ゴルバチョフが語る 冷戦終結の真実と21世紀の危機 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2015年刊行。著者山内はNHK解説委員。 クリミア併合、そしてウクライナ紛争で揺れる米ロ、あるいは欧ロ。今、この対立関係は代理戦争(少なくとも内戦)の域に達している。 しかし、僅か30年前には、これより遥かに大規模で長きに渡る一触即発の危機を、戦火を交えずに潜り抜けた人々がいた。 本書は、その中心人物であるミハエル・ゴルバチョフのインタビューを軸に、レーガン・父ブッシュ政権での米国高官、欧州各国で冷戦終結を支える現場に居合わせた関係者、さらにソ連高官らのインタビューを交えながら、冷戦終結に至る関係者の心の裡を紐解いていく。 まず、関係国の現場に居合わせた関係者のインタビューという多面的な解読方法を採用する点が、本書の買いである。また些かベタではあるが、信頼関係の構築には、胸襟を開き、食事を共にするなど、具体的な場面に即してその妙味を感得できる点も評価できる。 とはいえ本書にも弱点はある。経済問題を中心とする内政面(特に旧ソ連)について全くといっていいほど関係者から語られない点だ。 テーマと外れる部分も無いではないが、背景事情としてどのような経済運営をしていたか?。問題点は何?。その対応策如何?。成否如何は?。この点が甘い。 もっとも、ゴルバチョフが経済通であったり、ブレーンは誰であったか。どのような経済政策を採用したか。この点をきちんと書いた本はあったろうか。ゴルバチョフがこけた要因の一として、ソ連経済の完全な行詰まりと国民の反発にあったと言われているところ、そもそも経済政策といえる政策は採っていなかった可能性も想起できるところである。 なお、冷戦終結におけるフランスの役割と立ち位置の理解を本書は新たにしてくれた。
Posted by
冷戦終結の舞台裏、そして、その後のウクライナ(クリミア)紛争に書かれていて、わかりやすい。 オリバーストーンの「もうひとつのアメリカ史」を読むとアメリカ視点での認識を見ることができる。
Posted by
ゴルビーは母がウクライナ人で父がロシア人、妻もウクライナ人だったから、現在のロシアとウクライナの状況を案じている。 ウクライナ危機は冷戦後、最大の危機。 ゴルビーは就任後、人事に大きななたを入れた。 レーガンとゴルバチョフの人間関係、信頼関係があったから冷戦は終結した。 サッチャ...
ゴルビーは母がウクライナ人で父がロシア人、妻もウクライナ人だったから、現在のロシアとウクライナの状況を案じている。 ウクライナ危機は冷戦後、最大の危機。 ゴルビーは就任後、人事に大きななたを入れた。 レーガンとゴルバチョフの人間関係、信頼関係があったから冷戦は終結した。 サッチャー、ミッテラン、中曽根などのフォローもあった。 ならず者国家が核兵器を持つことを憂慮したアメリカは核兵器の全面撤廃は拒否した。 ゴルバチョフは自分が権力に留まり続けるよりも、自分の国の利益を優先した初めてのソ連の指導者。
Posted by
- 1