金沢謎解き街歩き の商品レビュー
金沢旅行から帰ってすぐに読んだ本。 こうした地方に関する本は、事前に読んでおこうと準備しても、ガイドブック以外はなかなか頭に入りません。 実際に行って、その土地を体験した後で読むと、するすると頭に入ってきます。 (行く前に読んでおきたかったな)と思いますが、やはり土地勘や土地へ...
金沢旅行から帰ってすぐに読んだ本。 こうした地方に関する本は、事前に読んでおこうと準備しても、ガイドブック以外はなかなか頭に入りません。 実際に行って、その土地を体験した後で読むと、するすると頭に入ってきます。 (行く前に読んでおきたかったな)と思いますが、やはり土地勘や土地への愛情が無いと、この類の本はなかなか読めないものです。 北陸新幹線開通で賑わっている金沢。 駅の美しさが世界的に評価されているというのは知っていましたが、『ロンリープラネット2014』の「訪れたい都市ベスト10」で世界第4位に選ばれたということには驚きました。 確かに歴史と新しさがまとまった周りやすい都市。グルメも楽しめます。 加賀というと雅なイメージがあります。 北前船で、京都文化が伝えられたからだと思いますが、金沢の人は「小京都」と言われるのを嫌うのだとか。 確かに、あまり小京都という形容詞は聞きません。 京都は公家文化の街で、金沢は武家文化の街という明確な違いを意識しているのだそう。 お上品な街ですが、確かにここは武士が作った城下町。貴族がいた場所ではありません。 京都の二番煎じではないというプライドも感じられます。 京都の道は、碁盤の目のように整然としていますが、金沢の道は、くねくねと不規則。 戦災に遭わなかったために昔の道がそのまま残っているため、使いづらいと金沢出身の人が言っていますが、これはわざと外敵が迷うように区画したものです。 長町武家屋敷の辺りは、細道を挟んで大きな屋敷が並んでいるところで、歩行者用の道は直角に折れ曲がり、先が見えなくなって迷路のようでした。 風情があるなあと思いながらのんきに歩いていましたが、逃げられない一本道なので、ここに敵が侵入すれば、両側の塀の上から鉄砲玉や弓矢を浴びせかけられるそう。 そう聞くと、加賀藩士たちが戦闘集団だったことが、一気に意識されます。 最近整備された金沢城。 かつては金沢大学があり、その時の正門は石川門でした。 白かったため、白門とも呼ばれ、東大の赤門と対比されるそうです。 赤門は、加賀藩江戸上屋敷があった場所ですから、赤門も白門も、どちらも加賀藩によるものなんですね。 さすがは百万石です。 兼六園にあるヤマトタケルの銅像がなぜ鳥の糞で汚れないのかを金沢大学の広瀬幸雄教授が調べ、イグノーベル賞を受賞したのだそう。 快挙です。 個人的にとても好きな加賀料理ですが、なんとその歴史はわずか50年余りだということには驚きました。 加賀の殿さまが食べていたものではなかったんですね。 大久保利通を紀尾井坂で暗殺したのは、旧加賀藩士の石川県士族だったそう。 金沢に注目してみると、別の側面からこれまで知らなかったことが見えてきます。 旅の思い出に、その土地の知識を加えるという満足感を味わえました。
Posted by
- 1