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朝鮮王公族 の商品レビュー

4.3

8件のお客様レビュー

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2024/04/13

愛新覚羅家のことは何冊か書籍を読んだし有名過ぎる映画も見たが朝鮮王朝のことは王朝があったことすら認識になかった。 閔妃事件を日本史で習ったので朝鮮に皇后がいることは知っていたはずなのだが。 当時は近代史に興味がほとんどなかったのでその時印象に残らなかったのはともかく、大人になって...

愛新覚羅家のことは何冊か書籍を読んだし有名過ぎる映画も見たが朝鮮王朝のことは王朝があったことすら認識になかった。 閔妃事件を日本史で習ったので朝鮮に皇后がいることは知っていたはずなのだが。 当時は近代史に興味がほとんどなかったのでその時印象に残らなかったのはともかく、大人になってからは日本や中国の近代史の書籍を読んだ中で朝鮮王朝に触れる機会がなかったことに驚いた。 とても面白かった。 併合前後の朝鮮皇室への財政的なアレコレと併合への意識との関係が特に印象深い。 「帝国日本への歪んだ忠誠」言い得て妙だと思う。日本に限らず朝鮮半島の苦渋の歴史を表している。 文献も面白そうなものが並んでいるので楽しみだ。

Posted byブクログ

2023/10/05

 この本は複雑な感情を抱いてしまう本だ。類書と違って韓国語が出来る人が書いているので本田節子が「朝鮮王朝最後の皇太子妃」で紹介した閔甲完なる自称「英王の元婚約者」の著書を訪韓した際に初めて読んだらしく「天皇の韓国併合」では本田節子が書いたとおりに評価したのにやんわりと閔が詐欺師と...

 この本は複雑な感情を抱いてしまう本だ。類書と違って韓国語が出来る人が書いているので本田節子が「朝鮮王朝最後の皇太子妃」で紹介した閔甲完なる自称「英王の元婚約者」の著書を訪韓した際に初めて読んだらしく「天皇の韓国併合」では本田節子が書いたとおりに評価したのにやんわりと閔が詐欺師と分かるように書いている。一方、李鍝公と朴賛珠の成婚は「当局の意に添う」形で成立したと見做しているらしく?「都合の悪い」からか「木戸幸一日記」前巻のような以前から知られていて市販されている史料が参考文献目録すら出て来ない。李鍝公と朴賛珠が昭和8年に勅許を得ないで婚約の儀を行ったという記述があるのが矛盾するので言及しないのだろう。「東京陸軍幼年学校史 わが武寮」には陸幼時代に既に李鍝公と朴賛珠が婚約者であり、朴賛珠がハングルで書いた手紙で文通していると読み取れる回想があるので「当局の意に添う」形云々はあり得ないのではないか。第一、朴賛珠は甲申事変からの開化派で哲宗の王女の婿である朴泳孝の孫だ。完璧に推測だが、朴泳孝とは「木戸幸一日記」前巻で李王職長官の篠田治策から聞いた内容にも出て来るように旧韓末から関係の良くない李堈公の公子である李鍝公が李埈公家の当主となって朝鮮にいる間に朴賛珠と婚約したのではないか?、と思う。  研究者が書いた本らしく他の本では言及されない公族(特に尹致昊の親族である第2共和国時代の大統領尹譜善の実弟の尹源善と結婚した李辰琬)を書き、史料を細かく言及する一方で、戦後の李鍵公家について「史料がない」からか、李鍵公が書いた相矛盾する手記類(ただし取材に応じた「天皇家の密使たち」はない)や松平誠子の手記を使うとしても、自称「皇室ジャーナリスト」河原敏明の「昭和の皇室をゆるがした女性たち」を安易に使っているのはどうだろうか?これではゴシップ記事の寄せ集めだ。  何故か「天皇の韓国併合」では使っている張赫宙の「秘苑の花」も参考文献目録すら登場しない。張赫宙は「秘苑の花」を書く際に面識のある趙重九元男爵とともに英王李垠に取材しているのもあるが、方子女王と伊都子妃の自伝の記述(特に「三代の天皇と私」)を読むには「秘苑の花」を参照する必要があるのに。  本田節子が「朝鮮王朝最後の皇太子妃」で趙重九元男爵を取材し、彼から「王家の終焉」を貰って記した内容が流布したが、この本も同じだ。張赫宙も趙重九から聞いた内容を昭和27年に「在日朝鮮人の内幕」で書いているが微妙に違っている個所がある。「秘苑の花」で戦時中に李王家東京邸を訪れた朝鮮人は李鍵公と李鍝公の他は趙重九だけだと書かれているが、佐々木春隆の「朝鮮戦争/韓国篇」上巻に書かれている李應俊大佐と陸士生徒時代の李亨根大尉という未来の義理の父子が訪れた事は明らかに趙重九は知らない。李鍾賛のような朝鮮貴族の嗣子ではないので面識がなかったのだろうか。「王家の終焉」には実在しない人物が出て来るので鵜呑みにするのは危険で裏が取れない記述が多過ぎる事だ。  張赫宙の「在日朝鮮人の内幕」には面識がなさそうな李鍵公と松平誠子の離婚という「話題性」と李鍵公が書いた手記に対する上げ足取り?が書かれている。多分、趙重九から聞いた話がほとんどだろうが、「一応は皇族出の姫君を物色したが」という個所がある。「朝鮮王公族」に引用されている李鍵公の手記にある「女なら誰でもいい」という記述の裏にあるのは、案外ここかもしれない。「天皇の韓国併合」に引用されている木戸幸一がまだ内大臣だった時点で李鍵公が書いた手紙にあるように「私は李王家の一族であります。併し私の家は四十年も前に分家独立したのであって、同一家族ではありません。また君と臣との関係も存在してはゐません」なので表向きは「分家」と振る舞っていても内心は叔父である英王李垠より自分は「大院君→高宗→李堈公→李鍵公本人という本家筋」という意識があったのかもしれない。英王李垠は韓国併合当時の皇太子で韓国併合後は王世子であり、弟の李鍝公は公系襲系後、自分は昭和5年に「李勇吉君」から「李鍵公子」を経て「李鍵公殿下」となるまでは目上になったので屈折した感情を持っていたようだ。

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2022/02/26

韓国併合後、李朝の王や係累を日本は皇族・華族に準じた王公族という待遇で遇じた。かなりのコストをかけて彼らを遇じたのは、併合による朝鮮の人たちの懐柔という面も当然あった。王公族となった人たちも世代により受け取り方が違ったという。高宗太王や純宗王たちとは、その子供たちとは違っていたと...

韓国併合後、李朝の王や係累を日本は皇族・華族に準じた王公族という待遇で遇じた。かなりのコストをかけて彼らを遇じたのは、併合による朝鮮の人たちの懐柔という面も当然あった。王公族となった人たちも世代により受け取り方が違ったという。高宗太王や純宗王たちとは、その子供たちとは違っていたという。併合後に生まれた李垠や李鍵、李ぐなどは、皇族の義務を果たそうとし、軍務に服したと言う。終戦でその身分も変わり、韓国は直ぐには国籍を認めなかったから、かなり辛い戦後の生活を送った者もいたようである。林真理子の「李王朝の縁談」を読んで興味がありこの本を読んだ。日本も王公族の待遇には随分と気を使って対応したようだが、当時の朝鮮民衆とは別次元の世界であった。

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2020/03/11

 帝国日本に支配された地域の元為政者について,どれだけの知識を持っているかと言われると,恥ずかしながらあまり持ち合わせていない。「満洲国」においては,宣統帝溥儀の名が,弟溥傑やその妻である『流転の王妃』浩とともによく知られている。  かたや朝鮮王朝(大韓帝国)においては,近代日本...

 帝国日本に支配された地域の元為政者について,どれだけの知識を持っているかと言われると,恥ずかしながらあまり持ち合わせていない。「満洲国」においては,宣統帝溥儀の名が,弟溥傑やその妻である『流転の王妃』浩とともによく知られている。  かたや朝鮮王朝(大韓帝国)においては,近代日本史で大院君や閔妃を知るだけかもしれない。閔妃は,誰の妃なのか,そこまで掘り下げて教えてくれた日本史の高校教師はいただろうか?『映像の世紀』第11集には,幼少期の李垠が伊藤博文とともに数秒登場するが,その後彼がニュースになるのは,梨本宮方子と結婚する程度であったかもしれない。あるいは,赤坂プリンスホテルの旧館(現在の赤坂プリンス クラシックハウス)が旧李王邸だった事実くらいだろうか。  要は,植民地支配下における朝鮮王公族の暮らしぶりやその後について,全く知る由も無かった。本書は,このように埋もれた重大な関心事に対して,私の目を覚まさせてくれた一冊だと言える。  各章は,新書としては長めの設定であったが,韓国併合時の処遇,帝国日本における処世,王公族としての葬儀の変遷,戦時・戦後の生活と,うまくまとまっていたと思われる。とくに著者の力がこもっていたのは,第3章第3節「李太王と李王の実録編修」の部分で,『朝鮮王朝儀軌』の一次資料的価値,それに基づいて帝国日本のもとで編修された『李太王実録』などの意義を語る部分であろう。190頁の最終パラグラフが,著者のこの本における真のメッセージだと捉えている。

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2019/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おそらくこのような人たちがいたことは なかなか知る機会はないだろうと思います。 確かにこれらに属する人たちの中には 日本を憎む人がいたのも確かです。 それはそうです、侵略されたも同然です。 だけれども中には、日本で暮らした期間が長かったゆえに 母国に戻ることを拒否した人もいました。 また、日本の軍に所属し、 不幸なことに原爆の犠牲になったものもいました。 戦後のそれは、もうそれはひどいものです。 だました人間がいたことは、恥ずべきことでしょう。 これには怒りを覚えましたね。

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2017/03/20

[「家」と「国」の間で]韓国併合に際し、王公族という名目で新たに「準皇族」として帝国日本の枠組みに取り込まれた、大韓の皇帝たちの歩みをまとめた作品。現代から振り返るとあまりに「微妙な」立ち位置にあった一族の歴史や考え方に光を当て、日本と朝鮮の歴史に新たな視点をもたらしてくれる作品...

[「家」と「国」の間で]韓国併合に際し、王公族という名目で新たに「準皇族」として帝国日本の枠組みに取り込まれた、大韓の皇帝たちの歩みをまとめた作品。現代から振り返るとあまりに「微妙な」立ち位置にあった一族の歴史や考え方に光を当て、日本と朝鮮の歴史に新たな視点をもたらしてくれる作品です。著者は、九州大学韓国研究センターの講師などを歴任された新城道彦。 関心の置き所が絶妙といえる作品。王公族というあまり知られていない人々に焦点を当てることで、これまで明らかにされてこなかった事実だけでなく、当時の物の見方まで紹介してくれている点が素晴らしい。王公族の処遇や厚遇が、冊封体制と近代国家システムの奇妙な落とし子とも言えるのではないかと感じました。また、現在の韓国で王公族についてそれほど関心が高まらない理由を考察した箇所も興味深かったです。 〜『万葉集』には蝶を題材にした歌が一つも収録されていないという。真偽のほどは定かではないが、当時の人々が薬にも毒にもならない蝶に心惹かれなかったからだという話を聞いたことがある。もしかしたら韓国人にとって王公族、特に王族(李王家)はそうした存在なのかもしれない。薬は「抗日」、毒は「親日」である。〜 自分が朝鮮半島の歴史について本当に無知なことに気付かされました☆5つ

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2015/05/27

旧大韓帝国の皇帝一族は、日本の韓国併合後、「準皇族」としての「王公族」という身分となった。本書は、これまであまり目を向けられてこなかった王公族に焦点を当て、日韓近代史に迫ろうとしている。王公族という身分の創設から消滅までの歴史的経緯をまとめるとともに、王公族の各メンバーの人物像も...

旧大韓帝国の皇帝一族は、日本の韓国併合後、「準皇族」としての「王公族」という身分となった。本書は、これまであまり目を向けられてこなかった王公族に焦点を当て、日韓近代史に迫ろうとしている。王公族という身分の創設から消滅までの歴史的経緯をまとめるとともに、王公族の各メンバーの人物像も詳らかにしている。センシティブなテーマだが、客観的・中立的な記述がなされているのも好印象。 朝鮮王公族については、その存在は知っていたものの、どのような待遇を受けていたのか、どのようなメンバーがいたのか等についてはほとんど知らなかったので、本書の内容は非常に興味深かった。日本側が、韓国併合、その後の植民地統治にあたって、王公族にとても気を使っていたということがわかったとともに、王公族のメンバーもいろいろ複雑な心境を持ちながら、日本と接していたことが伝わってきた。朝鮮の植民地統治を考えるうえでも、朝鮮王公族という立場から見るのと、一般民衆から見るのでは、だいぶ違った様相になり、一筋縄ではいかないということを感じた。

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2015/04/12

韓国併合後、朝鮮王族は「準皇族」となり皇族となった。当時の王はそのままソウルに住んだが、二世以降は日本留学のまま東京に住み、皇族の義務であった軍属となった。終戦後、皇族籍がなくなり、そのまま東京に住むもの、韓国に帰るものが出た。李承番政権は王政復古を警戒し冷遇、厚遇されたのは朴正...

韓国併合後、朝鮮王族は「準皇族」となり皇族となった。当時の王はそのままソウルに住んだが、二世以降は日本留学のまま東京に住み、皇族の義務であった軍属となった。終戦後、皇族籍がなくなり、そのまま東京に住むもの、韓国に帰るものが出た。李承番政権は王政復古を警戒し冷遇、厚遇されたのは朴正煕以降。

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