マシューズ&ハーバート 地理学のすすめ の商品レビュー

森島済(著者)

2015/07/30

　地形や気候といった地理と聞いて思いつく自然地理学とそこに住んでいる人々やその移動、空間に対する認識などを扱う人文地理学を二つの柱として地理学が何を扱う学問であるかを紹介している。自然地理学と人文地理学は相互に影響しあうものであり、どちらかだけで良いというものではない。しかし、ひと通りの地図が出来上がった現在、人文地理学にシフトしつつあることが伺える。例えば景観マップやメンタルマップ、犯罪者マップによる”まちづくり”の研究である。また、グローバリゼーションによる人々の認識の変化、さらにはサイバースペースなどもはや地理学とは言えないのでは？というものまでも扱っている。いずれも認識の”地図化”によって地理学の範疇に納まってしまうのがおもしろい。