解放老人 の商品レビュー
コロナのご時世、介護職へ向けての研修になかなか参加できないことから、自分で知識を広げるには…ということで、書籍での知識吸収を図っている。 特に、7年前にオープニングスタッフとして介護職を始めた事業所では、当然利用者も年々ADLが低下し、認知症度も悪化していくわけで、問題行動を繰り...
コロナのご時世、介護職へ向けての研修になかなか参加できないことから、自分で知識を広げるには…ということで、書籍での知識吸収を図っている。 特に、7年前にオープニングスタッフとして介護職を始めた事業所では、当然利用者も年々ADLが低下し、認知症度も悪化していくわけで、問題行動を繰り広げるじいちゃん、ばあちゃんも出てくる。 昨年から「認知症を知る」ことを目標に掲げたこともあり、手に取った本。 認知症が重度化し問題行動が多くなると、グループホームでもお世話が難しくなる。そういった人は精神科病院への入院となってしまう。 著者は山形県の精神科病棟にある「重度認知症治療病棟」に長期取材し、入院中のお年寄りに密着。 病棟の廊下をお年寄りに手を引かれ延々歩いたり、あっちへこっちへ飛びまくり、エンドレスな話を「うんうん」と聞いたり、隙あらば院外へ抜け出そうとするじいちゃんに「ここあけてけろ」と懇願されたり、入浴拒否で大暴れのばあちゃんを垣間見たり…。 そういった問題行動には必ず、その本人にとっての理由がある。 ということはわかった。 その理由を探ることが大切ということもわかった。 では、どう対処するか。 残念ながら対処法まではこの本は教えてくれない。 ということで、書籍での知識吸収はまだまだ続きそうだ。
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周りは大変で仕方ないけど、 描き出される老人たちにはなんとも言えない 切なさやおかしみ、可愛らしさがある。 幸いにして私の両祖父母も両親も 認知症を発せず亡くなったが 身内からすればあまりそうも言えないんだろうな〜 脳の不思議にはまだまだ飽きそうもない。
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ノンフィクションライターから見た認知症高齢者の姿。専門家とは違う、その人となりを見る目がやさしい。とかく専門家は病気を見てしまい、その人となりを見落としてしまう。その人となりを理解することで、その人とのつながりが生まれる。人はつながりで生き、つながりで回復する。認知症は改善しない...
ノンフィクションライターから見た認知症高齢者の姿。専門家とは違う、その人となりを見る目がやさしい。とかく専門家は病気を見てしまい、その人となりを見落としてしまう。その人となりを理解することで、その人とのつながりが生まれる。人はつながりで生き、つながりで回復する。認知症は改善しないが、こころは回復する。そのような気持ちを持たせてくれる一冊。
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偶然 本屋さんで見つけた野村さんのルポ。高花台とリンクすることたくさん。野村さんの感性、眼差しがじんわり伝わってくる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
筆者は老人介護施設や精神病院などに、取材をお願いして、長い時間をかけて、入居者と共に時間を過ごし観察した。認知症と今では言われるが、痴呆と呼ばれ、まだ理解もされない時期から長い観察はその個性あふれる症状と患者さん個々の持つ、いわゆる健常状態であった時の人となりも、家族に取材したり、介護職員にも取材したり、自分自身も当たり前に感じてもらえるほどの長い時間をかけ、患者さんの信頼もえ、人間性を掘り下げる。ほとんどが、別人のようになってしまうからこそ、普段の生活ができぬようになり、家族の手を離れることになった。だが、別人格と見えるようでも、実はその人が持つ価値観や人生への立ち向かい方、大きく影響する不幸。一人一人が全く違う症状は認知症のある時期から破滅的になったりするが、そこも越えて認知症が進行すると、がん患者同様末期は、穏やかな静かな時間と空間に住むかのように変化する。
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