サイバーセキュリティと国際政治 の商品レビュー
スノーデン事件が巻き起こしたプライバシーvs国家の安全保障という対立軸を念頭に、米英のインテリジェンス機関や軍隊のサイバーセキュリティへの関与、国連における、サイバーセキュリティに関する多国間協議などについて概説している。 2015年に出版されたものであるのでもちろん情報の一部...
スノーデン事件が巻き起こしたプライバシーvs国家の安全保障という対立軸を念頭に、米英のインテリジェンス機関や軍隊のサイバーセキュリティへの関与、国連における、サイバーセキュリティに関する多国間協議などについて概説している。 2015年に出版されたものであるのでもちろん情報の一部は古くなっているが、米英のインテリジェンス機関のサイバーセキュリティへの関与の概要については辞書的に参照することが可能かと思う(インテリジェンス機関は種類が多く関係性も複雑であり、一読するだけだと分かりにくい部分もある)。 個人的には、本書のタイトルと同名の第6章が一番興味深く感じた。中露を中心とする上海協力機構(SCO)が、情報セキュリティを情報そのものとインフラストラクチャを含む幅広いものと認識した一方で、表現の自由を支持する米国は情報セキュリティをインフラストラクチャに限定すべきとしたことは、米国や日本における「重要インフラ」の捉え方にも少なからぬ影響を及ぼしているように思われた。 また、ロシアが、あくまで政府や国際機関がサイバースペースに責任を持ち、新たな国際法による統治が必要であると主張する一方で、米国(や日本)が、国連憲章を含む既存の国際法がサイバー空間にも適用され、基本的は民間事業者も主体的に関与して管理されていくべきであると主張したことも、面白い。たしかに、ロシアや新興国の立場から考えると上記のような主張が出てくるのは当然にも思われた。 このような対立軸の妥協案として公表された第3回GGEの報告書内容には、各国の苦労が透けて見えて面白い。 ちなみに、現時点で第6回GGEまで開催されているようであるので、各回の歴史を踏まえて今後読んでみようと思う。
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同氏は本書の目的をインテリジェンス機関がどのような役割を果たしているか検討することにしている。また同氏はサイバーセキュリティを非伝統的安全保障の一環として捉えている。
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