1,800円以上の注文で送料無料

白夜/おかしな人間の夢 の商品レビュー

3.5

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/09/20

白夜: とある内気で空想家な青年が、橋で泣いている少女に出会う。彼はすぐに彼女を愛するが、彼女には一年前に別れ、再開を誓った人がいて、その人が現れないがために泣いていたのであった。 恋の初々しさを感じるストーリー。 おかしな人間の夢: 自殺をしようとしていた男が、夢で別世界へ行...

白夜: とある内気で空想家な青年が、橋で泣いている少女に出会う。彼はすぐに彼女を愛するが、彼女には一年前に別れ、再開を誓った人がいて、その人が現れないがために泣いていたのであった。 恋の初々しさを感じるストーリー。 おかしな人間の夢: 自殺をしようとしていた男が、夢で別世界へ行き、互いに愛し合い真の幸福で満たされている人々に出会う。しかし、彼が地球から堕落を持ち込み、その世界は変わり、地球上と同じ状態になっていく。 彼は夢から醒めたとき、自分は真実を発見したと確信し、伝道を始める。己を愛するように他者を愛せよ、と。 幸福状態の描写が美しい。が、堕落を人々は喜んで受け入れていく。 「生を意識することは、生そのものよりも高尚なのだ」「幸福の法則を知ることは、幸福よりも高尚なのだ」 というのが、堕落した世界での価値観であるが、まさにそのような考えは身の回りでよく見かける。

Posted byブクログ

2018/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『白夜』 不幸比べから始まり、どっちなのよ⁈という流れになり、やっぱりそっち行くんかよ!という結末。 ナースチェンカは、白痴のナスターシャのような、どっちやねん女だった。 『キリストのヨールカ祭りに召された少年』 かなり短いストーリー。号泣した。貧しく、母親がいなくなり、少年もまた孤独死。死んで母親と再開する。 『百姓のマレイ』 貧しいと心が荒んだりする。でも、ロシアの民衆にもこのような心の持ち主がいたんだとドストエフスキーは伝えたかったらしい。 『おかしな人間の夢 幻想的な物語』 『一八六四年のメモ』 この二つの短編は思想哲学的なものだけで面白いものではなかった。

Posted byブクログ

2016/11/04

ドストエフスキーは「罪と罰」は小学生の頃、所謂子供向けダイジェスト版で読んだ。「白痴」は高校生の時分に父親の本棚の文学全集から引っ張り出して読んだ。辻原登さんの「東京大学で世界文学を学ぶ」で「白痴」を恐ろしい小説と取り上げていたので40年振りに読もうと思い、反射的に本屋で手に取っ...

ドストエフスキーは「罪と罰」は小学生の頃、所謂子供向けダイジェスト版で読んだ。「白痴」は高校生の時分に父親の本棚の文学全集から引っ張り出して読んだ。辻原登さんの「東京大学で世界文学を学ぶ」で「白痴」を恐ろしい小説と取り上げていたので40年振りに読もうと思い、反射的に本屋で手に取った。 読み始めて、あれ、ムイシュキン侯爵の話じゃないと気付く。年かな~。白痴にも白夜の情景があったような気がして勘違いしたかな~。う~ん。 さて、「白夜」。孤独な主人公が泣いていた少女と出会う。人付き合い出来ないくせに、彼女に喋りまくる主人公。二人の心が同調しているのは判るけれど、ドストエフスキーってこんなメンドイ人だったのか。面白くないわけじゃないけれどねえ。これを今の作家が書いたら、ボロクソに云われるんじゃないかな。 第3夜でこの話読んだことがあるような気がした。高校の時代に白痴を読んだとき、この小説も読んだんだろうか。白痴に似たエピソードがあったんだろうか。 「おかしな人間の夢」などの短編。ドストエフスキーってやたら深刻な顔をして、難しい大作を書いた人という印象だったから、意外に思う処があった。 「おかしな人間の夢」自殺を考え、ピストルを前に、ふと眠りこけて、見た夢.地球じゃない星で会った敬愛に包まれた人々。アーサー・クラークのSFを思い出したが、読み進める内に、大〇隆〇の理想世界のイメージに似ているなと感じた。キリスト教徒のイメージする理想ってこういうものなのだろうか。共感する部分もあるが、判らない部分も半々。 妻が死んだ後の手記もある、互いに傷つき合う存在だったと解説にあった。詳しくは判らない。 これからドストエフスキーをどれだけ読むかわからないが、その時にきっと本書のことを思い返すだろう。

Posted byブクログ

2016/09/22

おかしな人間の夢、がすごい。宗教の真髄を余すところなく語っている。ゾクゾクする。 百姓のマレイは好きなテイスト。 白夜は下手だが、最後のまぜこぜになったねじれた感情の表現が秀逸。

Posted byブクログ

2015/11/23

面白かったです。特に表題の『おかしな人間の夢』と『メモ』は、ドストエフスキーの作品を理解するために役に立つと思い、学生時代にやったみたいにメモをとりながら丁寧に読みました。『罪と罰』のラストを彷彿とさせる、とても奇妙な、そしてなにか真理を含んでいるように思わされる夢。大胆なキリス...

面白かったです。特に表題の『おかしな人間の夢』と『メモ』は、ドストエフスキーの作品を理解するために役に立つと思い、学生時代にやったみたいにメモをとりながら丁寧に読みました。『罪と罰』のラストを彷彿とさせる、とても奇妙な、そしてなにか真理を含んでいるように思わされる夢。大胆なキリスト教的信仰告白。彼の作中人物たちが、苦しみにのたうちまわり、傷付いて血を流し、発狂し、殺し殺され首を括りピストル自殺をし、あらゆる痛みを与えられながらも、ほんの数人がようやっと掴んだなにものかを、言葉にするとこうなるのでしょうか? いえ、結論を出すにはまだ早いと思います。これだけが答えではない、むしろこれは彼の思想の一部に過ぎない、という風に思えてなりません。人生と社会秩序に反抗し、己の偉大さを打ち立てようとしたラスコーリニコフやイポリートは確かに苦しみましたが、一方で己を無にし他者に尽くしたアリョーシャやムイシュキン公爵もまた苦しんだのです。現実の世界には正義や信仰への報いも、悪や罪への罰もない。ドストエフスキーの作品はどれも、それぞれになんらかの真理と痛み、そして人間の弱さへの同情に満ちています。1つの思想に容易く収束させられるほど単純ではない。それでも、本書に収録された物語やメモには、彼の本心に迫るに足る思想があり、とても無視できません。大変興味深く読めました。

Posted byブクログ

2015/09/09

健気、ここにいます。 「白夜」の主人公みたいな人を健気というのではないでしょうか。 解説で訳者の方が述べているように、この作品たちは、(ドストエフスキーらしい)重苦しく、暗い印象より白夜という言葉から連想されるような薄明るい光に照らされている印象です。(決して春の昼間の陽射しの...

健気、ここにいます。 「白夜」の主人公みたいな人を健気というのではないでしょうか。 解説で訳者の方が述べているように、この作品たちは、(ドストエフスキーらしい)重苦しく、暗い印象より白夜という言葉から連想されるような薄明るい光に照らされている印象です。(決して春の昼間の陽射しのようではないけれど。)そのことで特に表題作の「白夜」の読後感は優しく、健気な主人公はいとおしい。

Posted byブクログ

2015/10/03

おすすめ資料 第286回 (2015.6.5)   「えっ!これが、あのドストエフスキー!?」と帯で紹介されているように、ドストエフスキーの一般的なイメージを覆すような短編小説集です。 (残念ながら帯はもうありませんが、Web上で帯の紹介文を読むことはできます。)   『罪と罰』...

おすすめ資料 第286回 (2015.6.5)   「えっ!これが、あのドストエフスキー!?」と帯で紹介されているように、ドストエフスキーの一般的なイメージを覆すような短編小説集です。 (残念ながら帯はもうありませんが、Web上で帯の紹介文を読むことはできます。)   『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』からドストエフスキー・ワールドに入った人はきっとびっくりしてしまうでしょう。 多少の好き嫌いはあるかもしれませんが、こんな世界観も持っていたんだ、とドストエフスキーの意外な魅力が味わえます。 ぜひ手に取ってみてください。

Posted byブクログ

2015/07/13

「白夜」は爽やかなラブ・ストーリー。最後はナースチェンカに語り手の主人公が振られるのだが、後味がとても良く、幸福感に包まれる不思議な本。主人公が偶然知り合った少女に自らの「物語」を語っていく。ドストエフスキーとは思えないロマンティックな情景が優しい。出会いから微笑ましい。印象に残...

「白夜」は爽やかなラブ・ストーリー。最後はナースチェンカに語り手の主人公が振られるのだが、後味がとても良く、幸福感に包まれる不思議な本。主人公が偶然知り合った少女に自らの「物語」を語っていく。ドストエフスキーとは思えないロマンティックな情景が優しい。出会いから微笑ましい。印象に残る言葉はナースチェンカの「あなたが私に恋をしないところが偉いなんて褒めて、あなたの愛情を嗤ったりして、あなたを侮辱してしまって」と謝罪する科白。なんとドストにこんな清涼剤のような作品があるんだ!そして「キリストの樅ノ木祭りに召された少年」のように有名な「マッチ売りの少女」を想起させるメルヘンチックなストーリーも。一方、「おかしな人間の夢」の主人公は「地下生活者の手記」と似ている。幼児虐待は彼の真骨頂のように思う。

Posted byブクログ