少年十字軍 の商品レビュー
エティエンヌがいればどんな難局も突破できると信じうる子どもたちを無垢と呼んでいいのか無知と言っていいのか。[more]「奇跡」を起こせるとしても、エティエンヌ自身にはずっとプレッシャーだったことだろう。最後はうまくまとめたと言えばそうだけど、ちょっとできすぎな感もあり。
Posted by
児童書だけど、ちゃんと皆川博子の歴史ロマンものだし幻想小説だった。悪魔サルガタナスと青い蝶の描写のなんとも言えない美しさ、ジャコブとドミニクのやり取りなど大人サイドの話をもっと掘ったら完全にいつもの皆川博子になるんだろうな… 少年十字軍自体が史実とのことで驚いたけど、興味深い。
Posted by
面白かったです。 13世紀のフランスで、神の御告げを受けたエティエンヌを中心とした子供たちがエルサレムを目指したという史実を元にしたお話でした。 児童書になるのか、皆川さんにしては毒や闇は少なめでしたが引き込まれました。 エティエンヌやルー、アンヌという初期の子供たちを取り巻いた...
面白かったです。 13世紀のフランスで、神の御告げを受けたエティエンヌを中心とした子供たちがエルサレムを目指したという史実を元にしたお話でした。 児童書になるのか、皆川さんにしては毒や闇は少なめでしたが引き込まれました。 エティエンヌやルー、アンヌという初期の子供たちを取り巻いたり阻んだりする大人たちの思惑が醜く残酷なのですが、この混沌とした時代には仕方ない事だったのかもと思いました。歴然と身分の差があって重税に苦しんで。 記憶を無くしているガブリエルがとても好きな登場人物だったのですが、彼が到達する「神はおわさぬ。教会も聖職者も、巨大な嘘にほかならぬ」という「真実」が重く垂れ込めます。 死とは〈無〉。壮絶な虚無。でもそこには、命が満ちている。。 皆川さんはやっぱり、児童書でも容赦なくて良かったです。毒や闇は少なめでも、無くはないので。
Posted by
テンポ良く、さくさくと物語は進む。 しかし彼らの行軍は、決して順風満帆ではない。 虚と実、現と幻が入り乱れ、視点も目まぐるしく入れ替わる。 現実に存在したという少年十字軍を下敷きにした、どことなく幻想的な作品。 そんな物語を素直に楽しみつつ、純粋さとは何か、信仰とは何か、奇跡と...
テンポ良く、さくさくと物語は進む。 しかし彼らの行軍は、決して順風満帆ではない。 虚と実、現と幻が入り乱れ、視点も目まぐるしく入れ替わる。 現実に存在したという少年十字軍を下敷きにした、どことなく幻想的な作品。 そんな物語を素直に楽しみつつ、純粋さとは何か、信仰とは何か、奇跡とは何か。 そういったものについても、改めて、深く考えさせられる良書でした。
Posted by
青少年向けのため、いつもの皆川先生らしくないかもね(笑… 叙述トリックもない ドロドロな展開もない、芳醇な描写や余韻たっぷりのエンディングが相変わらずいつもの皆川先生です。昔十字軍東征の映画を観たが、今回小説のベースの少年十字軍のお話は知らなかった。今度古屋先生の漫画も読もうかな...
青少年向けのため、いつもの皆川先生らしくないかもね(笑… 叙述トリックもない ドロドロな展開もない、芳醇な描写や余韻たっぷりのエンディングが相変わらずいつもの皆川先生です。昔十字軍東征の映画を観たが、今回小説のベースの少年十字軍のお話は知らなかった。今度古屋先生の漫画も読もうかな〜
Posted by
少年十字軍の悲劇を知っていれば この子達にどんな結末が待っているのか それを作者がどれだけ耽美、爛れた 退廃的な世界に描くのかと思いながら 読んでいったのだけど。。。 神への信仰を表面にあらわしながら 俗な人間の欲にまみれ浸りきった大人たちに (あぁ大人の世界を縮小版で濃縮してい...
少年十字軍の悲劇を知っていれば この子達にどんな結末が待っているのか それを作者がどれだけ耽美、爛れた 退廃的な世界に描くのかと思いながら 読んでいったのだけど。。。 神への信仰を表面にあらわしながら 俗な人間の欲にまみれ浸りきった大人たちに (あぁ大人の世界を縮小版で濃縮している レイモンにもか)利用され、試され、裏切られ、 翻弄される子供たちが、ただ一心に信じている 苦難からの解放、自由な世界、導いてくれるはずの エティエンヌ。 染まって汚れたものも、純粋なものも、全て背負い その身を削りながらたどり着く先は。 ぜひ読んで、余韻に浸ってみてください。
Posted by
奇跡を起こす羊飼いの少年エティエンヌと、そこに集う少年少女と狡猾な大人達がエルサレムへ向かう物語! 弩使いの少年ルーは誰よりも頼りになります。 フルク修道士はムカつきます。 レイモンにもムカつきます。 ピップの『エティエンヌが居るから大丈夫』にも段々ムカついてきます。 キリ...
奇跡を起こす羊飼いの少年エティエンヌと、そこに集う少年少女と狡猾な大人達がエルサレムへ向かう物語! 弩使いの少年ルーは誰よりも頼りになります。 フルク修道士はムカつきます。 レイモンにもムカつきます。 ピップの『エティエンヌが居るから大丈夫』にも段々ムカついてきます。 キリスト教の失敗は教会という組織を作った事かと思います。 それと金を払えば罪が赦されるというのも教会と罪人が得をして被害者は救われないよね!とも思えます。 何れにしても信仰というのは他人に迷惑を掛けず自分の為に心の中だけで祈っていれば良いのにと思います。
Posted by
13世紀に実際にあった少年十字軍をテーマに描かれたお話。 難解そうに見えて、意外にさらさらと読める。それは、登場人物は多いのに、それぞれが生き生きと魅力的に描かれているせいかも知れない。 エティエンヌに心酔する子どもたち、信じてはいないけれど追随する者、利用しようとする者、そし...
13世紀に実際にあった少年十字軍をテーマに描かれたお話。 難解そうに見えて、意外にさらさらと読める。それは、登場人物は多いのに、それぞれが生き生きと魅力的に描かれているせいかも知れない。 エティエンヌに心酔する子どもたち、信じてはいないけれど追随する者、利用しようとする者、そして訳も分からずただ参加する者。様々な思惑が絡み合いながら旅は続く。 神の不在、死後の世界と無宗教の人間には正直理解できない部分はあるけれど、中世的なちょっと暗くて閉鎖的な雰囲気は伝わってくる。 身勝手な大人たちに腹が立つと同時に、エティエンヌがいれば大丈夫と無邪気に繰り返す子どもたちの残酷さにも慄然とする。すべてを背負い込もうとするエティエンヌが痛々しくて切ない。 でも、史実よりも少し希望の持てるラストに救われる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
世界史上、有名なエピソードに基づくお話。 「少年十字軍」と言えばいい印象を持っておられる方は少なかろう。 当時のヨーロッパや聖地をめぐる云々、縁のない日本で育ったものにはなかなか理解しがたいものがあるし、安穏と状況に納得いかぬことが多々ある。 それはおそらく、当事者においても同じことであったろう。 哀れな少年と彼をめぐる仲間たち、愚かな大人、誰一人幸せを享受できぬまま終わるストーリー。 この先、彼らに平安が訪れるかどうか、かすかな希望すら打ち消される不安感。 ヨーロッパや中東、アフリカ北部は歴史的にもこの先安定することはないことを知っている現代のわたしたち。 悲哀のもとに終わってゆくであろう彼らに、つかの間の安息を願ってやまない。 著者は昭和5年生まれの方、ということだが、古さを感じさせないどころか、新人作家のようなみずみずしさを含んでいる。故に作品中の哀れな人々の描写を冷静に受け止めることができた。 前知識がなくとも楽しめる1冊なので、機会があれば是非読んでいただきたいお話である。
Posted by
一点の染みもない潔癖な少年と無垢な子供たちが、乳と蜜の流れる聖地を目指す。罪に汚れた大人たちに利用されながらの旅の果て、新たな試練の始まりのラストに光明と切なさが入り交じる♪。
Posted by
- 1
- 2