東京バプテスト教会のダイナミズム の商品レビュー
タイトルは挑発的だが、個人的にはとても納得できる内容だった。少なくとも現代の精神医学において、抗うつ剤、抗不安剤に対する過剰な期待や依存を見直す必要はあるのではないか。 (以前読んだ『クレイジー・ライク・アメリカ』(イーサン・ウォッターズ著)という本とも内容的にかなりの共通点が...
タイトルは挑発的だが、個人的にはとても納得できる内容だった。少なくとも現代の精神医学において、抗うつ剤、抗不安剤に対する過剰な期待や依存を見直す必要はあるのではないか。 (以前読んだ『クレイジー・ライク・アメリカ』(イーサン・ウォッターズ著)という本とも内容的にかなりの共通点があると感じた) この本の著者はキリスト教福音派の牧師であり、心の病に対して信仰を通しての解決策を大胆に提案している。また心の病から回復した教会員の体験談など多くの事例も紹介している。一言で言えばこれは『神癒』の話だ。私自身、神癒を信じているので、この本を読んでまた改めて自分の信仰のあり方を再確認したいと思っているところだ。 一方で、うつ病患者の中には本当に薬を必要としている人もいる。大切なのは薬を処方する側の精神科医の観察力と経験、そして判断力だろう。アメリカの精神医学会が出版しているマニュアル(DSM-5)によって安易に精神安定剤が処方されてしまっている現実が一番の問題である。80年代後半から急速に普及したプロザックの影響も大きい。 また少なくとも日本においては、心理カウンセリングの敷居が非常に高い。心に不調を訴えて精神科や心療内科などを訪れる場合、医師は最初こそ丁寧に患者の話を聞くものの、次第に簡単な確認と薬の処方だけになってしまう。カウンセリングは保険適用されないケースが多く、医師は非常に多忙で詳しく話を聞く暇がない。残されたのは一向に変わらない病状と薬の副作用だけというケースがたくさんある。 本来は薬よりももっとカウンセリングに力を入れるべきである。そしてその中でも特に本著で述べられているようなビブリカル・カウンセリング(聖書的カウンセリング)というものがもっと多用されていいはずである。 人間はもっとスピリチュアルな生き物だ。
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