粛清の嵐 の商品レビュー
第68回毎日出版文化賞特別賞 著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家) 解説:西上心太(1957-、荒川区、文芸評論家)
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※このレビューにはネタバレを含みます
マラ暗殺を契機に流れは反ジロンド派に。マラの後継者を自認し、増長するエベール派にロベスピエール以下公安委員会も引きずられ、ついにはロラン夫人も断頭台へ。そしてサン・ジェストは派遣議員として前線に行く中、ダントン・ロベスピエール・デムーランによるエベール派への反撃が始まる(その間も血は流れ続ける
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ロベスピエールは人民に寄り添う左翼政治家であるが、元は弁護士というインテリであって、下層民ではない。パリのサンキュロットとその親玉エベールが主導権を握りモンスター化する中、彼らの剣幕に押されて恐怖政治が始まる。パチパチと拍手が鳴り続いた、と佐藤賢一は国民公会の様子を描いているが、...
ロベスピエールは人民に寄り添う左翼政治家であるが、元は弁護士というインテリであって、下層民ではない。パリのサンキュロットとその親玉エベールが主導権を握りモンスター化する中、彼らの剣幕に押されて恐怖政治が始まる。パチパチと拍手が鳴り続いた、と佐藤賢一は国民公会の様子を描いているが、独裁と恐怖政治は独裁者の恣意により始まるのではなく、大衆の熱狂から生まれる。ロベスピエールは、この時点では、むしろ熱狂を懐疑する側に立っている。 熱狂の中、革命裁判も尖鋭化し革命の古株たちの血が流れる。もともと、第三身分の革命家たちはヴォルテールやルソーの言葉に心を熱くしたインテリだった。インテリの言葉遊びに始まった革命は大衆を巻き込んで違うものへと変質しようとしているが、その先には何があるのか。サン・ジュストはアルザスに赴き、ブルジョアたちから金と物資を供出させて対独戦線を立て直す。ナポレオンの登場も間近に迫っている。フランス革命は大きな犠牲を払いながら、何かを生み出そうとしているようだ。
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「自由の女神」は脱キリスト教のシンボルで、「理性」を神とする信仰のための偶像だったとは。。。 それにしても断頭台の露ときえる人の数の多さが滅入る。 革命が暴走しはじめる。その行く先を歴史で知っているがゆえに、重く暗く感じてしまう。
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マラの死を契機に、一層、先鋭化する革命。暴走する民意はいよいよ制御困難に陥り、昨日までの革命の功労者が今日には人民の敵として断頭台の露に消えるという狂騒へとフランスは突き進んでいくことになる……。 あれほどにしたたかだったジロンド派やロラン夫人があっさりと死に、初めは独特なキャラ...
マラの死を契機に、一層、先鋭化する革命。暴走する民意はいよいよ制御困難に陥り、昨日までの革命の功労者が今日には人民の敵として断頭台の露に消えるという狂騒へとフランスは突き進んでいくことになる……。 あれほどにしたたかだったジロンド派やロラン夫人があっさりと死に、初めは独特なキャラクターと語り口調で笑わせてくれたエベールも不気味さすら漂わせるようになってしまいました。また軽躁さばかりが目立つ人民ですが、でも閉塞した社会状況に置かれて「あそこに敵がいるぞ」と指示されたらそうもなるわなぁと納得しつつ反省……。
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毒舌家マラの暗殺。過激なエベール派の暴走でマリーアントワネット、ジロンド派、女性革命家、ロラン夫人などが断頭台の露に消える巻。ロベスピエールは若いサンジュストたちに促され、公安委員会に入る。さらに9月のエベール派の蜂起により国民公会で恐怖政治が議決。疑いを受けただけで逮捕できる嫌...
毒舌家マラの暗殺。過激なエベール派の暴走でマリーアントワネット、ジロンド派、女性革命家、ロラン夫人などが断頭台の露に消える巻。ロベスピエールは若いサンジュストたちに促され、公安委員会に入る。さらに9月のエベール派の蜂起により国民公会で恐怖政治が議決。疑いを受けただけで逮捕できる嫌疑者法が作られる。さらに脱キリスト教を叫ぶエベール派は聖職者を還俗させ、理性の祭典と自由の女神を信じることを強要する。ロベスピエール、デムーラン、ダントンら革命の古株は打倒エベールで協力すること。
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