岩は嘘をつかない の商品レビュー
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先日「ノアの箱船の真実」という面白い本を読んだ。その本は主に楔形文字でかかれた洪水伝説や箱船の話について最近解明された知見を紹介してくれる本であった。そして洪水そのものがあったかなかったかはこの本を読めということで読んでみあたら大変面白かった。 地層や化石の研究の歴史は絶えず、旧約聖書の記述との齟齬をどう解釈するかという課題につきあたり、進んできたこがわかった。いつの時代も聖書至上主義の勢力と虚心坦懐に事実をみつめる勢力があり、両者がダンスをおどるような形で進化して現在の地質学ができたと言える。この本を読むと地質学の歴史がわかる仕組みになっている。 肝心のノアの箱船に関わる洪水についてはまだ決定打がないようだが、黒海の形成にかかわる氷河湖大決壊の可能性が高いのではないだろうか。どこまで旧約聖書の信憑性が高いかはともかく、大洪水と箱船はなんらかの形であったとみてよいだろう。ただし箱船にのったのはユダヤ人ではなくメソポタミアの人々だが。
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創世記で語られていることが真実であると信じる人たちは、科学が示す事実に目を背けるか、あくまで神は正しいと訴え続けます。自分たちの都合の良いように聖書を解釈します。ケンタッキー州に作られた「天地創造博物館」の出鱈目さやファンダメンタリストの盲信には、ただ驚くばかりです。でも、宗教の以外の分野でも同じようなことが繰り返されているような気がします。そのような人や集団には近づかないようにしたいですね。
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読売4/26 宮部みゆき評 著者地質学者 地層と岩に刻み込まれている大洪水の痕跡からその原因とプロセスを読み取り、それがその地点の文明社会にどんな影響を与え、事後どのように語られて伝搬し、聖書の「ノアの方舟」の逸話として完成されていったのかを謎解く。
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旧約聖書ノアの箱舟に描かれている大洪水の話は、近代科学においても、長い間実際に起こった真実だと思われていた。 著者である地質学者は、まず、グランドキャニオンに現われている地層を例に、地球成立後、どのように地球の表面が形作られていったか、詳細に説明する。 そしてそれらの証拠から、...
旧約聖書ノアの箱舟に描かれている大洪水の話は、近代科学においても、長い間実際に起こった真実だと思われていた。 著者である地質学者は、まず、グランドキャニオンに現われている地層を例に、地球成立後、どのように地球の表面が形作られていったか、詳細に説明する。 そしてそれらの証拠から、現在の地表が、一回の洪水によって多くの生物がほぼ絶滅し、また、現在の地形が形作られると考えるのは、非常に困難であることを証明する。 ただ、頭ごなしに自説を押し付けるのではなく、過去の自然科学者が、どのような証拠を、どのように理解することによって、現在の地質学からみれば矛盾するような事象について、うまく帳尻を合わせつつノアの世界を現実に結び付けようとしたのかを詳細に解説しているため、過去の科学者の考え方を垣間見ることができ、なかなか興味深い。 確かに、高い山の上で海の底の生物の痕跡を見つければ、そこが海の底出会った時期があると考えても不思議ではない。 地層が、ぶつかり、まげられ、盛り上がるなどという考えがなければ、そのままの形で、洪水によって沈んだ時期があると考えても。 また、ノアの箱舟の話は、旧約聖書オリジナルの話ではないことも紹介される。確かに、過去にも地表を洪水、津波が襲ったことはあるようだ。しかし、それはノアの箱舟として旧約聖書に描かれた、その洪水ではないが。
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