デジタル・アーカイブの最前線 の商品レビュー
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時実象一著『デジタル・アーカイブの最前線―知識・文化・感性を消滅させないために』(ブルーバックスB-1904) 2015.2.20発行 2021.11.8読了 “archives”とは、もともと「古文書、公文書、記録文書」「(公文書・記録文書などの)保管所、文書局、(公)文書...
時実象一著『デジタル・アーカイブの最前線―知識・文化・感性を消滅させないために』(ブルーバックスB-1904) 2015.2.20発行 2021.11.8読了 “archives”とは、もともと「古文書、公文書、記録文書」「(公文書・記録文書などの)保管所、文書局、(公)文書館」を意味する単語で、ギリシャ語の“arkheion”(役所)が語源だそうだ。 現代では専らコンピューター用語として使われており、例えば、広辞苑第七版では、「コンピューターで、関連のある複数のファイルをまとめること。また、まとめたもの。まとめる際に圧縮されることが多い」と定義されている。 デジタル・アーカイブとは、映像、活字、漫画、絵画、陶芸品、映画、口述、方言、ウェブサイトなどをデジタル化して後世に残すことを目的としている。 なかには商業的な意味合いの強いものもあるが、消えゆく方言をデジタル・アーカイブ化する活動などは文化的意味合いが強い。 ウェブサイトのデジタル・アーカイブ化というのは一見よく分からないかもしれないが、日々更新され消えていくウェブサイトの情報を、ある特定の日時でホームページごと記録保存することである。例えば、平成の大合併前の市町村のホームページの保存活動などは歴史的意義もある。YouTubeやニコニコ動画もサービスが終了すれば全てのデータが消去されてしまう。そうしたデータを消される前に保存し、フェアユースに供することは今や国の共有財産と言っていい。 デジタル・アーカイブの意義が広まったことで、今では各省庁や地方公共団体、大学、民間レベルでデジタル・アーカイブ化が行われているが、これまで、それらを横断的に検索できるツールが存在しなかった。横断的に検索できるようにするためには、共通の規格を作ってメタデータ化しなければならない。これについては令和2年8月25日に「ジャパンサーチ」という横断検索サイトが正式公開されるに至っている。まだまだ参加機関は少ないが、今後ますます充実していくだろう。 デジタル・アーカイブ化を阻むものは、何といっても著作権法である。日本にはフェアユースの規定がないため(本書刊行時点)、著作権者の没年月日が不明だったり、著作権者が行方不明だったりすると、デジタル・アーカイブ化して公開することができない。諸外国に比べて、日本の著作権法は融通の利かない周回遅れの規定となっており、デジタル庁を創設するよりまずは著作権法を改正するべきだろう。 ※書籍はすでに絶版で、今は電子書籍でしか購入できない。
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デジタルアーカイブについて、知りたくて購入。 ”最前線”とは書かれているが、2015年発行にして、すでにやや古さを感じてしまうのは、情報社会のスピードの速さなのか。いずれにしても、デジタルアーカイブの用語理解や、その背景にある歴史等を学ぶには、最適な良書だと言える。
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活字、映像、ウェブ……残すのが困難な時代に、人類が未来に残すべき貴重な「知の遺産」を電子的に保存するデジタル・アーカイブの世界に迫る。
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たまたま手に取ってパラパラしたらエピローグで「貴婦人と一角獣」を取り上げていて感性はアーカイブできるか?を語っていて、惹かれました。そこに至るまでは、ブルーバックスの一冊らしくデジタル・アーカイブの今を粛々とテクニカルにレポートしてあります。ただ、その粛々っぷりに著者の、いまやら...
たまたま手に取ってパラパラしたらエピローグで「貴婦人と一角獣」を取り上げていて感性はアーカイブできるか?を語っていて、惹かれました。そこに至るまでは、ブルーバックスの一冊らしくデジタル・アーカイブの今を粛々とテクニカルにレポートしてあります。ただ、その粛々っぷりに著者の、いまやらなくちゃならないこと、への想いが積み重ねられている、と感じました。消えない記憶はすべて、未来への資産、グーグルにも負けないパッションを発揮しています。ポンペイ遺跡で見た「猛犬注意」の表示がよみがえらせる紀元前の暮らし、そんな例を思い出しました。
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