母の遺産(下) の商品レビュー
毒親の話かなーと思って読んでみました。上下巻と、けっこうボリュームがありますが、読み応えのある文章で、心情の描写がとても丁寧で読むのは楽しかったです。 特に大きな出来事もなく(あるなら母の死。それも、そう簡単に死んでくれない(笑))、色々となにかありそうでないんだけれど、そういう...
毒親の話かなーと思って読んでみました。上下巻と、けっこうボリュームがありますが、読み応えのある文章で、心情の描写がとても丁寧で読むのは楽しかったです。 特に大きな出来事もなく(あるなら母の死。それも、そう簡単に死んでくれない(笑))、色々となにかありそうでないんだけれど、そういうところがかえってリアルで、そんな淡々とした日常を、最後まで読ませるというのは、著者の技量だなぁと思います。初めて読みましたが、他にも作品があるのでしょうか?調べて読んでみようと思います。
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上巻で老母を看取った美津紀は、介護疲れや、夫の火遊びなどの日常の煩わしさを一時忘れるために、箱根芦ノ湖畔のホテルに向かう。 そこにも、個性的な老女が… そして、普段は連泊客がめったに居ないというホテルに、何故か何組もの連泊客。 元は旧男爵邸であったというクラシックホテルが、なん...
上巻で老母を看取った美津紀は、介護疲れや、夫の火遊びなどの日常の煩わしさを一時忘れるために、箱根芦ノ湖畔のホテルに向かう。 そこにも、個性的な老女が… そして、普段は連泊客がめったに居ないというホテルに、何故か何組もの連泊客。 元は旧男爵邸であったというクラシックホテルが、なんだかミステリの舞台の様相を呈してくる。 そこに、離婚に絡むお金の計算やら、母の遺産やら… 50代での再出発は可能なのか? これからの生きる意味は何なのか? …と悩む主人公でしたが。 うらやましいほどの結末であった。 結局はブルジョワジーな方のお話だったのね。 しかし、断捨離が話題の今日この頃だが、精神的な意味も含めて、人生の垢をそぎ落として行くというのは、なかなかに大変なものだなあと思う。
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愛憎入り混じる実母の死を迎えた上巻を経て、下巻では箱根のホテルを舞台に、夫の不貞を知り自身の身の振り方を決めるプロセスが描かれる。 ここでは極めて魅力的な人物が登場し、そのうち1人は前半からの伏線を経て登場する。魅力的な人物との出会いを通じて、自身の半生を振り返り、新しい生を取...
愛憎入り混じる実母の死を迎えた上巻を経て、下巻では箱根のホテルを舞台に、夫の不貞を知り自身の身の振り方を決めるプロセスが描かれる。 ここでは極めて魅力的な人物が登場し、そのうち1人は前半からの伏線を経て登場する。魅力的な人物との出会いを通じて、自身の半生を振り返り、新しい生を取り戻そうとする主人公の姿は極めて美しい。 日本の近代文学が終焉したと言われる中で、もはや孤高の存在としてJ-文学への呪詛を吐きながら独自の文学世界を構築する著者の文学的営為に今後も注目したい。
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