宇宙大恋愛(1) の商品レビュー

まことじ(著者)

2015/04/23

何でしょう、この漫画は
上手く言い表せないんですが、地味に面白いラブコメですね
こう、作品の好さがジワジワと染み込んでくる感じです
なので、途中で好さが漫画読みの核に伝わりきらないと、恐らくは「つまらない」の烙印を押してしまうのではないか、と思いました
私が、この作品に魅力を感じたのは、まず、絵柄がシュールな青年漫画を描かせたら右に出る者はいないであろう、ルーツ先生のそれに似ていたからでしょう
だから、独特のテンポで進む、イチャイチャが少ないラブコメのストーリーも、しっかりと受け入れられました
平凡な成人男性の姿を模した宇宙人である、この『宇宙大恋愛』の主役の一人である山田三郎が、人間社会の常識に対する疎さから、宇宙人であるのは確かなんだけど、何だか、親近感が湧いてしまって、宇宙人らしくないな、と思ってしまえるトコも良いですね
また、成り行きで、彼の家に同居する事を許され、しかも、彼の恋人をすっ飛ばして、嫁さんになってしまう大崎まひろの抱える、複雑で辛い事情が、これまた、最近の女子高校生らしくて、感情移入しやすく、山田との恋愛を応援したくなります
山田に、地球の女性の観察をしたいって、身勝手な思惑が心中にあるにしろ、まひろちゃんへの親身な態度は男らしいので、きっと、ぎこちないながらも、現実的にも、傍目から見ても幸福せな新婚さんになるんでしょうね
加えて、こんな二人を取り巻く人々も、やや個性的ながらも、優しい人らばかりで、温かい気持ちになれます
宇宙人と地球の女子高校生って、ありがちな組み合わせだからこそ発生する、外さない面白さに満たされている恋愛漫画ですので、一読の価値は十二分にあります
しっかし、村田さんの工場は、ペットボトルで何をしているんでしょうか・・・
この台詞を引用に選んだのは、宇宙人目線の驚きだからこそ、地球人をハッとさせるな、と思ったから。こう、理屈じゃない説得力がありますね、山田のカレーに対する感動と、その美味さに対する考察には。誰かが自分を想って作ってくれた料理ってのは美味しい、そんな美味しい料理を作って貰える事を、人間はもっとありがたがるべきですね（笑）