パールストリートのクレイジー女たち の商品レビュー
読みはじめは?という感じだったけど、少年の目から見る自分の家族、生活しているパールストリートの人間達が皆強烈でどんどん飲み込まれていった。なんて逞しい人達。江國香織が翻訳したい!と思ったのも頷ける。
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ずっと読みたかったのですっきり。女三世代の小説、とかかと思っていたけど違った。お金のない生活のハラハラとやりくりの楽しさを思い出した。細部のあれこれ、とてもリアルな描写があるけど、それらのすべてに小気味よいリズムがあって、全体の流れを少しも乱していないのがとてもいい!
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父の失踪、フランス人とインディアンの血の流れる、病気がちで芯の通りすぎた母、アン=マリー。クレイジーなスラムでの8年間。戦争。 みじめで、それなのに、奇妙なほど生命力にあふれた時代。 紙くず同然となった夢しかもたない人たちの、アメリカ物語は、それですら生命力があって、あの国の底辺...
父の失踪、フランス人とインディアンの血の流れる、病気がちで芯の通りすぎた母、アン=マリー。クレイジーなスラムでの8年間。戦争。 みじめで、それなのに、奇妙なほど生命力にあふれた時代。 紙くず同然となった夢しかもたない人たちの、アメリカ物語は、それですら生命力があって、あの国の底辺を流れるのは、どうしようもないアメリカンドリームなんだって思う。(ほめ言葉です)
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ものすごくよかった、おもしろかった、読んでよかった本当に。 幼いながら、家庭に恵まれず貧しくて大変な苦労をするんだけど、子どもなりに楽しいこともあって、成長していくって話、本当に好きだ。なんだか子どものころに読んだ児童文学を思い出す感じもして。 そのうえすごくユーモアがあって、人...
ものすごくよかった、おもしろかった、読んでよかった本当に。 幼いながら、家庭に恵まれず貧しくて大変な苦労をするんだけど、子どもなりに楽しいこともあって、成長していくって話、本当に好きだ。なんだか子どものころに読んだ児童文学を思い出す感じもして。 そのうえすごくユーモアがあって、人生も考えさせられる。 わたしはリュック少年のように苦労なんてまーーーったくしていないけれども、彼の子どものくせにやたら心配性な感じ、あれこれ責任を背負う感じ、なぜだかものすごくよくわかって胸が痛んだ。読んだ人はみんなそう思うのかもしれないけれど。 児童文学じゃないから、少なくとも少年時代のうちにあハッピーエンドとならないところが悲しい。むしろ悪くなっているようなところに茫然としたり。。。 そして、ラストの「僕の船もまた来たのだ」っていうのに涙。。。 (いやでも、お母さんやアン=マリーに船が来たと言えるんでしょうか、とちょっと思ったり。そこがまた人生、悲しい。。。船が来た、と思うことが大事なのかなあ)。 また、これが本当の話だっていうのがまたすごいなあと思ったり。トレヴェニアンてよく知らなかったけれども、すごい。このあとの彼の人生についても読みたかったな。とりあえずほかの作品も読んでみたくなった。
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すごくよかった。読むのに10日間くらいかかった。そんな本はすごくめずらしい。びっしり細かい字で525ページ、2300円(税別)、でも値段相応の読み応えがある。(図書館に買ってもらった) 貧しい家族が集まるパールストリートが舞台で、家族との出来事や他の人々を、少年の視点で、大きな事...
すごくよかった。読むのに10日間くらいかかった。そんな本はすごくめずらしい。びっしり細かい字で525ページ、2300円(税別)、でも値段相応の読み応えがある。(図書館に買ってもらった) 貧しい家族が集まるパールストリートが舞台で、家族との出来事や他の人々を、少年の視点で、大きな事件もなく(背景に第二次世界大戦はあるけれど)描いていく。でも読ませる。 山本周五郎の『季節のない町』を思いだした。 江國香織が訳していて、素敵な文章も多く、たぶん数年したら自分で買うと思う。
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最初は面白かったのだけれど、途中から、成功した作家の懐古自分史としてしか読めず、これをなぜ江國がそんなにも訳したいと思ったのか、サッパリわからなかった。 成功してから振り返る貧しかった頃の話って、誰が書いても平板なサクセスストーリーになってしまうんだよね。 これも、人物や風俗、時...
最初は面白かったのだけれど、途中から、成功した作家の懐古自分史としてしか読めず、これをなぜ江國がそんなにも訳したいと思ったのか、サッパリわからなかった。 成功してから振り返る貧しかった頃の話って、誰が書いても平板なサクセスストーリーになってしまうんだよね。 これも、人物や風俗、時代などは面白いところもあれこれあったけれど、ストーリーとしての面白さはあまり感じなかった。
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『アイガー・サンクション』『シブミ』『ワイオミングの惨劇』など、ハードボイルド、サスペンス小説で知られるトレヴェニアンの、最後の長編小説。翻訳は江國香織。 戦前〜戦中のアメリカを舞台に、少年の目を通して家族の歴史を描いている。サスペンスが上手い作家というイメージがあると、作風の違...
『アイガー・サンクション』『シブミ』『ワイオミングの惨劇』など、ハードボイルド、サスペンス小説で知られるトレヴェニアンの、最後の長編小説。翻訳は江國香織。 戦前〜戦中のアメリカを舞台に、少年の目を通して家族の歴史を描いている。サスペンスが上手い作家というイメージがあると、作風の違いに驚くかもしれない。派手な事件も、サスペンスも無く、早熟で頭の良い少年の目を通して描かれる、裕福でない人々が暮らす街の風景には不思議なノスタルジーがある。こういうのが古き良きアメリカのイメージなのだろうか。 全編に漂うノスタルジーと江國香織の訳文は相性が良いようで、その点も良かった。
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