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十三億分の一の男 の商品レビュー

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2022/12/04

共産党大会での胡錦濤退席。李克強の引退。江沢民の死去。そして、中国全土に広がるコロナ対策を契機にした民衆のデモ。異例の習近平3期続投。今、中国で何が起こっているのか。この本は、これらの事件より以前に書かれたものだから、直接的な解説にはならないが、そこに繋がる関係性がよく分かる。単...

共産党大会での胡錦濤退席。李克強の引退。江沢民の死去。そして、中国全土に広がるコロナ対策を契機にした民衆のデモ。異例の習近平3期続投。今、中国で何が起こっているのか。この本は、これらの事件より以前に書かれたものだから、直接的な解説にはならないが、そこに繋がる関係性がよく分かる。単なるゴシップ本ではなく、中国共産党の動きに対し、叡智を養うきっかけになる。 江沢民は引退後も共産党の重要事項は江沢民に報告すると言う内部規定を作り人事や重要政策に決定権を持っていた。そうすることで胡錦濤の権限を弱めるための仕掛けを作っていた。江沢民vs胡錦濤。胡錦濤から権力を受け継いだ習近平だが、共通の政敵を意識していた事がわかる。 一方で習近平自身も、簡単に今の地位に昇り詰めたわけではない。比較されていた李克強は北京大学法学部で常にトップ。抜群の頭脳であり、一時、序列の最下位にいたと言われる習近平とは異なるエリート街道。時に、江沢民が習近平を担いで、胡錦濤派の李克強を追い落とす。共産党内の序列が入れ替わる。江沢民の上海閥と習近平の太子党が共闘し、道が出来上がる。江沢民と胡錦濤の間を上手く掻い潜りながら、権限を次第に強めた習近平。 そして今、である。あれこれ噂話はあるが、真相は分からない。しかし、噂話の根底にあるものを、この本が解説してくれた気がする。

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2020/03/18

項羽と劉邦の世界が未だに続いているんだと思った. 情報は足で取るという感じの取材記事.さらっと読める.

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2019/09/01

20190831 中央図書館 国家としての統合を果たし、意思決定のシステムを機能させるために、一人のカリスマだけで動いているわけでは決してない。国家あるいは人民、人種?としての道徳や倫理や地勢の条件や歴史や文学や思想や哲学や、何もかもが今の機構や体制を形作っている。もちろん少しづ...

20190831 中央図書館 国家としての統合を果たし、意思決定のシステムを機能させるために、一人のカリスマだけで動いているわけでは決してない。国家あるいは人民、人種?としての道徳や倫理や地勢の条件や歴史や文学や思想や哲学や、何もかもが今の機構や体制を形作っている。もちろん少しづつ変わっていくのだろうが。そういえば令計画なんて人の名前も聞いたことがあったな、ということも記憶の彼方。習近平もそろそろ「次は誰だ」の年代になった。

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2018/05/14

【頂点への荊道】現場に足を運び,当事者への取材にこだわる中から,著者なりの中国共産党像を描き出した一冊。中国共産党内の権力闘争を主軸としながら,ドキュメンタリー調にその内幕を描いていきます。著者は,朝日新聞社で特派員を務める峯村健司。 よくここまで取材したなというのが読後の第一...

【頂点への荊道】現場に足を運び,当事者への取材にこだわる中から,著者なりの中国共産党像を描き出した一冊。中国共産党内の権力闘争を主軸としながら,ドキュメンタリー調にその内幕を描いていきます。著者は,朝日新聞社で特派員を務める峯村健司。 よくここまで取材したなというのが読後の第一印象。一般的な報道ではすくい取ることが難しい共産党の内幕の一端を暴いていく筆は本当に見事です。13億人を擁する大国ですが,ミクロを突き詰めていくとその輪郭までもが浮かび上がってくるものなのかと驚きの念を覚えました。 〜権力闘争こそが,中国共産党を永続させるための原動力なのではないか。〜 なんだかんだ言われますが,日本の東アジア報道に極めて質の高いものがあるということを改めて思い起こさせてくれる一冊☆5つ

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2017/07/04

習近平と李克強の共産党総書記を争った際の駆け引きが面白い。このふたりに加え薄煕来の三人の出世レースだったわけですが、結果的に能力的に一番劣るとみなされていた習近平が権力を手中におさめるというところがなんだかんだいってアジア的という感じもします。 李克強と薄煕来はずば抜けた能力で周...

習近平と李克強の共産党総書記を争った際の駆け引きが面白い。このふたりに加え薄煕来の三人の出世レースだったわけですが、結果的に能力的に一番劣るとみなされていた習近平が権力を手中におさめるというところがなんだかんだいってアジア的という感じもします。 李克強と薄煕来はずば抜けた能力で周囲の人間に対する要求もきつく、恨みを買うことも多かったそうですが、習近平は引退したもと高官などの家を定期的に訪問することも多かったそうです。若い頃から、人柄は良いが能力は???という評価だったらしい。だけど一度権力を手中に収めてからの行動力は凄まじいですね。薄煕来事件とは実はクーデターの鎮圧であった、という事もこの本では書いてあります。 その他、中国の関する本といえばやはり 【ワイルド・スワン(上) (講談社文庫) 文庫 – 2007/3/6ユン チアン (著), 土屋 京子 (翻訳)】でしょうね!一般市民から見た文化大革命がどんなものだったのか?ということの一端をこの本で教えてもらえましたし、衝撃的でした。ちなみに習近平の父親は文化大革命で吊るし上げられ失脚(その後名誉回復)習近平自身も地方へ飛ばされ、かなり貧しくつらい生活を送ったということです。13億分の一の男によれば、竪穴式住居に6年間住んでいた?という記述もありますね。で、そんな権力をほしいままにしていた父親が一夜にして人から蔑まされ、母親も市中引き回しみたいな刑に合わされたことが、習近平の現在に大きな影響を及ぼしていないわけはないですね。ある種の人たちにとって、権力を手にし維持し続けるということは生きるか死ぬか?ということと同義であるのかもしれません。

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2017/01/09

著者は朝日新聞の元中国特派員。権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないかー。「現場」に突入し様々な人に取材をしながら、ドロドロとした政治の世界に踏み込んでいく。この表紙に出ている習近平にしても、決して盤石に立っているわけではない。今このときも殺るか殺られるかの世...

著者は朝日新聞の元中国特派員。権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないかー。「現場」に突入し様々な人に取材をしながら、ドロドロとした政治の世界に踏み込んでいく。この表紙に出ている習近平にしても、決して盤石に立っているわけではない。今このときも殺るか殺られるかの世界に身を置いているのである。中国の公安当局がまっさきに飛んでこないかと心配するような内容だが、その現場力に圧倒される。

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2016/04/26

中華人民共和国の成立から 長い期間が経っているが、 結局は 『毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平』 の 五人が 表舞台に立っている。 毛沢東の期間は長く 皇帝になった。 鄧小平によって 沈滞した中国を変革した。 その後 権力も才能もないと思われた 江沢民が 権力を握り 鄧小平...

中華人民共和国の成立から 長い期間が経っているが、 結局は 『毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平』 の 五人が 表舞台に立っている。 毛沢東の期間は長く 皇帝になった。 鄧小平によって 沈滞した中国を変革した。 その後 権力も才能もないと思われた 江沢民が 権力を握り 鄧小平が 死ぬことで、 大きな権力を握った。 賄賂と腐敗政治をつくったのは江沢民だった。 胡錦濤は 江沢民に頭が上がらず、 中国の経済成長の推進力になったが、 習近平に権力を渡さざるを得なかった。 控えめで、おとなしいと思われた 習近平が 核心的なリーダーとなった 背景を  朝日新聞の記者らしく 丁寧に書いている。 『権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないか』 とさえ言う。 アメリカ ロサンジェルスの  愛人たちが暮らす村 月子中心 に突撃取材。 6億円の豪邸を 一括現金払いをする。 裸官たちの生態。 2008年までの10年間に 1万6千人から1万8千人の流出。 中国から流出した資産は 8000億元。 そして、ハーバード大学にいる習近平の娘/習明沢をさがし、 彼女は 本名を隠して、それで、勉強にいそしんでいた。 薄煕来の息子との対比をする。 紅3代のカップル。 薄瓜瓜と陳雲の孫娘 陳暁丹。 2兆5000億円の国際会議 2014年11月 APEC。 贅沢禁止令のもとでの 晩餐会。 習近平とオバマとの会談。 鄧小平以来の 強力で、自分の言葉で語ることができる。 という評価をもらう。 胡錦濤の完全引退。そして、江沢民も引きづりおろす。 薄煕来事件での 習近平の対応。 胡錦濤の腹心 令計画の長男 そして 妻の素行。 反日狂想曲。 胡錦濤が 意外と親日に近い立場を取っていた。 江沢民が 反日にこだわる理由。 江沢民の父親が 旧日本軍の協力者だった。 学生時代に 日本語を勉強したこともあった。 江沢民は 胡錦濤に譲っても 院政を貫く。 曹慶紅を揺るがせたスキャンダル。魯能。 江沢民は 若い軍人の血を集めて、蘇る。 李克強は 優秀で サラブレッドだったが。 記憶力、数字に強い。しかし、中国には優秀な人材はイクラでもいる。 必要なのは 人をまとめる 統率力。団結力。 胡錦濤と李克強の強い絆。 しかし、着々と 習近平は 上り詰めていく。 天皇との会見でも 小沢を射止めて こぎ着ける。 習近平は 着実に 軍の仕事も 取り組んでいた。 秦城監獄  陳良宇、薄煕来が入る。 2012年4月 薄煕来 逮捕。 薄煕来の収賄は 2044万元。海外へ移転した財産が60億ドル。 2012年11月より 2年間で 25万人を逮捕 処分した。 2012年12月 谷俊山 軍隊 総後勤部 副部長。逮捕。200億元の賄賂。 2014年6月 徐才厚 軍事委員会副主席。逮捕。 売官。将軍になるのに約3000万元いる。 2014年12月 周永康 政治局常務委員。逮捕。収賄 8.7億元。 500人以上の元部下、親族。1200億元の財産を没収。 習近平は 荀子の書 を愛読している。 紅二代と大子党 とは違い 紅二代は摘発しない。 中国の上位1%が、国の財産の3分の1を保有している。 荀子はいう。 『君は舟なり、庶民は水なり、水はすなわち舟を覆す』 新聞記者として 充実した取材ぶり。 それでも、中国の闇は 明らかにされない。 『新聞記者』という身分の限界なんでしょうね。

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2016/02/03

中国を永らく取材してきた記者が文字通り「あし」でかせいだ情報をもとに中国の権力闘争を描いてる。それはまさに凄まじいの一言。習近平の権力基盤が江沢民、胡錦濤の権力闘争の結果、強固なものになっていることが理解できた。共産党と軍部の関係も含め、中国の指導者の言動を理解するうえで大いに参...

中国を永らく取材してきた記者が文字通り「あし」でかせいだ情報をもとに中国の権力闘争を描いてる。それはまさに凄まじいの一言。習近平の権力基盤が江沢民、胡錦濤の権力闘争の結果、強固なものになっていることが理解できた。共産党と軍部の関係も含め、中国の指導者の言動を理解するうえで大いに参考になると感じた。

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2016/01/24

朝日新聞の記者による習近平国家主席にまつわる権力闘争を記述。描写が生々しくかつ鮮やかで面白いが、本当に本当なのかは確信は持てない。 毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の5世代目のうち特に江沢民からの権力、腐敗、ライバルの追い落としを描いている。胡錦濤は江沢民の院政から逃れられ...

朝日新聞の記者による習近平国家主席にまつわる権力闘争を記述。描写が生々しくかつ鮮やかで面白いが、本当に本当なのかは確信は持てない。 毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の5世代目のうち特に江沢民からの権力、腐敗、ライバルの追い落としを描いている。胡錦濤は江沢民の院政から逃れられなかった。胡錦濤も江沢民の影響力を減じようとしたが逆に部下のスキャンダルにやられてしまった。それが習近平の就任につながる。 一方その間に有力者の腐敗が進んだことでそれをテコに習近平が、江沢民を支える基盤の力を削ぎ(腹心の有力者を追い落とす)、ダークホースから最も堅い権力基盤を固めるまで至った。

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2016/01/19

現在、中国で最高権力を握っている習近平の姿を、朝日新聞中国特派員であった著者が暴く。 といっても、いきなり米国にいる習近平の娘を一年間かけて追い求めるとか、米国に存在する政府高官や富豪の二号さんが暮らす町の取材とかで、いきなり出鼻をくじかれる。 その後も、丹念な取材?で群雄割拠...

現在、中国で最高権力を握っている習近平の姿を、朝日新聞中国特派員であった著者が暴く。 といっても、いきなり米国にいる習近平の娘を一年間かけて追い求めるとか、米国に存在する政府高官や富豪の二号さんが暮らす町の取材とかで、いきなり出鼻をくじかれる。 その後も、丹念な取材?で群雄割拠の中国の中で、権力を握り続ける習金平を描いてはいるが、書いてある内容はなんとなく夕刊紙。逆に言えば、夕刊紙や週刊誌にかかれるような、どたばたで陰惨な劇が、中国権力層では繰り広げられているのだなと、取材を元に実感する思いがした。 いずれにせよ、中国の政治体制は人民のための共和国では決してなくて、一部権力者による絶対的な皇帝制であって、諸外国はお金があるときはすり寄っていくけど、金の切れ目が縁の切れ目になるのでしょうね。

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