九州大学生体解剖事件 の商品レビュー
戦争の持つ狂気,誰もが陥る落とし穴.戦争をしてはいけないと強く思った.そして,裁判の自分だけは助かりたいとの思いの中で捏造され,スケープゴートが作られる恐ろしさ.正義なんてどこにもない.ただ,愛する人を救いたいという思いで嘆願し続けた蕗子の献身に心打たれた.真実は明らかにされるべ...
戦争の持つ狂気,誰もが陥る落とし穴.戦争をしてはいけないと強く思った.そして,裁判の自分だけは助かりたいとの思いの中で捏造され,スケープゴートが作られる恐ろしさ.正義なんてどこにもない.ただ,愛する人を救いたいという思いで嘆願し続けた蕗子の献身に心打たれた.真実は明らかにされるべきだ.
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九州大学で行われた生体解剖については、遠藤周作の『海と毒薬』でおぼろげに知っていたが、この本で初めてこの事件について「知った」。 この本の著者は、事件で有罪判決を受けた鳥巣先生の親戚ということもあり、どこか身内びいきなのでは? という気がしないわけではなかった。けれども、やはり...
九州大学で行われた生体解剖については、遠藤周作の『海と毒薬』でおぼろげに知っていたが、この本で初めてこの事件について「知った」。 この本の著者は、事件で有罪判決を受けた鳥巣先生の親戚ということもあり、どこか身内びいきなのでは? という気がしないわけではなかった。けれども、やはりそれだけではなく、著者の言う「真実」もまた真実なのだろうと思う。 戦争は人間の道徳心を麻痺させる。だから、戦時下にこのような出来事があったとしても不思議ではない(道義的に問題ではあるが)。 鳥巣先生の奥様(著者の伯母)は、夫の危機にも落ち込まず、前向きに戦っていき、すばらしい女性だと思った。それに対して、軍人たちの責任のなすりつけあいはみっともなかった。
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