キケロ もうひとつのローマ史 の商品レビュー
キケロは古代ローマの哲学者、弁論家として有名ですが、彼はあのカエサル(前100年頃~前44)とまさしく同じ時代を生きた政治家でもありました。 ローマ帝国と言えばカエサルというイメージが強い中、この本では主人公キケロを中心にローマ史を見ていきます。英雄の物語ではなく、ある意味敗者...
キケロは古代ローマの哲学者、弁論家として有名ですが、彼はあのカエサル(前100年頃~前44)とまさしく同じ時代を生きた政治家でもありました。 ローマ帝国と言えばカエサルというイメージが強い中、この本では主人公キケロを中心にローマ史を見ていきます。英雄の物語ではなく、ある意味敗者と言ってもいいキケロから見た古代ローマを見ていけるこの作品は非常に興味深いものがありました。 独裁を目指したカエサル。それに対し共和制を守り、立て直そうとしたキケロ。 この本はこの2人の立場の違いがはっきりとわかる名著です!
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共和政ローマ末期の政治家、マルクス・トゥッリウス・キケロの伝記。この本の最も重要な特徴は、従来は政治家としての力量や一貫性は疑問視されがちだったキケロのイメージを覆し、その場その場で可能な限りキケロは自らの信念に忠実な政治的な手を打っていたことを示そうとしていることである。キケロ...
共和政ローマ末期の政治家、マルクス・トゥッリウス・キケロの伝記。この本の最も重要な特徴は、従来は政治家としての力量や一貫性は疑問視されがちだったキケロのイメージを覆し、その場その場で可能な限りキケロは自らの信念に忠実な政治的な手を打っていたことを示そうとしていることである。キケロの行動と思想を貫く原理は「階級間の調和」だと特定したうえで、キケロは節操の無さによって身を滅ぼしたのではなく、むしろこの原理に忠実であろうとしたために、三頭政治に与することもなく、結果としてのちの帝政につながる流れに乗れなかったという、新たなキケロ像が提示される。この大きな特徴だけでなく、キケロのクリエンテーラ関係についての指摘など、共和政ローマの社会的ルールや制度についても知見を深めさせてくれる。
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