学的に取り扱えるようにしようとしている。この本ではこのくらいの言葉を知るだけで十分。というかそれ以上は自分で研究してみないとわからないし、日常生活には不要。ただ、アナログで数学的でないアプローチを主とする研究に従事しているなら、こんな世界が進んでいることを知るためにも読んだ方がいいでしょうね。
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電力のルータ化の話は感心しない。弱電出身の人は現実の電力系統モデルと町内レベルのエネルギ融通を、どうしても同じ感覚で見てしまうのだよね。パワエレは随分進歩したが、市場が機能するサイズの現実の電力系統ではギガワット(GW)オーダーの電力エネルギーを相手にするわけで、そのエネルギーを...
電力のルータ化の話は感心しない。弱電出身の人は現実の電力系統モデルと町内レベルのエネルギ融通を、どうしても同じ感覚で見てしまうのだよね。パワエレは随分進歩したが、市場が機能するサイズの現実の電力系統ではギガワット(GW)オーダーの電力エネルギーを相手にするわけで、そのエネルギーを変換するIGBTにしろ、電力貯蔵のテクノロジーにしろ、おそらく物理的に「エネルギーロス」の課題を解決するのは絶望的だと思う。損失率ではわずかであっても、GWオーダーに適用すると損失の絶対量は「省エネ」を吹き飛ばすくらいの非効率になってしまう。まったくの無駄エネルギーだしね。 物理的な効率性だけに着目すれば現在のAC連系の電力システムに匹敵するものはなく、その効率性優位を覆すメリットを、パワエレ変換技術→電力パケット化→市場を支えるテクノロジーのできあがり→市場の生成→需給システムの効率化達成・・というシナリオで得ようとするのは、おそらく筋悪だ。
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