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2020/05/25

この名随筆集「町」は、山口瞳編でいつ読んでも感動する。また、町歩きの話になるが、町を案内していると、ついつい名所旧跡、歴史探訪になってしまう。なんとかその町の魅力が語れないかと思うのだが、難しい。取材もできないし、こうした随筆とか文学作品に頼ることになる。 町を知るには、住んでみ...

この名随筆集「町」は、山口瞳編でいつ読んでも感動する。また、町歩きの話になるが、町を案内していると、ついつい名所旧跡、歴史探訪になってしまう。なんとかその町の魅力が語れないかと思うのだが、難しい。取材もできないし、こうした随筆とか文学作品に頼ることになる。 町を知るには、住んでみないと分からないのかもしれない。「通りすがりの旅行者には、その土地の実際の姿は、なかなか分からないものだ。」と加賀乙彦さんが書いている。「街が古いからよいというような見方は、そこに住む人の悩みを考えぬ一人よがり」だと。そして、「新しいビルは醜い。風情もなければ郷愁も呼びさまさない。何だか便利一方で造られた強引さがありあまり好きになれない。が、そこでいとなまれる生活が、木造の家におけるよりは快適であることはいえる」と。 古いものを見つけて、ここは素敵だ、と言っていては単なる旅人の感覚でしかない。 「伝統の街」に住んだこともある、五木寛之さんは、「過去の金沢の幻を追い求めて旅をするのは、愚かなことだ。伝統は現在に生きてこそ、意味をもつものだからである。」 町の魅力を語るのは難しい。

Posted byブクログ