巨龍の苦闘 の商品レビュー
著者は官僚出身の中国経済の専門家。強大化のイメージと裏腹に中国共産党は崖っぷちに追い込まれており、習近平は危機感をもってこの難局を乗り切ろうとしていると説く。ここ数年の成長は、持続不可能な投資・負債バブルによるもので、習近平は「三中全会改革」を進め、規制緩和・国有企業改革・金利外...
著者は官僚出身の中国経済の専門家。強大化のイメージと裏腹に中国共産党は崖っぷちに追い込まれており、習近平は危機感をもってこの難局を乗り切ろうとしていると説く。ここ数年の成長は、持続不可能な投資・負債バブルによるもので、習近平は「三中全会改革」を進め、規制緩和・国有企業改革・金利外為規制の緩和を掲げ、打開を図ろうとしている。それが今後良いほうに転ぶのか、悪いほうに転ぶのかは断言をしていない。それは中国だけでなく世界との相互作用の中で決まるからである。ただこれまでの歴史として中国共産党は保守的社会主義と改革志向の間を振り子のように動き続けてきたことを著者は指摘している。
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中国経済に深く関わってきた著者だけに中身のあるものであった。 ①リーマンショック以降の中国経済の投資を中心とした成長モデル及びその限界、そしてニューノーマルへの移行が分かった。 ②中国の地方政府の債務問題を中央政府がどのように解決しようとしているのか分かった。 ③改革開放移行の右...
中国経済に深く関わってきた著者だけに中身のあるものであった。 ①リーマンショック以降の中国経済の投資を中心とした成長モデル及びその限界、そしてニューノーマルへの移行が分かった。 ②中国の地方政府の債務問題を中央政府がどのように解決しようとしているのか分かった。 ③改革開放移行の右寄り・左寄りの振り子の歴史が理解できた。 ④経済改革のみならず司法制度改革等の中身も詳細に記述されており示唆に富んだ内容でった。 全体として、メディアでは分からない中国の実態がよく分かる本だった。
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リーマンショックを受け、中国は57兆円もの公共投資を発動する。おかげで中国経済は劇的な回復を遂げ、いっときは世界経済の救世主とまで讃えられる。しかし、負債と投資を増やして成長を嵩上げするやり方は、いつかは止めなければならないときがくる。行け行けどんどん方式の投資は、本来やるべきで...
リーマンショックを受け、中国は57兆円もの公共投資を発動する。おかげで中国経済は劇的な回復を遂げ、いっときは世界経済の救世主とまで讃えられる。しかし、負債と投資を増やして成長を嵩上げするやり方は、いつかは止めなければならないときがくる。行け行けどんどん方式の投資は、本来やるべきでない、値打のない投資に手を出し、償還まで金が回らない低収益な投資事業を山のように生んでしまう。不採算投資がマクロに積みあがっていけば、経済全体で将来の融資に回せるお金が減る。借金は積みあがっていくのに経済全体のパイは大きくならない。財政には持続可能性の欠片もない。儲けの出ない資産とそのための負債が膨張し続けると、国全体のバランスシートが劣化する。金融危機の入り口に立つ中国。バブル発生のメカニズムはどこの国も同様であるが、症状の現れ方は国によって千差万別。この苦悩、習近平はいかにして乗り切るのか。G20ではどんな顔で議長を務めるのか。お手並拝見といたしたい。
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