制度的企業家 の商品レビュー
経営学の理論の中に「制度派組織論」とか「社会学をベースとした組織論」とかと呼ばれる理論体系がある。経営理論の中では比較的新しい分野であり、今でもなお、議論が続き、進歩している領域である。 その中に「制度的企業家」という概念がある。 本書は、その「制度的企業家」に関する学術論文を集...
経営学の理論の中に「制度派組織論」とか「社会学をベースとした組織論」とかと呼ばれる理論体系がある。経営理論の中では比較的新しい分野であり、今でもなお、議論が続き、進歩している領域である。 その中に「制度的企業家」という概念がある。 本書は、その「制度的企業家」に関する学術論文を集めた、論文集・学術書である。 実証研究・事例研究も多いのだが、理論的な研究が多く、うまく理解できたとは言い難い。 必要があれば再読することにして、とりあえず斜め読みをした。
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生半可な知識では読み解けない、制度派組織論の名著です。シャープ、ポピンズ、フリールの事例はとても面白いです。
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○経営学の保守本流であり、最新理論の「制度派組織論」の本だそう。 (研究者目線で読んだら面白いのだろうけど、起業家目線で読んで面白かったのは、数か所のみ。でも、その数か所のインパクトは大きかった。) === ・シュンペーターは、資本主義という制度そのものを説明しようとした。 ・...
○経営学の保守本流であり、最新理論の「制度派組織論」の本だそう。 (研究者目線で読んだら面白いのだろうけど、起業家目線で読んで面白かったのは、数か所のみ。でも、その数か所のインパクトは大きかった。) === ・シュンペーターは、資本主義という制度そのものを説明しようとした。 ・シュンペーターは、新奇性の発生を説明するために「新結合」というメンデルの法則をアナロジーにしたものを使用した。 ・制度と企業家は、相対するイメージでとらえられている。この二元論的な前提こそ、制度論の誤解を生みだした根源的原因であった。 ・我々は、制度化されるほど、個人としての独自性を求める。そうした制度化に反発する多様な利害を持つ人々(補助的制度)の組織化を通じて、新たな制度が誕生する。 ・官僚制が、組織を硬直化させるという考え方は、市井に浸透したイデオロギーに過ぎない。 ・その一因は、ウェーバーが官僚制を説明する際に用いた「鉄の檻」というメタファーにあるだろう。 ・官僚制は、自由な行動を妨げる「鉄の檻」というより、我々に「鋼鉄の甲冑」を与え、未知なる領域へと行軍することを許すものというイメージに近い。 ・明豊 創業者の坂田氏。R社との取引。 ・明豊の素直な社員たちを育成していくためには、顧客と直接やりとりのできる仕事でなければならないと考えた。そこで、坂田は、顧客と直接やり取りのできるラストワンマイルでの仕事に絞って、仕事を受注していくことを決意した。 ○人材育成の為の直販! この一文に出会えただけでも、この本を読んだ価値があった。 ・カーネギー学派は、合理性に限界をもつ人間が、意思決定プロセスの探索過程を省略するために使用する決定ルールを、組織ルーティンと捉えていた。これが、組織ルーティン概念の原意である。 ・ダイナミックケイパビリティーとは、既存のルーティンを環境適応的に変化させる高次のルーティンと考えることができる。 ○ダブルループ学習とも言える? ・デザインサイエンスは、伝統的な科学がバイアスの対象として忌避してきた介入を積極的に志向し、人工物の効果的なデザインを処方する点に特徴を持つ。 ・ポピンズは、蓄積された資源の再解釈と転用により、多角化を実現した。 ・特定の地域内に存在する埋め込まれた知識の連鎖が競争優位につながる。 ・大阪 メビック扇町 クリエイティブクラスターマップ ○福島さんの「職人図鑑」 ・コンバージョンEVの面白さを強調することで、利害対立を避けた。 ・成功する企業家は、構造的空隙を作り出す人では必ずしもなく、むしろ発見した空隙をどのように利用すべきかを知る人である。 ・規制があったから色々な隙間があった。 ・制度的障壁は、競合他社から事業を防御するための資源となった。 ・フリーランス Free-lance(自由な槍)の語源は、中世の傭騎兵である。 ・騎士言説により、企業は、新自由主義が掲げる自由と自己責任の原則に基づき、利潤極大化のための人件費削減を正当化する機会を得る。 ・従僕言説により、企業は、働く個人が外部労働市場に身を置くデメリットを周知させることで、より高い自由度を求める従業員を択位に支配し続ける機会を持ちうる。 ・とりわけクリエイターたちは、英雄と言う仮面をかぶり、英雄言説を語る。 img191%20%282%29.jpg ○これはあるよな~。特に、起業を煽る系だと「騎士・英雄言説」を使用し「従僕言説」には触れない。 ・1990年代以前の企業家研究は、企業家特性の識別が中心的課題。 ・1980年代末から、行動アプローチが主流。 ・企業家、敵対者、支援者が、配役された予定調和的なビッグストーリーが生まれた。 ・インタビューという相互行為の場面における研究者自身の内省的対話を織り込んだ告白体の記述が求められる。 ○社会構成主義の本にあるような感じかな。 ・企業による利潤獲得は、企業家精神に担われたイノベーションの遂行によってのみ正当化される。
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