子会社管理の法務・税務 第2版 の商品レビュー
親子会社間に係る法務を中心とした解説書。平成26年の会社法改正により、一定の条件のもと親会社株主が子会社取締役らに対して責任追及できる制度として「特定責任追及訴訟」(従来は多重代表訴訟と言われていた)が新設された。近年頻発する子会社における不祥事に対応するため、親会社による管理監...
親子会社間に係る法務を中心とした解説書。平成26年の会社法改正により、一定の条件のもと親会社株主が子会社取締役らに対して責任追及できる制度として「特定責任追及訴訟」(従来は多重代表訴訟と言われていた)が新設された。近年頻発する子会社における不祥事に対応するため、親会社による管理監督を強化する必要性が高まったことが背景としてある。 経営難に陥った子会社に対する親会社による支援・救済については、経営判断の原則、すなわち、取締役の会社に対する善管注意義務・忠実義務との関連でいくつかの判例があり、参考となった。その他参考箇所として親子会社間における人事交流。 P137 子会社支援によるメリット・デメリットとを比較して、子会社支援が、親会社の経営上特段の負担とならないか、検討する必要がある。親会社の経営上特段の負担となる場合、親会社には子会社を支援する余力がなく、親会社の経営を過度に高い危険にさらすこととなり、善管注意義務違反・忠実義務違反に問われるリスクが高い。 また、親会社の経営上特段の負担とならないとしても、子会社が倒産することが具体的に予見可能であり支援によって経営の再建が見込めなければ、子会社の再建を目的とした支援を行うか否か、慎重な判断を要する。このような場合は、そもそも子会社を清算せざるを得ない場合と思われ、子会社の再建を目的とすること自体が不合理であると判断されかねない。子会社の再建を支援する場合、子会社は多かれ少なかれ経営不振に陥っている。このため、子会社の支援にあたっては、子会社の経営状況を分析し、窮境原因の解明、除去可能性、再建の見通しについて見極める必要がある。 P213 偽装請負においては、注文者・委託者は、自ら自由に労働者を指揮命令しておきながら、労働契約上の責任・義務をすべて請負人・受託者に押しつけることが可能になる。偽装請負は、派遣業種・期間など派遣法上の規制をかいくぐるものであって、違法な脱法行為である。
Posted by
- 1