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歴史から理論を創造する方法 の商品レビュー

4.5

6件のお客様レビュー

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2024/03/16

歴史学や社会学の人向けの科学哲学の入門の入門的な役割も果たしてる気がする 『質的研究アプローチの再検討』と去年の社会学評論にあった「Howの問いからWhyの問いへ」あたりも併せて読んでみてもいいと思う

Posted byブクログ

2018/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史学よりからの視点で面白かった。 社会科学と歴史学は相容れるのか、または可能かが主題。 どちらからも距離がある印象です。詳細な資料解読と因果関係と仲が悪いのです。

Posted byブクログ

2017/04/30

歴史を通じて社会現象の理論家を試みる社会学者が、事実そのもには無頓着、悪ければ歪曲しているという理由で歴史学者の反感を買ったり、冷ややかに見られたりするのも、きわめてありそうなことである。つまるところ、歴史学の研究と社会科学のそれとには、ある種の非対称的な関係が存在しているようで...

歴史を通じて社会現象の理論家を試みる社会学者が、事実そのもには無頓着、悪ければ歪曲しているという理由で歴史学者の反感を買ったり、冷ややかに見られたりするのも、きわめてありそうなことである。つまるところ、歴史学の研究と社会科学のそれとには、ある種の非対称的な関係が存在しているようである。すなわち歴史学者の研究を社会学者が利用することはあっても、逆に歴史学者が社会学者の理論的成果を明示的に参照することはあまりない、という非対称性。研究手法と研究姿勢に対する根本的な批判は存在するが、歴史学者と社会科学者がお互いを論的とみなして正面から取り上げ、同じ土俵の上で真剣に反照しあうことは稀である。つまり歴史研究と社会科学の理論研究との間には、一種の棲み分けが確立している。

Posted byブクログ

2016/11/16

社会科学の定性的研究と歴史研究の長所を統合する事を試みた、研究の方法論を見つめ直す上で大変参考になる一冊。両分野の関係性や研究における陥穽、最新動向などを知ることができ、研究を始める前や研究の過程で、是非読むことを勧めたい(社会科学や歴史学を専門とする学生などに限らず、広く歴史や...

社会科学の定性的研究と歴史研究の長所を統合する事を試みた、研究の方法論を見つめ直す上で大変参考になる一冊。両分野の関係性や研究における陥穽、最新動向などを知ることができ、研究を始める前や研究の過程で、是非読むことを勧めたい(社会科学や歴史学を専門とする学生などに限らず、広く歴史や社会現象を対象とする研究者の参考になるだろう)。(都市工学専攻) 配架場所:工14号館図書室 請求記号:30:H ◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2003260445&opkey=B147745111223355&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0

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2016/08/29

社会科学論文においてとりわけ重視されるのが因果関係。何を以って因果関係が説明されたことになるのかは、社会科学でとりわけホットなトピックであり続けている。本書は、そのような視点から、伝統的なケーススタディ(事例研究)に対して高い要求を掲げるものである。例えば、戦後日本の外交政策を対...

社会科学論文においてとりわけ重視されるのが因果関係。何を以って因果関係が説明されたことになるのかは、社会科学でとりわけホットなトピックであり続けている。本書は、そのような視点から、伝統的なケーススタディ(事例研究)に対して高い要求を掲げるものである。例えば、戦後日本の外交政策を対米追従ととるか、自主外交ととるかは、それらの用語の具体的な定義、そして何を事例として研究し、何を根拠とするかで大きく変わる。結局、「アメリカ政府との関係を重視しつつも、自主外交を行った」というような「そりゃそうだ」的見解になるか、自説に都合の良い資料を引用しただけの論文になって終わりである。そこで、著者は自分の研究を紹介しながら、イシュー・時空・空間で限定された「すべての事例を研究」することを要求する。本書ではダメな例として数多くの「先行研究」を紹介しており、数多くの学者に喧嘩を売る一冊になっている。

Posted byブクログ

2016/02/21

本書はリサーチ・デザインについて解説した方法論に関する本である。また論文の型どおりに本文全体が構成されており、特に(昨今別な意味で話題になっている)文系学部の諸学生にとっては、論文を書く際に、多くの点で参考となる。核心となるアブダクションについては、第3章に詳述されており、第5章...

本書はリサーチ・デザインについて解説した方法論に関する本である。また論文の型どおりに本文全体が構成されており、特に(昨今別な意味で話題になっている)文系学部の諸学生にとっては、論文を書く際に、多くの点で参考となる。核心となるアブダクションについては、第3章に詳述されており、第5章を再読することで全体を手短に振り返ることができる。 アブダクションとは、説明仮説を形成するものであり、次の手順で進められる。 (1)われわれの信念や習慣から逸れるような、変則的な事実が観察される。 (2)しかし仮にある「仮説」が正しければ、その事実が生じるのは当然のことだろう。 (3)したがって、その「仮説」が真であると考えるでき理由がある。 上の観察データの説明のために、推論しながら因果関係や理論を発見する点が特徴的である。(pp.88-89) 個人的には、上のような考え方は、手続きの考え方がサンプル数が極端に少ない因子分析のようだと感じた。他方、歴史的事例から理論を導くという点については、マトリックスで構造化した後、異同について言及するということだったので、方法論としてはやや新鮮さに欠けていたが、重要な点を再確認できた。

Posted byブクログ