中小企業 経営の急所 改訂版 の商品レビュー

池永章(著者)

2016/08/06

円安の恩恵を受ける大企業を除き企業の経営環境は不景気の真っ只中にある。この大不況を乗り越えるヒントについて毎年30社以上の新規顧客を獲得する福山市の税理士が解説。難しいことは語られていないが、実際に企業経営の中で実践し、ルーティン化するのは意外に大変なように思う。これらのことを実践しようと思えば社長の強力なリーダーシップが求められるわけだが。各項目ごとに筆者からの質問が添えられており、読み返した時にポイントの整理ができた。ただ、売上アップのポイントとして消費税の税抜き表示一本化を挙げているあたりはいただけなかった。あれは個人的には詐欺以外の何者でもないからだ。しかしコンサルする立場からは言わざるを得ないのかもしれない。
P73
覚えておいていただきたいのは、事業の内容を細分化すればするほど、専門性が高まり、コアな客からは選ばれやすいということです。ただ、事業のエリア人口からして、細分化しすぎて、成り立つだけの顧客数がいない場合には、エリアを広げた事業展開をするか、1つ上まで戻すということなのです。
P183
価格アップを図る場合に「アンカー」という概念を知っておく必要があります。アンカーとは、最初に提示された数値や情報が印象に残り、基準点（アンカー）となって、その後の判断に大きな影響を及ぼすこと。つまり、この商品はだいたいこの位の値段と最初に認識してしまった金額に、人は引っ張られるということです。「値頃感」と言っても良いかと思います。
P209
一番成功したのが、税抜き表示一本の表示法です。消費税率アップがあっても、このままで対応できます。例えば、居酒屋さんなど飲食店では、表示金額は同一で、税込みから税抜きに切り替えることによって、8％丸々、売上のプラスになりました。例えば、合計5,000円が5,000円×1.08＝5,400円となるのです。上記のように対消費者向けの事業の場合、「税抜き表示」一本での表示が、お買い上げ点数も増え、レジで別途、消費税ももらえ、事業者にとっては得になり、成功しました。